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これも あれも 詩


 本日は5年生の読み聞かせ。

 高学年の子どもたち、低学年の子どもたちほど、わかりやすい反応は返ってこない。シーンとした中で読むことにもなり、慣れないころはとても緊張していた。

 自分の子どもが大きくなったからだろうか。高学年の子どもたちも、まだ小さくかわいらしく感じる。慣れてきて、緊張感もほどほどになった。

 今回、初めて、読み聞かせで、「詩」を読むことにする。

 最近、わたしは、「言葉」について、考えることが増えてきた。その中でも、詩はわたしにとって、特別なものだ。

 息子のいろいろを、ひとり抱え込んで、辛くてたまらなかったとき、言葉がこぼれるように出てきた。それを拾い集めて、書いて、読んで、声に出した。何度もそうした。そうしたら、不思議と、自分の言葉に慰めされ、励まされたように感じた。それから、詩を書いている、今でも。

 その経験から、書き言葉の中で、特に、詩は自分の心をカタチにするのに、適していると感じている。モヤモヤした気持ちを、言葉にしてみて、それを眺める。そうすると、自分の気持ちが整理しやすく、また深く味わえる気がするのだ。

 そんな気持ちから、詩を子どもたちに紹介したくなった。読む前に、上のことを子どもたちに話し、最後、以下のように締めくくった。

 『今から読む本、「こう感じるのが正解」というものはありません。何かを感じてくれたなら、わたしはうれしいです。もし、感じたときは、あなたが感じたことを大事にしてください。』

 こんなこと言わずとも、当たり前だと思われるかもしれない。けれど、幼いわたしは、「世の中には正解というものがあって、こう感じなくては、ならない」と、思い込んだまま、育った。もし、わたしみたいな子がいたら…と考えたのだ。わたしは、それぞれの子に、「自分が感じること」を大事にしてほしい。


 さて、今回、読んだのは、短い詩を二編と絵本を一冊。

 ひとつ目は…

『しりとりことば』 作者不詳

さよなら三角  また来て四角
四角は豆腐  豆腐は白い
白いはうさぎ  うさぎははねる
はねるはかえる  かえるは青い
青いは柳  柳はゆれる
ゆれるは幽霊  幽霊は消える
消えるは電気  電気は光る
光るはおやじのはげ頭

『こども詩集 わくわく』 
発行者 岡 充孝
発行所 童話屋



 幼いころ、よく歌ったものだ。地域性があるだろうから、歌詞がちょっとずつ違うかもしれない。わたしの知っている歌は、「かえるはみどり」だったなぁ。

 これも詩。リズムも言葉も楽しい詩だ。詩を身近に感じてもらおうと思っての紹介。目を見開く子が何人かいた。



 また、次の詩は……

『練習問題』阪田寛夫作

「ぼく」は主語です
「つよい」は述語です
ぼくは つよい
ぼくは すばらしい
そうじゃないからつらい

「ぼく」は主語です
「つよい」は述語です
「だれそれ」は補語です
ぼくは だれそれが 好き
ぼくは だれそれを 好き
どの言い方でもかまいません
でもそのひとの名は
言えない

『こども詩集 わくわく』 
発行者 岡 充孝
発行所 童話屋


 この詩はユーモラス。作者の阪田さんは、子ども心を持ち続けている方なのだろう。聞いている子どもたちは、あっけに取られている様子。こういう詩もある。

 物珍しいこともあるだろうが、子どもたちは、興味深かそうに、聞いてくれている。


 最後は…

 おーなり由子さん作の『ことばのかたち』の絵本だ。この本の言葉たち、わたしは、詩だと思って、読んだ。

 おーなりさんの「ことば」への想いが、おーなりさんの言葉と絵で、綴られている。

 この絵本では、「もしも話すことばが目に見えたら、どんなかたちか」と語るところから、始まる。「ことば」はいろいろな色の花になったり、鋭い針になったり、「だまっている」という「ことば」が豊かな森になったり…

 子どもたちは、集中して、見て、聞いてくれた。それぞれの子が何を思っているかはわからない。けれど、多くの子どもたちの表情から、何かを感じてくれているようだ、とわかる。よかった。


 こうして、初めての試みは、無事に終了。ただ、今回は読み間違いが3回もあった……よし、次回はそんなヘマしないぞ!

 さて、次は何を読もうかな。

今回の読み聞かせ

『こども詩集 わくわく』 
発行者 岡 充孝
発行所 童話屋
「しりとりことば」作者不詳
「練習問題」阪田寛夫 作


『ことばのかたち』
著者 おーなり由子
発行所 講談者

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※ヘッダーの写真は、なばなの里で撮影した、フクシアの花です。



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