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第23話 採用とサントリー

TK「結構明確に学歴フィルターあるみたいですね!うちの会社。去年まで、関大と立命は足切りだったみたいですわ。僕の代から、採用スタートしたみたいですけど。同期がプロパーの先輩がおらんって寂しがってました。」

陽川「お、ついに関関同立全部OKなったんやな。ほんまエラそーに。学歴フィルターって何であるかわかるか?」

TK 「え、、、それはまぁ、全員いちいち見てたら採用活動の工数が膨大になるからじゃないんですか?」

陽川「それとな、採用担当の言い訳でもあるんや」

TK 「言い訳?」

陽川「全く同じスペックの人間で片方が東大、片方がFランやったとしよか。採用担当は後者と意気投合してたとするわな。どっちを採ると思う?」

TK 「東大でしょうね。・・・あぁ、そういうことですね。もし、採用した後に、全然使えない奴だというのがわかった時の言い訳ですね。東大のやつなら、東大にもそんなやつがいるんだなと、東大のせいにできますけど、Fランなら、間違いなく採用担当の責任ですもんね。100%」

陽川「そういうことや。Fランなら気持ちはわかるが、仮にも関関同立とされる大学を足切りするっていうのは、人事担当の怠慢でしかない。それで選りすぐって採った社員で構成されてる今の会社、見ててどうや?尊敬できる人おるか?」

TK 「え、、正直まだ本社配属されて間もないので、自分の上司すら、どんな人かわかってないですね、、、。でも、工場現場の人は、正直舐めてましたけど、凄い意識高く、一生懸命に貢献されてるなと思ったのが本音です。」

陽川「俺は中途採用やから、正直工場のワーカーとは接点もないし、どんな人らかは知らんから何とも言えんけど、本社のやつらはアホばっかりなんはわかるわ。お前の上司の竹尾、っていうか俺の上司でもあるんやけど、あいつなんかカスにもほどがあるぞ。まぁ、見てたらわかるわ」

TK 「え、竹尾さんそうなんですか?なんか凄い気さくで面白くて良い人かと思ってました」

陽川「良い人かどうかは関係ない。俺らは友達じゃないからな。仕事での繋がりなんやから、仕事をしっかりするかどうかが全てなんや。これは覚えとけ」

TK 「は、はい。。」

「お待たせしましたー、こちらハイボールになりまーす」

ジョッキが二つ並べられた

陽川「はい、おつかれさん」

TK 「おつかれ様です」

ジョッキを軽く合わせ、陽川が続ける

陽川「知ってると思うけど、採用は女の方が優秀なやつを取りやすいんや。金山みたいな優秀なやつをうちの子会社採用で採れたのもそれが理由」

TK 「え、そうなんです?」

陽川「男はみんな下駄履かせてもろとんや。そう簡単に辞めへんという理由だけで。女やと、どっかで寿退社なり、この会社で勤め上げるという感覚は男に比べて薄いわな。それでなくても、産休や育休やで、会社を長期離れるやろ。会社からしたら、それは痛手なんや。どんなけ優秀やったとしてもな。そうなると必然的に能力不足でも、毎日会社に来て、逆らいもせずに働くやつを欲しくなるのは会社の性ってもん。必然的に優秀な女子があぶれるんや。」

TK 「はー、、、なるほど。そういえば、同期の女の子も同じようなこと言うてましたわ。女子は自分の実力よりワンランク下の企業に就職するって。その子は東北大のドクターまでいったコなんですけどね」

陽川「ドクター?(笑)それまた変わりもんやな。そこまで行って企業に就職かよ。しかもうちに。それ、何歳や?27?」

TK 「高校卒業後、しばらくぶらぶらしてたらしく、実質二浪なんで、えーと、30?」

陽川「マジか!新卒で30!お前の代は古瀬といい、お前といい、オモロイな(笑)」

TK 「彼女は優秀でしたよ。やっぱり研修中でも目立ってましたねー」

陽川「まぁ、そういうレアケースは横に置いとくとしてもや。女は単純に優秀なんと、もう一つメリットがあるんや」

TK 「なんすか?」

陽川「ガツガツ生意気いうても、オッサンらはあんま強く言われへんねん。慣れてへんから。これが男やったら話は別。男社会に生意気な男が入っても、しばきまわされるだけやろ。優秀で入って来てるのに、バカに迎合しだすのがオチ。そういう理由で俺は女を採るって決めてたんや。改革していこうとする時に、おっさんらに迎合するようなしょうもない男はいらんからな。」

TK 「はー、だからあえて優秀かつ、キャラが濃い、誰が相手でも物怖じしないような金山さんを採用したわけですね。」

陽川「そゆこと。」

ジョッキに半分ほど残っていたハイボールを飲み干した。

陽川「しかし、ハイボールは飲みやすくてええな」

TK 「ですよね。イッキに流行りましたよね」

陽川「CMが上手いからな。小雪のオッサン鷲掴みが半端ないやろ」

TK 「実はこれ僕、就活の時に既にアイデアとして持ってたんですよ。今言うたら後出しみたいになりますけど、うちの家族は全員知ってるし、なんなら、うちのオカンはアイデアだけサントリーにパクられたんちゃうか!言うてますから(笑)」

陽川「どういうこと?(笑)」

TK 「いやー、僕就活の時、サントリーが第一志望やったんですよ。で、OB訪問した際に、先輩がウイスキー担当してまして、2007年当時、ウイスキー全く売れてなかったんですよね。その時既にビールのプレミアムモルツは大ヒットしてたんですけど。」

陽川「プレモルも売れ方イカツイもんなぁ」

TK 「で、先輩は超肩身狭いって言うてたんですよ。ウイスキー市場はどんどん縮小してるし、もしお前がウイスキー売るアイデアあったら、絶対採用されるわーって笑いながら言われたんですよねー。で、家に帰ってオカンとその話してたら、オカンが昔はハイボールとか言うて流行った時期もあったんやけどなぁと」

陽川「オカンのアイデアやんけ(笑)」

TK 「そうなんです!で、ハイボールっていう存在自体知らんかったんで、何それ?って聞いたら、ただの炭酸割りやと。でも、絶対それやん!てビビっときたんですよねー。言い出しっぺのオカンは否定的でしたけど。そっから一人で考えて、正直僕みたいなウイスキーなんて絶対飲まない層にアプローチするには、ウイスキーの良さなんてどうでもよくて、"流行ってる""楽しい"というのを売るんやと思いまして、楽しいお酒というコンセプトで、CMまで考えたんですよ」

陽川「おー、で、小雪起用か?」


TK 「いや、篠原涼子です(笑)」

陽川「じゃあヒットしてないな(笑)」

TK 「なんでなんすか!(笑)篠原涼子のほうがもっとヒットしてますよ!正直小雪の良さ全くわかんないす(笑)」

陽川「あー、小雪の良さがわからん時点でお前にヒットを作るセンスはないわ(笑)で、それ面接で言うたん?」

TK 「いや、それ言う前に二次面接で落ちました(笑)」

陽川「なんじゃそら(笑)」

続く

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