日本酒取材ノート第7回 若年層開拓を目指した白鹿の「挫折」
日本酒メーカーに共通する課題は、ユーザー層の高齢化である。ユーザー調査をすると、60代以上、極論すれば70代以上が多数を占めており、40歳以下の若年層の参入が少ない。高齢層が中心になっているということは、二重の意味で厳しい。一つは高齢層中心で、参入が少ないということは、ユーザーの絶対数が確実に減少すること。もう一つは、一人一人の飲用量も少なくなること。「あの大酒のみのオヤジもコップ一杯で寝てしまった」といった聞く。
日本酒ユーザーの高齢化の要因は、若年層が自分で飲む酒は、ビールや缶チューハイにシフトしただけではなく、差しつ差されつの日本的な宴会文化が廃れていったことも大きい。宴会での献杯がなくなったことで、日本酒を飲む機会がなくなったという人も多い。
また、宴会で酔っぱらった父親が帰宅して、家じゅうを酒臭くしてひんしゅくをかい、それがトラウマとなって日本酒が嫌いになっという人もかなりいる。つまり、日本酒が育てた飲酒文化が、マイナスに働いたのだ。
こうした若年層の日本酒離れに対して、大手メーカーや地方の蔵が何も手を打たなかったわけではない。ヤング層向けのおしゃれな商品の開発に始まり、若者が集まるイベントでの試飲会、野外コンサートの料理と日本酒との関連提案など、様々な取り組みが行われた。
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