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オピニオン:株を超長期的に見て今は買い時ではないと思う理由

個人的に一番信頼しているのはサマーズさんなんですが、彼らも米景気の先行きに対してよくわからないというスタンスです。
こういったマクロ経済学からアプローチではなく僕は米株に対して弱気です。
今回はBEI(ブレークイーブンインフレ率)いわゆる期待インフレ率から米株が買い時ではないということを書いてみたいと思います。

グラフは、SP500、10年BEI、FFレートです。

BEIの基本的な見方は、金利の先行きから企業業績の予測に役立てたりFRBのスタンス予測に役立てたりするのが一般的だと思いますが、個人的にはインフレで経済が膨張しているその目安に使えると思っています。
つまりインフレは株価にプラスという考え方ですね。最近インフレが株価にマイナスだと言われているので、初心者の方は誤解しやすいかもしれませんが。景気循環サイクルとも関係しますが、基本的にはマイルドなインフレは株価にプラスだと言われています。

さて、そういうことでアメリカの潜在成長率が1.8%辺りであると考えて、その辺りにラインを引きました。(なお、この1.8%は目安であってあまり深い意味がありません)

黄色の破線より上がインフレつまり景気が上向きで、1.8%よりも下の時がインフレも下、つまり景気が冷えているときだと考えます。
これは絶対値としての1.8%ではなく、その傾きも大事です。
つまり、期待インフレ率が1.8%を下回って、更に下向きの時は経済が底に向かっているので株の買い時ではなく、そこを打って上昇しているときは買い時だと僕は考えています。
というわけで過去のデータで、そういったタイミングで株がどう動いたかというのを検証してみます。

①③が1.8%を下回り下ぶれているケース:株は売り
②④が1.8%を上回り、上に行ったケース:株は買い

全体を見るとこうなります

さて、①番のケースでは株は8%程調整したあと、一年以上も低迷しています。上がるのは②のタイミングで期待インフレ率が上がったときです。②のケースでは、期待インフレ率がピークを打つまで二年以上、約40%も上がっています。まさに黄金時代ですね。
さて問題は③のケース。期待インフレ率は下がっているにも関わらず、株は上がり続けています。これについては、コロナ期と重なっていることもあり、全体としては下げているものの、下げている中にもFFレートが下がったため期待インフレ率が上がっていため、条件に合っていないようです。
月足なので日足で見るとこうなります。

この様に、拡大すると期待インフレ率が下がっている時期はやはり株も軟調となっています。④ではもちろん期待インフレ率と同時に株価も上がっています。その上昇率なんと64%です。
ここで注目してもらいたいのが、期待インフレ率が1.8%以上で上がっている状態で64%上がっているわけで、株価のそこを拾っているわけではありません。
つまり慌ててそこを拾わなくても全然OKだということです。
FOMOが話題ですが、全く慌てる必要はないと思っています。

さて以上を踏まえて、今の状況を改めて確認しています。

この様に、今の期待インフレ率は2.38%であり1.8%を大きく超えています。この状態では上記条件の売りにも買いにも該当しません。
ですが、今、FRBの金融政策によって期待インフレ率は大きく下がる可能性があります。反面、下がったとしても3%ぐらいでもうそれ以上下がらないのではないかとも言われています。
つまりこうです。

①のケースでは急落して戻すパターン(ハードランディング)
②のケースではジワリ下がっていくパターン(ソフトランディング)
今の所どちらになるか判りません。
で、②のソフトランディングは、期待インフレ率がそこそこでとどまった場合で、過去そのような場合株価がどうなったかというと例えば、今回のようにFEDが利上げしていて且つ期待インフレ率が横ばいだった2018年の場合こうです。

期待インフレ率が横ばいである260日近く、株価はボックス圏に入っています。値幅は10%近くありますが、値上がりとなると僅か2%です。

またハードランディングになると、株価は暴落するでしょうけど、FEDが利下げすると思われるので、期待インフレ率も急回復すると思われます。
ただし一端期待インフレ率が大きく下がらないと利下げできないはずで、とんでもない買い場が来ると思います。

以上、まとめると
ソフトランディングの場合、ボックス相場になる。
ハードランディングの場合、大きく下落するがとんでもない買い場になる。

何れのケースでも現在今の時点では、長期的に買って放置する事がいいとはとても思えません。ボックスならうねりを取ればいいし、暴落なら慌てず期待インフレ率や金利を見て買えばいい。と思います。

以上、BEIから株価を考えてみました。

なお、BEIも計算のベースは金利であり、債権投資家の意見が色濃く反映されていますので絶対正しいとは言えないことにご注意ください。




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