見出し画像

三歩進んで

岡本:男子。愛称はおかちゃん。
夏鈴:女子。かりん。岡本の彼女

※2人とも関西弁です

+++


岡本:おかんー?あ、風呂入ってんのか。ほな後でええわ。あのさー、あれ、電子辞書壊れたから今度買いに行くわって話。いや、小遣い足りてるから大丈夫
岡本:(スマホが点滅)おぁ、なんか来てる……なになに
夏鈴:「おかちゃんー」
夏鈴:「週末ひま?」
岡本:週末て。明日やんけ
夏鈴:「既読はや」
岡本:(打ち込む)「たまたまな」「週末て明日明後日やん。なに」
夏鈴:「遊園地いこ」
岡本:「いやなんで。陽キャこわ」
夏鈴:「ちゃうちゃう。あのー前行ったちょっとさびれてるとこなー、お姉ちゃんの勤め先の割引で安く行けるねんけどー、三月末までなんよ」
岡本:「理解」
夏鈴:「はやい話がおデートでござるよ」
岡本:「おデートならば許す!」
夏鈴:「あざーす!明日じゃあ難波で合流で!おやす!」
岡本:「難波!?バリ混むで大丈夫かそれ」
岡本:……えー、もう既読つかへんやん……寝んのはやぁ
岡本:「おやすみー」、っと
岡本:おかんーまだ風呂入ってんのー?俺さ明日夏鈴と遊園地いくことなったわ!おん。いや小遣いはまじ余裕であるから。てかはよ風呂出てよー俺寝てまうわ

0:(間)

0:(翌日)
夏鈴:……いや人多っ!どっから湧いてきたねんー!待ち合わせ不可能では~?
夏鈴:あ、電話……はよー!おかちゃんどこおる?
夏鈴:改札?ほな近くかも。(人にぶつかる)あっ、すんませんー。わからんわこれ
夏鈴:おかちゃんちょっと変な事してよ!……待って見つけたかも。ほんまに変な事してるやん、ちょっと待っててー
夏鈴:(肩を叩く)うぃ!
岡本:うぃ!荷物多くね?なんか
夏鈴:ちょっと荷造り失敗したねん。あ!おかちゃんもうお昼買うた?
岡本:まだ!コンビニこれから寄ろかな思てた
夏鈴:まじか!実はさーお弁当作ってんけど
岡本:えっおれの分もってこと?神?
夏鈴:おいしいかわからんけど一応作らせていただきました
岡本:神すぎるー!ほなちょっと飲み物だけ買うしコンビニ寄っていい?
夏鈴:ほーい

0:(間)

0:(遊園地内)
夏鈴:到着しました、が!
岡本:混んどるー!この遊園地、前ガラガラやったけどめっさ混んどるやん
夏鈴:さびれてるとか言って申し訳ない気持ち!そういえばなんかリニューアルされてたかも。頑張ってはんねんなー
岡本:中入ったら座るとこないなこの感じ。もうここで飯食っちゃう?あ、そっか弁当か!
夏鈴:言うて11時やもんな。食べちゃうか
岡本:そこのベンチでいい?
夏鈴:鳥のフンとかない?
岡本:ない!きれいきれい!
夏鈴:最高!じゃあ開けますよ!お弁当!
岡本:お!あけちゃってくださいよぉ
夏鈴:はいパカっ!
岡本:え!すげぇ!きれい!おかずも野菜もあるんすご!うまそー!
夏鈴:私のもおんなじやつね!どーぞ!
岡本:すげぇー!だし巻きあるやん……いいの?いただきます
夏鈴:どぞー
岡本:あーうまい!うまいでぇ…冷めてもうまいのすごくね?
夏鈴:朝忙しくて味見してないねんけど大丈夫?
岡本:うん……うまくて幸せですぅ
夏鈴:ほんま?おかちゃんに食べてもらうのちょっと怖かってん
岡本:え。なんで
夏鈴:え。そんな露骨に傷つかんといてよ
岡本:俺なんやと思われてんの
夏鈴:ちゃうねんて。おかちゃん料理旨いやん。チャーハンめっちゃおいしかったからさぁ
岡本:あぁ、アッホ。あれは魔法の粉先輩のおかげやんか
夏鈴:魔法の粉ぁ?
岡本:そ、誰でもうまなるやつ。なんや、ホラ。赤いやつ。うぇい、うぇいなんちゃらいうやつ
夏鈴:あ!知ってるそれ。なんやっけ、うぇい、うぇいなんちゃらやんな!
岡本:ここまで出てるねんここまで。ちょ、本気出して思い出すわ、待ってな!
夏鈴:待ってるで!超待ってる。頑張って!
岡本:ってそういう話ちゃうやん!夏鈴の飯がうまい言う話ですやんか
夏鈴:そうでしたー
岡本:あ、粉、アレうぇいぱーや!思い出した!
夏鈴:ちゃうやん。ウチの弁当の話やん
岡本:それは、本気でめっちゃうまい。冷めてもうまいまじやばい
夏鈴:口入れ過ぎてハムスターみたいなってるやん。おもろ
岡本:なぁ全部うまいで。外れなし、大当たり!俺の好きなモンばっかやし。もう夏鈴大好きや
夏鈴:ウチもおかちゃん大好きや~!
岡本:すげぇ!両想い!
夏鈴:もともとやんけ!
岡本:そうでしたー
夏鈴:あっあとさ、おかちゃんコレ荷物増えるねんけど……
岡本:んぇ?なに
夏鈴:た?
岡本:え、なに
夏鈴:たん?
岡本:えっごめん、俺なんかした?こわい
夏鈴:たんじ?
岡本:え
夏鈴:誕生日~、おめでと!はいどーぞプレゼント!
岡本:えっ、え~~~
夏鈴:うそぉ。ガチでびっくりしてるやん
岡本:ちょ。聞いてへんて。あっあっそっか今日やんほんまに!えー!
夏鈴:言うてへんもん。ちゃんと誕生日当日に予定ねじ込んだのよ
岡本:どうしようガチできょどってるわ
夏鈴:とりあえずプレゼント開けてや
岡本:おん
夏鈴:ぶっ。おん、てなに
岡本:なんかデカくない?え?高いヤツ?大丈夫?
0:(包装された箱をあける)
夏鈴:さぁなんでしょねーなんでしょ~ね~
岡本:ッやっば!!!!
夏鈴:わ、びっくりした
岡本:……ちょぉー夏鈴大好き
夏鈴:中身みた?ちゃんと見た?
岡本:見たわ!え、なんなんもう
夏鈴:嬉しい?
岡本:うわー。泣きそう
夏鈴:もう泣いてるやん
岡本:ありがとう~
夏鈴:おう。てか泣きすぎな。顔ぐしゃっぐしゃ。子どもか!
岡本:夏鈴はなんなん、エスパーか
夏鈴:えぇ?どしたん
岡本:なんで俺の欲しいもん知ってんの
夏鈴:えすぱーやねん
岡本:マジか知らんかったわ
夏鈴:いやおかちゃんのロック画面みたらだれでもわかる
岡本:うわ見られてたか
夏鈴:コーヒーミルがバーンってロック画面にあったら「何?」って思うやん。最初なんかようわからん機械?って思ってたし
岡本:えーありがとう、てか重かったやろこれ
夏鈴:思ったより重かった!
岡本:ごめんな弁当も持ってきてもろて
夏鈴:荷物多すぎて自分でオモロなったけど、どうせやったら今日渡したかってん
夏鈴:コーヒーミルとかワンチャンお母さんに買うてもろてるかもって思てたから、そこはまじでよかったかも
岡本:いやーまさかロック画面からバレるとは思わんかったなぁ……まじでエスパーかと思ったし
岡本:夏鈴エスパーやったら俺が夏鈴大好きなんばれるやん
夏鈴:実は知ってるで
岡本:え、そうなん
夏鈴:なんでちょっと照れるんそこで
岡本:恥ずかしい
夏鈴:恥ずかしいことあるか!
岡本:そっか俺ら付き合うてるもんな
夏鈴:せやで。びっくりするわ
岡本:なぁ俺いまめっちゃ幸せ
夏鈴:聞いて、ウチもめっちゃめっちゃ幸せ
岡本:うわ何いちゃついてんの俺ら
夏鈴:なんなん何でスンってしたん。ムードどこいったん
岡本:急速に照れてきた。周りの人うわー思てるで
夏鈴:ちゃうて。砂糖げろげろーって思てるって
岡本:げろげろとか言わんといて
夏鈴:ちょお待って、ムードいずこ
岡本:あー、もうあかんわ。恥ずかしい
夏鈴:ありゃりゃ
岡本:いやけどこれはホンマにナイスすぎる。俺コーヒー豆だけ買ってミルずっと買ってへんかってん
夏鈴:何ソレ。挽けへんのに豆だけ買ったってこと?形から入るひとやん
岡本:そやねんー。これ形かっこいいし最高や。ここに引き出しついてんのかわいい
夏鈴:実はそんなに高くないねんけど
岡本:それ言わんでいいやつ
夏鈴:褒められすぎて申し訳なくなってきた。実はアマズンさんでちょっと安く買いました
岡本:言わんでええ!要らん謙虚―!
夏鈴:ふふ、とりま喜んでもらえてよかったわー荷物増やしてごめんやけど。あ、お弁当のカラ捨てられるやつやし捨てちゃお!あっこにゴミ箱あるわ
岡本:ちゃんと捨てられるやつにしてるんか!かしこすぎ。っしょ。ついでにこれリュックに入れちゃお
夏鈴:入る?
岡本:いけるいける。……おけ。うぃーまず何乗る?
夏鈴:観覧車乗りたいかも
岡本:えっ
夏鈴:えっあかん?観覧車。ちょっと並ぶけど
岡本:う、や、ちゃうねん酔うねん俺
夏鈴:うそぉ。カップは酔わへんやん。ブン回してるやん
岡本:だって上がってくやん観覧車。むり。俺飛行機とか酔うねん
夏鈴:ええー
岡本:え、ええー。どっしても観覧車言うんやったら俺も乗らしてもらいますケド
夏鈴:いや他の乗るわさすがに。げろげろされても困るし
岡本:やーん、夏鈴好き!やざじい~
夏鈴:それ誰の真似?
岡本:素の俺
夏鈴:キャラぶれっぶれか
岡本:あ、俺飲み物追加で買うし先なんか並んどいて
夏鈴:さっき買ってたんもう無いの?水めっちゃのむなぁ
岡本:あついしな。夏鈴お茶ちゃんとある?
夏鈴:あるー。ほな何か適当にプラっと並んどくわ。ライン見といてな
岡本:ほーい

0:(間)

夏鈴:あー楽しかった!満喫し過ぎて眠い
岡本:混んでるわりにめっちゃ乗れたな?
夏鈴:それな!あ、おかちゃんホームあっち?
岡本:そう!夏鈴こっちか
夏鈴:うん。今日ほんまにありがとう、急に誘ったのに
岡本:こっちこそ弁当もプレゼントも用意してもらってありがとう。もてなしてもらった感じやわ
夏鈴:あ電車来た!
岡本:これ?
夏鈴:うん!ほな!
岡本:うんまた!次俺が誘うわ

0:(間)

0:(自室で)
岡本:あああ~久しぶりのおデートが何もなしに終わってしまいましたー!!俺のせい!
岡本:なんやねん観覧車恥ずかしくて乗れへんって俺。変な嘘ついてもたし……いやだってほんまになんか告白しちゃいそうな雰囲気出てまうねんもんなぁあれ!いや告白はもうしてるってか付き合ってるけど!
岡本:なんかいつも夏鈴に進めてもらってるきがする……
岡本:進みませんなぁなっかなか。もう22やで俺ら!?高校生みたいなことしてるもんなんか。楽しいけど
岡本:こんなんなんかなぁ、世間の人みんな。俺が臆病すぎるだけなんかな
岡本:(がバっと起き上がって)「夏鈴……愛してる」……
岡本:ッハァー!(ベッドから落ちる)だぁ痛っタ!
岡本:あー……アホくさっ!風呂はいろ。
岡本:おかーん!おかん風呂?えーなんで俺が入ろと思った時に入るねん。長風呂やしホンマに……
岡本:(再びベッドに寝転がって)スマホ……うぉ通知めっちゃきとる
岡本:えっ夏鈴やん。なに
夏鈴:「おかちゃんアルバム見て!」
岡本:アルバム?ん、「今日のおかちゃん」?
岡本:枚数ヤバッいつの間にこんな、ってか五枚に一枚ぐらいぶれてるけど。あのタピオカみたいなカメラでどやったらそんなブレるねん
岡本:ジェットコースターの時とかあるし。どやって撮ってんねん危ないな
夏鈴:「これ見てこれこれ」
夏鈴:「個人的今日のベストおかちゃん」
岡本:うわブサイク。これあれやろ、弁当食うて感動してるやつや
夏鈴:「お弁当もプレゼントも喜んでくれてうれしかったわ。おかちゃんまたチャーハン作ってな。」
岡本:作る!そんなん作るわ。
岡本:イケメンか!夏鈴イケメンか!もぉーーーー好き。正直ちょっと泣いたわ今
岡本:夏鈴大好きほんまに
岡本:あー……送ろっ送っちゃおー。この流れやったら大丈夫
岡本:「だ、い、す、き。はぁと」っと。はぁとキモイかな……
夏鈴:「おかちゃんだしすき」
岡本:既読はっや返信はっや!こっわ!
岡本:いや待って、だしすきってなに。
岡本:だしすき。だ・し・すきって書いとるなぁ!?ウェイパーより出汁派なん!?どゆこと!?
岡本:気になりすぎる……誤字?マジ?韻ふめてもた、謎すぎて
夏鈴:「誤字った!なんかもう、出汁!って感じ!おやすみ!」
岡本:はぁー!?なんそれもうー、もう言うたろこの勢いで言うたろ
岡本:(ラインに打ち込む)「来週末、覚悟しといて」っと。ハイ!はい送ったよはい!
岡本:(深呼吸して待つ)……いやそこは既読つけ!ねるんはっや!ハズイやんなんか

0:(間)

0:(一週間後)
夏鈴:「来週末覚悟しとき」
岡本:やめて!恥ずかしいから!
夏鈴:朝起きたら果たし状みたいなん来てて二度見したわ
岡本:緊張しぃやねん!一大決心なの!おデート誘うのも!
夏鈴:ほんでどこ行くとかもないしさぁ。今日どこ行くの?
岡本:すいませんねぇ不慣れで
夏鈴:おかちゃんから誘われたことないからウチも謎に緊張―。いやでも正直めっちゃ嬉しかった
岡本:いつも誘ってもらってるからがんばろっと思って結構頑張ったんよ。あそこのクレープ屋さん!
夏鈴:えクレープ屋さんなんこれ!めっちゃおしゃれ!
岡本:甘いクレープも食事クレープもあるねんここ
夏鈴:食事クレープ?
岡本:とりあえずはいろはいろ。予約してるし
0:(間)

0:(店内)
夏鈴:あーこういうやつか!ラタトゥイユ風とか……ピザみたい
岡本:店おしゃれな割にそんなにお高くないし、いっぱい食べれそうやし良いかなと思って
夏鈴:1000円でサラダとスープとデザートあるのほんまに天才やわ。あと店まじでかわいい。レジの横のとこにさー、オリジナルティーバッグとか売ってたし帰りに買おかな
岡本:あーおみやげ?ええやん。
夏鈴:そうそう妹にな!ウチこれにする!三種のチーズのなんちゃらみたいな
岡本:じゃあ俺ラタトゥイユ風?にする
夏鈴:あーそれも気になる
岡本:ちょっと分けたげる。俺もそっちちょっと欲しい
夏鈴:いいね!物々交換
岡本:物々交換?まぁ物々交換ちゃ物々交換か
夏鈴:紅茶ってセットに入ってんのかな?
岡本:うんコーヒーか紅茶か本日のスムージーみたいなこと書いたある
夏鈴:うわスムージーええなぁ……でも紅茶!
岡本:俺も紅茶!注文するで!
夏鈴:おねがいしまーす

0:(間)

岡本:結構見た目のわりにお腹いっぱいなるなアレ!
夏鈴:おいしかったー!あとデザートやっけ
岡本:あ、そっかデザートあるわ
夏鈴:おかちゃんこの店どうやって見つけたん?結構ウチこの辺くるけど知らんかった
岡本:おかんが結構うまい店知ってるからさ。
夏鈴:へー!めっちゃええやん
岡本:ほんでさ、さっきからずっとこの話しようと思ってタイミング永遠に逃してるねんけど
夏鈴:お、なんかマジメな話?
岡本:俺らもうすぐ大学卒業するやんかー
夏鈴:ひぇー、はっや
岡本:今も大学違うし俺的にはめっちゃ気遣うんよね
夏鈴:え、何に気遣うん
岡本:いや結構俺んちに近い方で遊ぶこと多いやん、夏鈴の方が多分忙しいのに誘ってもらってるしさ
夏鈴:そーんなことはないけど
岡本:そう言ってくれるのはほんまありがたいけど!なんか、な、わかる?
夏鈴:気ぃ遣ぃいやもんねおかちゃん。うちの家の近くそんな遊ぶとこないなーっていうだけよ
岡本:ほんでな?デートいくやん、こないだみたいにいくやん、そしたら夏鈴にいっつもひっぱってもらってるなって思って
夏鈴:今後は俺がリードするぜって話?
岡本:いやリードしていただくのはありがたいから、ありがとう今後もよろしくって感じ
夏鈴:あっそうなんや。任せろ
岡本:でな、夏鈴無理してへんかなって俺は一人で心配なわけ!勝手にな!勝手に。夏鈴俺といたら大変ちゃうかなって。でもさ、でも?でもじゃないけど、就職とかするやん俺らたぶん。
夏鈴:そやなー!考えたくないけど
岡本:そしたら忙しくなるから遊ぶのも大変になったりとかするんかなとか思ってさ、
岡本:それでなかなかさ、言い出せへんかったねんけど。これ以上夏鈴に負担かけるとか勝手に思って
夏鈴:うん。え、こわいこわい何?別れ話ではないよね
岡本:うわぁーん違う!違う違うそれだけはほんまに違う!捨てんといてこれからも末永くまじでお世話になりたいですほんまに大好き
夏鈴:突然のデレやば!えっ今のは逆にすごくない?プロポーズ的なテンションになってもうましたがな
岡本:……
夏鈴:……え
岡本:夏鈴ってやっぱりエスパーなんかな
夏鈴:え?もしかしてあかんタイプの先回りしたウチ?
岡本:まーでも要するにそういうことなんですよ夏鈴サン
夏鈴:恥ずかしいから黙秘していい?
岡本:どうぞ!
夏鈴:はいお口ミッフィーちゃん
岡本:はぁー、何話してたんかわからんなった……いやなんかな、俺その夏鈴と一緒にいたいけど夏鈴にもらってばっかりで申し訳なさもありつつの圧倒的一緒にいたいな、っていう状態なわけ
夏鈴:っふふ
岡本:そう。何の頼りにもならんかもしれんけど、今のうちに、約束したいなって……そういうこと。
岡本:プロポーズ?的な?やつ。一個もキマらへんけど
夏鈴:……しゃべっていい?
岡本:どうぞ!というかお願いします
夏鈴:返事ではないんやけどさ、ウチ今まで付き合ったことなくてさ、おかちゃんと付き合ってるのもなんかすごい女友達とあんま変わらんみたいな感じやったねんな?たまに考えるねん、結婚とか。でもさーなんかイメージがわかんくてさ。ウチ結構世話焼きやけど、他人と一緒に住めるかって言われるとホンマに自信なくてさ。自分の感覚押し付けちゃったり、すると思うねん。勝手に部屋はいられたり鞄みられるんもすごい嫌いでさ。パーソナルスペースっていうか。
岡本:うん、なんかわかる
夏鈴:でも結婚すると一緒に住むやん。こどもとかできたりとかするかもしれんやん。それが本気で自信ないねん
岡本:うん
夏鈴:ウチたぶんどうでもいいことですぐ怒っちゃうし、イライラするし、自分のことで手一杯になるし。やっぱ家の外やとちゃんとできるけど、家の中までちゃんとできるかって言われると、できひんとおもう
岡本:そりゃ、俺もそうや
夏鈴:ちゃんとできてないのを、おかちゃんに見られるの恥ずかしいな、とか思うねん
0:(少し、沈黙)
岡本:ちゃうねん。ちゃうくないかな。なんか、なんかさ、むずかしいけど、
夏鈴:うん
岡本:ほんまに、約束っていうと夏鈴も縛っちゃうみたいないいかたやけど、いや実際そうやけど。100%俺のわがままっていうかさ、
岡本:結婚するっていうイメージは俺もまだもてへんくて。高校生みたいなデートしてるのめちゃめちゃおもろいし楽しいし。でも、就職して忙しくなって会う理由なくなったらどうしようって一人で考えて泣きそうなってさ
夏鈴:出た、泣き虫
岡本:一週間に二日ぐらいほんまに泣いてる。でな、結婚するかどうかとか、一緒に住むかどうかとか、幸せになれるかとかそんなん度外視で夏鈴と一緒にいたい……みたいなさ、会う理由がほしいし、夏鈴のスケジュールに割り込む資格が欲しい、みたいな。みたいなっていうか、マジ。
夏鈴:うん
岡本:なんかこういうのって幸せにしますって、言うやんな普通な……情けなさすぎん?俺言ってること
夏鈴:んー、なんかでもおかちゃんっぽいかも
岡本:っはは、そーね。
岡本:そのー、いろんなイベントがあるやんか。人生において?んーちょっと高い飯食いに行くとか、いやそれは普通やけど、病気になって手術するとか、朝起きたら鼻血出てて枕真っ赤やとか、突然犬を飼いたくなるとか。夜急にしょうもない映画見に行きたくなるとか、徹夜明けにマクドいきたなるとか、あるやん。そういうのをいつも、夏鈴としたいの。俺は、
岡本:俺は、そうしたいよって話。
夏鈴:なんかそう聞いてたらできそうな気、してきたかも
岡本:究極いうたら、俺一日夏鈴といれたらホンマに幸せなるねん。でも一日おってさ、寝る前にもう一日ぐらい一緒にいれたらいいなぁって思うねん
夏鈴:え、そんなに細かく刻んでんの?欲なさすぎちゃう?心配なってきたでなんか、若死にせん?おかちゃん
岡本:若死にするかもしれん。いやでも逆に長生きかもよ
夏鈴:たしかに
岡本:俺、気遣ぃいやからさ。ほんで泣き虫やし
夏鈴:うん
岡本:口下手やしな!?なんか自分で言っててかなしなってきたけど!情けない感じやけど、夏鈴の側におって朝から晩まで一緒にネタにして笑いたい
夏鈴:うん。ウチもそれは、ほんまに楽しそうやなって思う。し、さっきのおかちゃんの話きいてて思った。レイトショーとか一緒に見に行きたい
岡本:一緒に住むとかはさ、どっちでもいいんかなって思うんよ。とりあえず夏鈴的に俺といるにあたって快適な環境を作ってもろて
夏鈴:めっちゃ気遣われてる
岡本:あんさ、ほんで、
岡本:指輪買うてもいい?買わして
夏鈴:突然!てかそれ事前に確認することちゃう……
岡本:不安やの!俺も!指輪とか重いって言われたらすぐやめる!やめるよ!ハイ
夏鈴:いやヤメテとはいってない!ステイステイ!
岡本:どう、でしょうか夏鈴さん的には
夏鈴:嬉、しい。
夏鈴:で、でも!うち、指太いから指輪、はいらんかったらいやや
岡本:え
岡本:ほな、い、一緒に買いに行く?
夏鈴:ん?
岡本:あ、そういうの求めてなかった?え?
0:(一瞬、お互いぽかんとする)
岡本:あ、そうや、あのさ。どうせやったら来週、いこ
岡本:夏鈴のさ、誕生日。よ、よかったら、やけどさ……
夏鈴:ふへ。天才かも

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?