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労働判例を読む

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2023年10月の記事一覧

労働判例を読む#502

※ 司法試験考査委員(労働法) 【Ciel Blueほか事件】(東京地判R4.4.22労判1286.26)  この事案は、従業員10名程度の輸入事業会社Yに勤務するXが、不当に減給(月給83万円→75万円)された、等として、賃金の差額と、慰謝料(精神的損害の賠償)の支払いを求め、これに対してYがXに対し、経費と称して騙し取った金銭(600万円超)の返還を反訴として求めた事案です。裁判所は、Xの請求を概ね認め、Yの請求を否定しました。 1.就業規則の不存在と減給の可否  

労働判例を読む#501

【国立大学法人東北大学(雇止め)事件】(仙台高判R5.1.25労判1286.17)  この事案は、大学職員の業務を通算8年間行った従業員Xが、大学Yによる更新拒絶を無効として争った事案です。2審も、1審と同様にXの請求を否定しました。 1.実務上のポイント  1審と同様の判断が示されたので、そこで指摘したポイントは同様に維持されています。なので、「国立大学法人東北大学(雇止め)事件」(仙台地判R4.6.27労判1270.14、労働判例読本2023年版161頁)も合わせてご