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産まれる前から人の死に目に会いすぎた

私の愛した人々は霞の向こうへ行く

仏の列の去り行く音を聞いている

寂々と

トラックが霧を巻き上げて走っていくのを見ている

訥々と

雨が降っていた

しゃらしゃらと

砂の流れる音を聞き

私も続くべきかと夢見心地に思う

ことばをおいていかなくては仏の列に入れない

私はことばを手放すことはけしてできまい

口からことばの煙を立ち上らせながら

寂々訥々しゃらしゃらと歩みゆく列を見送った

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