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第22話 販売研修の総括

小田「TKさん、1週間の研修どうでしたか?」

TK「凄く勉強になりました!なんというか、全然想像と違いました。営業と一口に言っても、いろいろな営業があるんだなって、当たり前なんですけど、それを実際に目の当たりにして学ぶことが出来ました。」

小田「そうですか。新商品の営業も行ったんでしたっけ?大変でしょ?」

TK「はい。いつも何気なく使ってるだけの、言うたら悪いですけど、どこにでもあるただのスーパーに、あんなに偉そうな感じで対応されるんだなってビックリしました」

小田「はは。見えてくるもんが違うでしょ?(笑)」

TK「はい。棚割とかも、今まで商品があるかないかくらいは、気にして見てましたけど、どの位置に置いてるかとかって、そんなに意識したことなかったんで。知らない間にアプローチされてるんやなって、ホントど素人の意見ですけど、勉強になりました」

小田「そういうのがわかってくると、コンビニとかに行くのも面白くなってきますよ。めっちゃ勉強になると思います。完全に職業病ですけど(笑)」

TK「これからは嫌でも意識して見ると思います!(笑)」

陽川「そういや新商品の営業、相手の反応どやった?」

TK「なんか、タワシ屋が手袋なんかに手ぇ出すな的な物言いでしたね」

陽川「ほんで清田さんは何て?」

TK「そこを何とかお願いします、みたいな感じでしたけど、ダメでしたねー」

金山「えー!お願い系っすか!ダメですねー」

TK「言いますね!?笑」

金山「いやいや、ダメですよ!営業は下手に出たら!私、前職で普通に結果出してましたけど、そんなお願い系やったことないですし」

陽川「金山の言う通りや。むしろ、この商品扱わなくて、オタク大丈夫ですか?くらいのノリでいかんと」

金山「そうそう!むしろ買わないと損すると思わせないと」

小田「これは頼もしい新人が入ってきてくれたなぁ!ガハハ!」

(すげぇなぁ。さすがは元証券。たかだか3ヶ月程度でここまで、差が着くか、、、)

テーブルに唐揚げが運ばれて来る頃には、新人として各テーブルへの挨拶周りが始まった。

瓶ビールとグラスを持って、今後二度と話すこともないような人達も含めて、酒を酌み交わしてた。

新人と言えど、やはり親会社という建て付けだと、腫れ物を触るような対応をされていることは酔っていても感じた

唯一、上から指導されたことと言えば、瓶ビールで酒を注ぐ時は、ラベルを上にするということ。

ラベルが下だと、溢れた雫でラベルが汚れるかららしい。

知らんがな。

そうこうしているうちに、宴もたけなわとなり、小田による締めの挨拶が始まった。

小田「今日は、メーカーからの新人二人と、当社の十数年ぶりの新入社員を迎えることが出来て、非常に光栄です。金山さんは新人ながら、即戦力になってくれると期待してますので、大いに活躍してください。古瀬さんとTKさん、今日で当社での研修も終わり、また本社で商品開発などに励まれると思いますが、是非販売の現場で学んだ事を活かして頂きたいと思います。売れる商品を作ってくださいね!ガハハ!」

一本締めで締めた後は、二次会の流れもなくあっさりと解散になった。


JR三ノ宮駅に向かう道中、陽川が声をかける

陽川「おい、TK。せっかくやからもう1軒だけ行こう」

TK「はい!お願いします!」

陽川「金山、お前どうする?」

金山「すみません、私家遠いので、帰らせてもらいますー。」

陽川「おう、ほなまた来週からよろしく」

金山「はい、ありがとうございました!お先に失礼しまーす」

金山の後姿を見送った後、二人であたりを見回す。

陽川「どこでもええんやけどな」

TK「あそことかどうですか?」

5メートルほど先に見えていた沖縄料理屋を指した

陽川「ええやん。そうしよ」


「いらっしゃいませー。何名様でしょうか?」

テーブル席に通され、おしぼりを渡される

陽川「もうビールはええやろ?」

TK「そうですね。もうお腹いっぱいなので。うーん、あ、ハイボールにします」

陽川「お、ハイボールあるんや。良いね。俺もそれにするか」

この年、サントリーがちょうどハイボールブームに火を付けたばかり。今となっては定番のこのメニューも、この時はまだ置いてない店が多かった。

おしぼりでおもむろに顔を拭くTK工房

陽川「お前、それおっさんやで(笑)」

TK「え?ダメすか?(笑)」

陽川「いや、ええけど(笑)」

TK「あの金山ってコ、なかなかキャラ濃いですねー」

陽川「おう。あえて濃いの採ったんやわ。俺の部下やから、俺が採用面接した」

TK「あ、そうなんですか!採用って人事がするもんやと思ってました」

陽川「人事が採る新卒なんてロクでもないからな。そもそも仕事したことない奴らが、どうやって仕事出来る人間を採るんや」

TK「仕事したことないって(笑)」

陽川「いや、真面目に。人事なんか、ビジネスのビの字も知らんやつが、無責任にテキトーな採用かましとるんや。どこの会社も」

TK「たしかに言われて見れば、営業したことない人間がどうやって未来の営業マンを採るんやって話ですね」

陽川「せやろ。そもそもが間違っとんねん。その上、うちの会社は何を勘違いしてか、学歴フィルターかけとるやろ。東大京大とか採用して喜んでるけど、勘違いも甚だしいわ。その学歴でこの会社に来るって、どこも行かれへんかったどうしようもない奴やってのがわかってない。その証拠に学歴が上になるほどロクでもないやつしかおらんぞ」

続く

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