息子、卒業おめでとう!
息子の卒業式当日。
時刻は朝の9時半。
中学の卒業式が始まっている時間だ。
のそのそ起きてきた息子に尋ねられ、本日のスケジュールを簡単に伝えるわたし。
いこうとは思ってるのね。
さよならが苦手な息子。
1学期の初めから、クラスのみんなと別れるのが辛いといっていた。別れが近づけば近づくほど、学校から足が遠のく。もう、これ以上誰とも仲良くなりたくない。別れが辛すぎるから、と。
卒業式はいけないよね、きっと。
そう思いながらも、いくともいかないとも言わない息子の様子を観察し続ける。
いきたいけれど、いけない。
たいそう辛いだろうなと思うけれど、わたしはなるべく普段通りを心がける。それしかできないともいえる。わたし自身も朝から緊張して過ごしているのだが。とても気力がいる。
息子がいかない卒業式、わたしもいけないよね。先生に息子が来たと誤解されそうだし、周りの哀れみの目線も痛そうだ。息子の友達たちを純粋に祝福するのも、このわたしでは難しい。仲良しのママ友達に会いたいけれど、笑顔にはなれない。またいつか落ち着いたら、連絡しよう。
11時半。
時間切れだ。息子は部屋に閉じこもっている。わたしは学校に欠席連絡を入れる。我ながら、電話するのがうまくなったものだ。
悲しみはない。でも、何かで胸がいっぱいになっているような気がする。水のようにたゆたうもので。いまはそれに言葉をつけず、そのままを感じとろう。
この3年間、息子は自分と向き合い、学校への通い方を模索し、勉強や部活も自分のペースでがんばってきた。最後は、体調の悪い日が増え、長く休むことになったが、それでもよくがんばった。うんと成長した3年間だったと思っている。周りからみたら、休んでばかりのようにみえたとしても。
起立性調節障害※を抱える息子は、ストレスを受けすぎると体調を崩す。体調を崩すときが、自分でわかるようになってきたから、息子は活動をセーブしている。それだけでなく、さまざまなことが複雑にからみあって、いまの息子は立ちすくみ、動きが取れないようだ。
まだ、息子は進路を決めない。決められないのかもしれない。不安がないといえばうそになる。でも、これはわたしの不安だ。わたしが自分でなんとかすること。わたしはフツウに高校へ行く方が安心だと、まだ思っているのだなぁ。気づいて、ちょっとへこむ。
わたしは待つのが下手だ。本人が動きだすまで、ただ待つこと。きっと、動きだすだろうと、信じて待つこと。それだけができればいいのに、それが難しく感じるときもある。
その日の夕方、息子はクラスLINEでみんなにお礼メッセージをしたようだ。ちょっとはにかんで、メッセージ画面をわたしに見せてくれた。
きちんとお別れができたことは成長。
とてもうれしい成長。
卒業おめでとう!
ゆっくりと歩いてゆこうね。
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