15th Rock Ventures
未来のVCの形の潮流を創る①【独立系VCとしての我々の投資テーマ】
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未来のVCの形の潮流を創る①【独立系VCとしての我々の投資テーマ】

15th Rock Ventures
今回の記事は、15th Rock VenturesのFounder/General Partnerである中島徹による記事です。全3回にわたる連載モノです。

投資テーマを「Human Augmentation」にした想い

私は仲間と共に新たに独立してベンチャーキャピタルを創るにあたって、今のベンチャーキャピタルの形にとらわれない、未来のベンチャーキャピタルの形を模索し、新しいベンチャーキャピタルの形の潮流を創っていきたいと考えて議論を重ねた。

そして我々は現在、Human Augmentationを投資主題に掲げた15th Rock Venturesというベンチャーキャピタルのほかに、Spirete(スピリート)というスタートアップスタジオの2つを兄弟組織として運営している。

今回の記事では、2社を同時に立ち上げた際の、コンセプトや理念(というと大袈裟だが)について3回に渡って書いていく。1回目は、我々15th Rock Venturesの投資テーマであるHuman Augmentationについて。

アイアンマンを創ってみたいって?バカじゃね?

「自分のファンドを創って独立をする」ことを考え始めた時、ファンドとしてのコンセプトやどういうテーマに投資をするのか、そもそも自分は何をやりたいんだろうか?と「やりたい事を考える」ことから始めた。
 じゃあ、俺は何がしたいんだ?人生は一回きりだしってよくいうけど、何なんだろう?と禅問答的な事を考え出すと答えは見つからないなと思ったので、そもそも俺は何が好きなんだろう?と考えてみる事にした。何故最初にエンジニアになったのか?に由来するが、「SFのような夢の世界をテクノロジーを通じて実現していく」ということをやりたかった。エンジニアは子供みたいな夢を追い続けている人が多いと思っていて、私も同じように面白いマジックみたいな事を現実のモノとしてみたい。と思い工学部に入った。SF映画は今でも好きで、その中でも一番アイアンマンが好きである。そこから、人の能力を拡張する事で何かできるのでは?というのが最初の起点であった。
 「スーパーヒーローみたいな、ガキみたいなのが好きなのはまあ置いておいて、何でアイアンマンなの?他にもスーパーヒーローはいるだろう」と孫泰蔵さんに聞かれた。アイアンマンことトニースタークは、普通の人間(キャプテンアメリカ、ソーやハルクと比べ)でスーパーパワーがある訳でもない。そこを自分が開発したテクノロジーの力で補い、どんどんと強くなっていくのである。映画上のファンタジーではあるが、テクノロジーの力で、人間が出来る限界をどんどん広げていくところが好きなのである。自分はエンジニアでもあるので、バットマンのように執事のアルフレッドが作るのではなく、自ら創り出すというところも好きだ。これらの発想の中から、Human Augmentationを投資テーマにすると良いのではないか?とパートナーの源ともかなりの時間議論して選んだ。

我々が考えるHuman Augmentationとは?

 Human Augmentation領域への投資を通して、我々が実現したい事は、以下の3つ。
・「人生100年時代」といわれて久しいが、よくよく考えなければならないのが、健康寿命は実はさほど伸びない。人によってかなり違うが、70代や80代ぐらいで健康寿命が来てしまう方も多く、寝たきりにならなくても何らかの介護が必要な期間が10〜20年続いてしまう。大きな社会問題でもあるが、この健康寿命を、複数の技術を組み合わせて伸ばしていきたい。これが一つ目の実現したい事。

・二つ目は、「人が色々なスキルを習得したり、常人では出来ない事を技術で実現したい」。100年健康に生きられるとすると、長くてとても暇なのではないか?健康だけではなく、今後は人生を豊かにする技術が求められて来る。AI・ロボティクス・電子工学・AR/VR・ブレインマシンインターフェース・バイオメカトロニクスなどの要素技術を複数組み合わせる事で、身体能力を向上させ、不可能であった様々なスキル習得を実現し、人生の選択肢が豊富な世界を創るということを目指したい。

・最後に、「障害者向けの技術や製品」「バリアフリー」という言葉を無くし、障害があるということは一つの個性である世界を実現したい。目が見えない方が耳が普通の人よりも極めて発達していたり、皮膚の感覚がとても鋭かったりしているかと思う。その人が、目が見えないのをメガネの様な技術で克服すると、目が見えて耳は常人を遥かに超える能力を持った方になる。実は障害を持っていた事で育成された他の感覚が、技術で補完出来れば大きな個性になるのである。ファンドを設立して投資家を探している中で、「障害者向けの技術は儲から無いでしょ。そんな儲から無いファンドには投資できない」と何十回も言われた。とても古い技術だが、メガネはHuman Augmentationの技術だと考えている。私はとても目が悪いので、メガネが無いと障害者である。でも誰も私を障害者だとは思わないし、メガネの産業は非常に大きな産業の一つ。この3つ目の実現したいことは非常に難しいと思うが、事業としての成長可能性をしっかりと天秤に掛けながら挑戦して行きたいと考えている。

何がやりたいのかからスタートし、孫泰蔵さんと2日間の合宿までして固めたテーマを軸にこれまで2年弱活動してきた。改めてまとめてみるとちょっと壮大過ぎるかなとも思うが、これが我々が実現していきたい世界観である。

Human Augmentationの分類とレベル

Human Augmentationを提唱されている暦本純一先生とも同じ考えなのだが、Human Augmentationの実現に向け、全体を4つの分類(脳・体・五感・存在)と4つのレベルに分けて考えている。

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分類はAugmented Brain(脳の拡張)、Augmented Body(身体能力の拡張)、Augmented Sensing(五感の拡張)、Augmented Experience(存在の拡張)の4つに分けており、レベル分けは「計測・把握」「再生・治療」「トレーニング・強化」「スーパーヒューマン」と、順次レベル感を上げている。最初の話に戻るが、スーパーヒューマンではアイアンマンを実現したいのである(笑)
詳細は、15th Rock Venturesで発表したカオスマップを是非ご覧ください。



中島 徹(なかじま てつ)
15th Rock Ventures Founder & General Partner 兼 Spirete, Inc. 代表取締役

東芝の研究開発センターにて8年間、無線通信の研究・無線LANの国際規格の標準化・半導体チップ開発業務に従事し、数十件の特許を取得。2009年から産業革新機構に参画し、ベンチャーキャピタリストとして、日米でロボティクス、IT、ソフトウエア系の投資を手掛ける。エンジニア経験を生かして投資先の業績改善にハンズオンでコミットし、上場や売却など複数のEXITを実現。2016年にMistletoeに参画、2017年よりChief Investment Officerとして15ヵ国での投資活動を統括。2019年、15th Rock VenturesとSpireteを設立。
日本や米国シリコンバレー、欧州の有力な投資家・起業家とのネットワークを有する。北海道大学大学院工学研究科修士、グロービス経営大学院修士。
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Human Augmentationを投資主題にしたベンチャーキャピタルです。投資コンテンツだけでなく、VCとしての意義、Human Augmentationというテーマについて考えていきます。|https://www.15th-rock.com/