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雨音を聞きながら

予報通り、夕方から雨になった。

ぽつ、ぽつ、と半端な間隔を置いて額や鼻梁にあたる雨粒は、何となく煩わしさはあるけれど、傘をさすほどの勢いも密度もなく。

片腕に傘をぶら下げて、帰路を辿ることにした。

☆     ☆     ☆

”雨“という単語からまっさきに連想するのは、やはりこの映画。

“君の名は。”の公開に合わせて、休日の昼下がりにテレビ放送されたのを見た記憶がある。

雨の描写にただ圧倒された。

さぁさぁという雨音、道路の水溜まりに受かんでは消える波紋、雨にうたれて世界を呑み込まんばかりに色濃い木々の葉。

雨に包まれた世界は、こんなにも美しいのかと思った。

作中では、それぞれを取り巻く環境や、まだつかみきれないお互いに対する気持ちを暗示するような雨の描写が、でも鬱々とした雰囲気は全くなく、どこか涼しやかに流れる水のように感じられた。

どこか、非日常とは言わないまでも、少し色彩の異なる世界への扉が開くかのような感覚を味わいたいものだと、ぼんやりと思う。

雨が、激しくなってきたようだ。


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