見出し画像

相談力

先日、自分が相談下手なことを会社の先輩に話すと、こんな本を教えてもらって、すぐに読んでみた。

超一流の相談力 / 作佐部孝哉
相談することのパワーや価値は何なのか、なぜ今必要とされる力なのかについて冒頭で触れ、次に相談にいたるまでのハードルを構造化して示し、それらを乗り越えるための視点や考え方を紹介している。その上で、会社でのさまざまな状況を例にしながら、相談までに準備すべきことや、相談をするときの具体的なスキルなどを主な内容としてまとめている。

普段本を読んだら読みっぱなしのことが多いのだけれど、「読んだからには何かしら行動が変わらないと、その読書勿体ないよ」とアドバイスをもらった。

ハウツー本のようなものは特にそうだと思う。だから、大切だと思ったことや、考えたことを整理する気持ちで、もう一度線を引きながら読んだ。そこから学んだことを自分なりの言葉に変えておきたい。


本の中では、仕事において相談にはいくつかの種類やレベルがあると説明している。それらには共通して「自分が置かれている状況を前に進める」という目的がある。

それを人の時間をいただきながら行うのだから、相手への敬意をどう示すかがとても大切になる。それは行動にするとどうなるのか、特に大切だと感じた点をまとめてみる。

必要な時間を事前に調整する

相談したい相手の空いてる時間を見計らってとはよくいうけれど、その場で急に「ちょっと相談してもいいですか」と声をかけても、実際はうまく行かないことが多い。人は不意打ちをいちばん嫌うのものだし、相手だってできる準備や心構えをして相談に臨みたい。それに何よりも「ちょっと」と言いながら、多くのことはちょっとでは収まらないもので、僕もよく叱られている。

本の中では「相談をするなら金曜日の朝が特に良い」というすすめがある。朝は、疲れも少く頭の回転が早いから、話を前向きに運びやすい。また、金曜日である理由は、相談がうまくいかなくても次の日の休日で気分転換ができて、相手も次の日が休みという気持ち的な軽さもあって、余裕を持って相談を聞けるということらしい。

「金曜日の朝が本当にいちばんなのか」ということはここでは置いておくとして、要は、相手がなるべくリラックスした状態で話を聞けるような状況を目指しましょうということだと思う。

適切なタイミングに相談する

「自分にできることは全てやって、他にできることは何もない」となってから相談していては遅い。「相談のタイミングが遅くなる」ということは、「その分だけ時間の総量は少なくなってしまい、考えうる選択肢の幅が狭まる」とも言えると思う。僕自身の最近の失敗をもとに、最終的にどんな悲劇が起こるのかを言うと、よくない選択肢が1つだけ残る。そして、相談するつもりだったはずが「すみません、これしか選択肢がないので、これでいかせてください」なんて状態になる。もはや相談でもなくて、残念な状況の事後報告に近い。この話を聞く側に立つと、「もっと早くに相談してくれれば何とかなったのに」という悲しい気持ちにもなると思う。特に答えやアドバイスがほしいときの相談では、自分も相手もいくつかの選択肢を考えうるような状態で相談する必要がある。

ゴールを最初に伝える

「今こんな状況で困っています、最悪の事態にはならないとは思うのですが...」という感じで相談してしまうと、相手も前向きな気持ちで応じにくいと思う。そこで、最初に相談の目的や、なりたい状態、挑戦したいことなどをいちばん最初に伝えようという話があって、僕も意識的にやろうと思った。相談の場は、協力者を増やしたり、周囲を巻き込むような場でもある。「こんな状態を目指したいです。それに対して今はこんな状況で、」という切り出し方であれば、相手にも「協力しようか」と思ってもらいやすいのではないだろうか。プレゼンと同じで、伝える順番1つで話の印象は大きく変わる。また、僕は「何が言いたいのかよく分からない」と言われがちなので、その意味でもこの方法は有効な気がしている。

相談相手がその人である理由を伝える

「〇〇さんだから相談したいのですが」、「〇〇さんにしか相談できないのですが」という感じで相談されて嫌な気持ちになる人は少ないと思う。教育心理学では、ピグマリオン効果、ローゼンタール効果と呼ばれるもので、他者に期待されるとその期待に応えたいと考えるのが人という生き物らしい。この伝え方は、特に初めて相談する相手に対してはとりわけ大切で、敬意を示す分かりやすい表現だと思う。

人は、基本的には頼られると嬉しいものだと思うけれど、逆に、関係性がうまくいっていないときというのは、相手に「適当に扱われている」と感じさせてしまっているときが多いのかもしれない。

考え方や価値観などを知ろうとする

相談して返ってきた答えをある程度理解はできるものの、あまりピンとこないときがある。そんなときは、例えば、どんな感情を持って言っているかや、どんな考え方から言っているのかを確認してみると、答えの真意に気づけることがある。自分と相手では、過去の経験や価値観も異なるから、「こういう意図で言っているんだろう」と考えていても、それがハズレていることがある。

答えの背景にあるものを尋ねると、答えに対する理解が深まることに加えて、その過程で相手も気持ちよく話せる。誰だって人生の中で大切にしたい考え方や価値観があって、それが相手に伝わるということに対して悪い気はしないだろうし、より話しやすくなると思う。

「参考になりました」で終わらない

相談を終えるときに「参考になりました」で終わってしまって、場合によっては相手を不安にさせてしまうときがある。相手も「本当に役に立ったのだろうか」という気持ちにさせてしまうし、結果だって気になると思う。「ちゃんと伝わってますよ」ということや、ありがとうの気持ちを相手に示すには、例えば、
①メモを取りながら話をきく
②参考になった部分を繰り返して伝える
③「またこのタイミングで報告します」と事前に伝える
④「おかげさまでこうなりました、ありがとうございました」と伝える
など、それぞれの段階でいろいろとできることがある
振り返ると、自分が相談されるときは、特に④があると「相談にのってよかった」と思うことが多いかもしれない。

最後に

こうして振り返ると、基本的なことがまだまだできていないということに改めて気づく。同時に、こうやって考えて自分の言葉に変えることや、それを1つ1つ行動に移していくことは、地味だけどすごく大切な積み上げになると思う。

さまざまなバックグラウンドの人と繋がって、協働して新しい価値をつくることが求められる現代の社会、あるいはロフトワークという会社では、他者を尊重したり、他者と一緒になって結果を出すために「相談力」は欠かすことのできないスキルになると思う。普段の仕事の中で、意識しながら磨いていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?