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ふゆのあさに-2021.1/20
時刻は午前6時20分。
どうせ出勤前に着替えるのだからと、寝間着の上から厚手のもこもこしたコートを羽織り、手袋を嵌め、2つのごみ袋を手にゴミ捨て場へ向かう。
ここ数日は降雪及び積雪はおさまり、その代わりとでも云わんばかりに朝夕の冷え込みが厳しい。
朝方ちらついた雪で白くなっているアスファルトに足を取られかけ、かろうじて踏みとどまる。
アスファルトを薄っすら白く染めている真新しい雪の下は、凍り付いた透明な氷でかちこちだ。
ブーツの靴底で砕ける気配もみせず、アスファルトを固く覆っている。
ごみ袋を持ち直して、より慎重に足を運ぶ。
重心を低く、持ち上げた脚をゆっくり真下に下ろす、少し不格好な歩き方。
車一台がやっと通れる程度の幅しかない道路は、両側にそそり立つ雪の壁でさらに幅を狭められている。
排ガスや土で茶色に汚れた雪の壁は、まるで打ち捨てられた城壁に似て、どこか侘しく目に映る。
煩わしいことこの上ないこの雪の壁も、遅くともあとふた月経てば跡形もなく溶けくずれる。
そしていつものように、雪で振り回された日々を思い返し、一抹の寂しさを覚えるのだろう。
徐々に明るくなっていく灰色の空を見上げて、ひとつちいさなため息をこぼすと、ゆるく湾曲した道路を再び歩き出す。
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