日本酒余話〈2〉淡路島の3つの酒造蔵

私の出身地である淡路島には3つの日本酒の蔵がある。かつては酒の名産地として「南灘」と呼ばれ50以上の蔵があったらしいが、私が生まれた頃はすでに3社に集約されていたのではないかと思う。
天候は温暖で雨も少なく、過ごしやすい。ただ大きな川がなく、水田耕作に制約があり、ずっとコメ不足に悩まされてきた。米の取れ高は江戸時代初期で約7万石。それが蜂須賀藩が江戸時代に「ため池」を開発し、水田耕作面積を増やした結果、幕末には15万石近くまで増えた。酒蔵が増えたのも、この米の増産と無関係ではない。
しかし、現在は南あわじ市に2社、淡路市に1社の3社にまで減少している。また、そのうちの1社は「水」の関係で他の蔵に醸造を依頼し、樽買いした日本酒を自社ブランド化しているだけので、厳密にいえば2社だけだという見方もある。

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