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人生初の合コンに行った話 第三章

「、、、? わからんな。」

びっくりしたとかそー言うんじゃなくて、めっちゃ冷静になってた。

とりあえず何処かに向かっていることは分かったし完全にSHAMROCKから記憶がジャンプしていて何にも覚えてなかったからだ。

『あー記憶がない、、なんでタクシーおるんや、、?』

なんか知らんけどアイ子も上機嫌だった。少し話して若干気持ち悪くなりアイ子の横で寝た。

______

『起きて〜!』

アイ子の声がした。何分かして目的地に着いたらしい。

起きようと思って身体を起こした瞬間、僕の身に起こったのは猛烈な吐き気だった。

「、、、ゔぉッゔぇッッ!!!!!」

汚い話だけどまじで吐いた。車内で『バシャッ』って吐いた。量はそんなんじゃなかったけど水鉄砲みたいにゲロが飛んだ。車内は愚かスーツにもワイシャツにもゲロがかかっていた。

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↑まじこんなんだった。

ブチ切れるアイ子。

怒鳴る運転手。

なんか知らんけど怒ってる俺。とりあえずクレカ渡して車内を出た。

アイ子を追って行こうとしたけど早歩きしてどっか向かってた。なんか気づいたら1人になってた。

酔いも回っていて何をしたら良いのか分からない僕はとりあえずコンビニに入る。

タバコとマスクを買ったと思う。

ここからは本当に困った。とりあえずリョウ君とタツミ君は一応近くに居るはずと思い連絡した。

返事が無い。女の子と居る時にあんまり携帯はいじらないからそーなるのもわかる。

だがそんな事言ってられない。僕は知らない街の知らないコンビニの角で1人酔っ払っている。

女の子と居る時にリョウ君は絶対に返事をくれない特性を持っているのでタツミ君に鬼電しまくった。

『どこいんの?大丈夫??』

タツミ君は酔っていても優しかった。優しかったけど俺は今どこに居るのかなんてそんなもん全く分からない。

『今、バーに居るよ?六本木にはいるよね?』

知らん。なんだバーって。バーに向かってた事を今知る僕。六本木に居るかどうかは分からんけど多分近くだと思う事、そしてタクシーで盛大にゲロ吐いて1人になった事。全て話した。

タツミ君は圧倒的優しさを持つ男。なんと迎えに来てくれるとの事だった。位置情報を送り安堵する僕。

〜15分後〜

『やっと見つけた〜!ハハハ!!』

ジョーカーみたいな甲高い声でタツミ君が迎えに来てくれた。物凄いハイテンションだ。カナダでマリファナ吸ってたジュール君のテンションに似てた(カナダのバイト先の同僚)

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全力で感謝を伝え、バーに向かう。

SHAMROCKから記憶が無い事を伝えると、どうやら僕は凄いハイテンションでジョーカーから見ても『これは飛んでるな』と思えるレベルだったらしい。

3分もしないでバーに着いた。まじの近場で俺はただこねていたらしい。

なんか洒落たところだった。そしてまたカラオケも着いてた。さすが六本木だ。こんなの町田なんかに無いと思う。

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中に入るととリョウ君とアイ子、ガラ子、そしてなんか知らん女の子が増えてて、そしてカッコいいお兄さんも居た。

既に始まっていてよく分からない状態だったのでとりあえず座った。そしたらガラ子が話しかけて来て

『ゲロ吐いたらしいね!笑でもアイ子にかけなかっただけ偉いよ〜!笑笑』

当たり前に僕の失態がしれ回ってた。クソが。そりゃあそーよな。そもそもスーツがもう汚れてるんよ。

「いや〜さすがにまずいっ!って思ったんよね〜笑笑」

平然を装う感じで返した。実際はそんなん考える暇もなかったしたまたまアイ子がセーフゾーンに居ただけだった。ゲロ吐いてスッキリしてたのもあり、僕は饒舌だった。

遠くを見るとアイ子がリョウ君のカーディガン着てはしゃいでた。リョウ君も笑顔でそして女の子も居るからテンション高そうに見えた。アイ子にゲロかけてやれば良かったなとか考えてたと思う。

なんか冷静に周り見たら本当に女の子が増えてた。これはまじなんだけど女の子だけで8人くらい居たと思う。この深夜にこの場所で女の子が増えるってなんなんだ。ポケモンの大量発生以外に聞いた事がない。

そしてかっこいいお兄さんは酒をガンガン持ってくる。まじで、こいつは誰なんだ。店の人間っぽいけど女の子と凄く楽しそうに話している。

今考えればどーゆー状況?って感じなんだけど酒入ってる僕はそんなことしっかり考えられなかった。

タツミ君と一緒にふつーにカラオケしながら女の子達と話してた。名前とか聞いたけどまじで全く覚えてない。

キャバラクラとか行った事ないけどこんな感じで過ごすのかなとか考えてた。そして相変わらずリョウ君は女の子と追いかけっこしてた。まじで走り回ってた姿は覚えている。


そんなこんな小一時間くらい経って外に出て僕は少し冷静になった。

店に戻るとタツミ君は寝てる。

そんな僕らの卓はリアルに10人以上の集まりになっていた。

「、、、やばくね??」


やばい。やばいだろ。なんでこんなに人が居るんだ。冷静に怖くなった。リョウ君を呼び、「お会計しよう。今出ないとやばい気がする。」リョウ君を説得し、カッコいいお兄さんにお会計を貰うことにした。

そこには衝撃の金額が記載されていた。

【78,000円】


「!?!?!!!!??」


いくら見ても金額は変わらなかった。まじで目をまん丸にしてたと思う。啞然としてたらカッコいいお兄さんが

『どーした?、ちょっと高い??』

とか煽ってきた。心配を装ってるふりして全然心配してないトーンだった。

もう強がるしかなかった。とりあえずカードで支払いを済ませる僕。

もう泣きそうだった。

僕とリョウ君は作戦会議をした。3人で割っても26,000円だ。ずっと欲しかったSwitchも買える。我慢してた物がなんでも買える金額に泣きそうになった。女の子達は普通に食べ飲みしてぺちゃくちゃ話してた。

新宿飲み界隈の女達は恐らく奢って貰うのが当たり前なのだろう。お金払ってもらっていい?とかまじで聴けなかった。つーか聴けない雰囲気だったし無駄に男のプライドってやつが発動してた。

オロオロしてたらそこに1人女の子がやって来た。

ガラ子だった。

『大丈夫?もし言いづらかったらお金回収して来ようか?』

「神だ!!!!」

本当に神だと思った。声がガラガラで肌も髪もボロボロの癖にめちゃくちゃいいやつだなって思った。完全に女神だったのだ。

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とりあえず6,000円ずつ回収して貰える様に伝えて、了承を得た。

ガラ子は女の子の群れに戻り、回収の件をまずは1人の女の子に伝えてる様だった。

助かった。

まじで助かったと思った。

まじ安心した。



、、、、、


「、、あれ??」



一瞬だった。ガラ子はふつーに食べ飲み始めてた。なんかゲラゲラ笑ってたしカラオケも歌ってた。なんだこいつ。なんなんだこのブス。もう俺達は諦めるしか無かった。神だと思ってた女はただの悪魔だった。俺たちの希望を全て破壊し高笑いしてる様に見えた。

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完全に最強の切り札ドルバロムの様な女だった。

僕達は完全敗北をしたんだ。


もう諦めて帰ることにした。

ガラ子が最初に話しかけてた子だけ6,000円をくれた。あの子はそれだけしか話してないけどデコ出してて綺麗な子だった。こんな界隈から抜け出してお洒落なカフェとかで本読んで幸せになって欲しい。


タツミ君をビンタで叩き起こし、店を出た。

お兄さんがエレベーターまで送ってくれた。

『また来てね!(超笑顔ニッコリ)』

「ありがとうございました!また来ます!(一生行かねーよ)」

心の中でそう返答し夜風に当たりながら3人で反省会をした。

最後の方に知ったけどカッコいいお兄さんはあの店のオーナーだったらしい。しかもガラ子の元彼らしい。

ここからは推測だけど女の子が増えてたのはオーナーとガラ子が組んで俺たちはハメられたのだと思う。領収書とか明細なんにも書いてなかったしな。

六本木に居たけど深夜の3時だった。僕達はもう無理で自暴自棄になってたのでタツミ君の家にタクシーで帰る事にした。28,000円したけどなんかもうどーでも良かった。

タツミ君の家に向かってる途中、タツミ君は、

『クソな女にやられたけど、、!、、、でも、、俺にはこんなにいい友達が居るんだ〜〜!!』

って言って駆け出してた。酒って怖いね。でも僕もそんな君が好きだよって思った。


これが僕の人生初の合コンに行った話である。もう2度と新宿の女の子とは飲まないって決めた。あいつら全員地獄に落ちるかやばい性病とかにかかってほしいなって思ってる。

次の日になってなんかタツミ君の地元のメンツと飲むことになった。疲れてたけどそんなの関係無しにすんごく楽しかった。お金も1500円くらいしか掛かってないのにめちゃくちゃ楽しかった。

楽しくて泣きそうになったし、そこで合コンの話でクソほどつまんなかったし最悪だった!って散々ディスってた。

『嘘つけ〜なんだかんだ楽しんでたよ〜!』

タツミ君にガラ子のインスタのストーリーを見せられた。そこにはカッコいいお兄さんと肩組みながらめちゃくちゃ笑顔でミスチルの『HANABI』歌ってるシャツゲロまみれの男が写っていた。

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〜【完】〜





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