『マジカル・ミステリーツアー』カットアウト盤と転校して行ったあの娘
1975年10月、中三時。今で言う「ショッピングモール」の開店セールで、洋盤の特売があった。当時LPは高価で、某遊園地で1日バイトしても邦楽LP1枚買うのにやっとだった(中学生がバイト⁈おメメをつぶってくだしゃんせ💦)。ましてや洋盤なんぞをや😂。
さてそのセールでは、ワゴンにコーナーが設けられ、そこには結構な数の洋盤が入っていた。しかも1000円ほど安い。POPには「アメリカ カットアウト盤」と書いてあった。その意味は、当時地方の中坊には情報がなく理解できなかった。そこでビートルズ好きの友人の間で誰も手を出してなかったこのアルバムを「掘り当て」た。しかも1日のバイト代でお釣りがくる。
…買うしかないでしょ。しかもこのアルバムはこれ一枚だけ。ラス1とのこと。
帰宅するやいなやピッチピチに包装されたビニール袋をひっちゃぶり、ターンテーブルに盤を置く。ピックアップを上げ、針を落とし音が出るまでのもどかしさったらありゃしない。
でもネ、いつも聴いてるアップル盤のビートルズとは何となく音が違う。ガサついてるっていうか、なんていうか…
続いてside2。「ペニーレーン」の途中から右チャンネルの音がだんだんと「つぶれて」いく。「ベイビー・ユーアー・リッチマン」では右チャンネルからは小さくてカスカスの音しか聞こえない。
極めつけは「オールニード・イズ・ラブ」。とうとう右は、シンダ…
後に知ることだが、カットアウト盤とは、つまりは「訳あり商品」。しかも元来当時米国の普及盤レコードの音質はよろしくない。そしてワタシが掘り当てたのは、「キズあり」と言う後天的ではなく、プレスの過程でトラブルがあった一品ということだった。
この「マジカル・ミステリー・ツアー」どうしたか、と言うと、今もワタシのレコード棚にきちんと収まってます。ジャケットに綴じ込みのフォト集には、何の問題もないですしね〜😆たま〜に開いて楽しんでますよ〜
ちなみに その⑴
このアルバムで一番好きな曲は、なんと言っても「Flying」です。気をてらう訳でなく、何となく「気持ち悪いコーラス」部分がステキです。
ちなみに その⑵
このセール会場で、中三の一学期だけ在籍し二学期にはいなくなっていた、どこか陰のある女子とばったり出会った。「こんにちは」「あ、こんにちは」「こっちの学校に転校したん。みんなに挨拶もできやんままでかわってしもうたん」「そ、そうやったんや。」ワタシが掘りあてたマジカルを見て「ビートルズ好きやったんや」「お、おお。そうやで」「うちも好きなん。もうちょっと話できたかもしれやんね」と言うような会話をしたおぼえが…
どちらかといえば好みのタイプだっただけに、サヨナラを言って別れたあと、悔しいと言うか、なんとも言えない気持ちにさいなまされたが、一刻も早くマジカルを聴きたいと言う気持ちが先に立っていた、中三男子…
主にお笑いと音楽に関する、一回読み切りのコラム形式になります。時々いけばな作品も説明付きで掲載していくつもりです。気楽に訪ね、お読みいただければ幸いです。