第7話 現場配属

青雲寮での生活が始まった

青雲寮は、工場採用の独身社員が入居しているので、200〜300人収容できるほど規模は大きく、風呂は共同だが、サウナもあるほどの大浴場で、大きな食堂もついている。

朝6〜7時ごろに朝食を済ませ、8時前に工場に出勤した

前日は夕方に着いたということもあり、簡単な挨拶と懇親会で終わったが

その日は朝から、座学が組まれていて、その後に現場研修の説明が行われた

この工場は24時間稼働しているため、勤務時間を8時間づつに3分割し、
6時〜14時、14時〜22時、22時〜6時とそれぞれ区切る

そして工場勤務者を4班に分けて、それぞれ上手く1日〜2日休めるようにズラして、4班でグルグル回すようになっているらしい

土日とか祝日とか、全く関係ない恐ろしい世界

また工場の内部は、材料入荷から最終製品になるまでの工程を大きく5つに分けられている

新人はそのそれぞれの現場に配属されるのだが

女性は身体的に楽な最終検査工程に

男性は身体的にキツイ作業工程に配属

そしてTK工房は1番キツイとされる、材料工程への配属を言い渡された

何がキツイかと言うと

ひっきりなしに運ばれてくる材料を延々にベルトコンベアに乗せるという作業で

その材料というのが、1袋10〜20kgある

アメフト上がりのTK工房にとっては、ちょうど良い筋トレでしたが

勉強一本で今までやって来た理系男子の同期は、材料工程配属を言い渡された時点で顔面蒼白

しかも材料工程は本職の作業員にとっても厳しい現場らしく、離職率も高いと聞かされた

今、現場に残っているのは各工程から寄せ集められたクセの強い、屈強な男たちとのこと

どんな強者がいるかワクワクするじゃないか

人事課長「それじゃあ、各工程の責任者が迎えに来るから、それまでここで待機しておくように」

言われた場所で待つ新入社員一同

すると次々と、責任者らしき人物が現れて、各班ごとに現場に引率されて行く


ついにTK工房の前にも、責任者らしき人物が現れた

事前事情からゴツゴツのおっさんが来るのかと思っていたが

実際に現れたのは、おそらく20代後半かと思われる若くて爽やかな顔つきのお兄さん

でもやっぱり体格はガッチリしていた(笑)

お兄さん「こんにちは。君たちが材料工程に配属されたグループかな?」
TK工房「はい!」

お兄さん「はじめまして。俺は湯原って言います。それじゃあ早速現場に行くのでついてきてください」

一同「お願いします!」

湯原さんの後について、60万平米もある工場敷地内を歩いて現場へ向かう

5分ほど歩くと材料工程の現場まで辿り着いた

そのまま現場の休憩室に案内される

そこには班長と呼ばれている40代の男性、そしてその他の作業員が3名待機していた

時計を見ると13時半に差し掛かるところで、どうやら直(シフト)の入れ替わりのタイミングらしい

湯原「畑班長、連れてきました」

畑「おう。もうちょっとだけ待ってくれ」

つづく


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