第8話 県民性
畑班長は2-3分、パソコンに何やら打ち込んでいたが、区切りがついたのか、大きなため息をついてこちらを振り返った
畑「すまんな。待ってもらって。私がこの材料工程第3班の班長をやってる畑です。よろしくお願いします」
TK工房「よろしくお願いします」
畑「聞いたかもしれないけど、湯原にはTK工房のOJTリーダーをやってもらいます。」
(この人が俺のOJTか)
畑「湯原は非常に優秀でな、高校時代は野球部でキャプテンを務め、チームを甲子園まで連れていったんだ。あの松坂世代よ」
(マジ!?松坂世代で甲子園球児かいな!そりゃ優秀やわな。)
畑「じゃあ自己紹介をしてもらおうかな」
TK工房「はい!この度、材料工程第3班に配属されましたTK工房と言います!大阪出身です!大学時代はアメフトをやってたので体力には自信があります!よろしくお願いします!」
畑「アメフトか。それでガタイが良いんだな。聞いてると思うけど、うちの現場は体力的にしんどいから。まぁ、お前は大丈夫そうだな。じゃあ、お前らも簡単に自己紹介してやれ」
すると元ヤン感、というか現役ヤンキー感が漂よってる、気合の入ったお兄さんが前に出てきた
大和「ヤマトです。今年で8年目です。よろしくお願いしまー す」
畑「そういやTK工房は今いくつだ?」
TK工房「はい、私は2浪の1留なので、今年26歳です!」
大和「マジ?俺と同い年じゃん。それで新入社員かー。大変だね(笑)」
(そうか、高卒で就職するともう8年目か、、、俺はなんたる足踏みを、、、)
続いて、マツコデラックスのような大男が前に出る
松本「松本です。よろすく」
(この人、サイズも凄いけど、訛りも凄い)
そして最後に優しそうな男の人が挨拶をした
高野橋「高野橋です。僕もまだこの工程に来たばかりなので、わからないこともあるかと思いますがよろしくお願いします」
(あ、人が辞め過ぎて他の工程から連れて来られた人か。大変やなー。)
しかし高野橋もやはりガタイは良い。
畑班長「じゃあ、早速だけど始業前の申し送り事項を始めます。〜〜工程において◯◯作業中に、××〜」
TK工房には何のことかさっぱりわからなかったが、自分たちの工程、前の直の作業進捗状況、他の工程での事故・ヒヤリハット報告などが淡々と述べられていた
畑班長「最後に、綱引き大会だけど、うちの班は明日の作業時間前に体育館で行うことになったから。」
(綱引き大会?なんじゃそりゃ?)
畑班長「毎年この時期に現場対抗綱引き大会があってな、新人は危ないから見学させてるんだけど、お前は大丈夫だろ?出れるか?」
TK工房「はい!大丈夫です!」
(なんか知らんけど、絶対オモロイやろ。しかも、他の新人は見学やのに俺だけ出れるとかオイシイ)
松本「おめぇ、ぅんぬぅうつ持ってんのか?」
はい?
TK工房「え?何ですか?」
松本「ぅんどぅうつ持ってんのか?」
TK工房「、、、、服ですか?」
松本「くーつー!!なんだぁー?日本語通じねえのか〜!?(笑)」
どうやら「お前運動靴を持っているか?」と聞かれていたようだ。
(わかるか!!!笑)
湯原「おい、TK工房」
TK工房「はい?」
湯原「なんだぁー?ノーリアクションかよ!」
TK工房「!?!?」
湯原「おかしいなぁー。ケンミンショーで大阪人は必ず"やーらーれーたー"って、リアクションするって言ってたのに、あれ嘘かー?」
(ケンミンショーよ。余計なことをしてくれるな)
(つーか、新人が初めての社会人、初めての現場で緊張してる時に、そんなフザケたリアクションとれるか!(笑)
そしてリラックスしてたとしても、そんなおもんないフリに乗るかいな!)
緊張していたTK工房をリラックスさせようという気遣いのおかげで、気づけばかなりリラックスができていた。
そしてついに初めて現場で働くことに
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