日本酒取材ノート第8回 オーナー企業ではない日本盛多角化の「功罪」
日本盛を語る時、枕詞のようになっているのが、灘の日本酒蔵には珍しくオーナー企業でないこと。2019年に130周年となった日本盛だが、灘には300年以上の歴史のある酒蔵はざらにあり、明治22年に西宮の有志が集まって設立された日本盛は、ある意味で異端の存在だった。しかし、その一方で戦前は、天皇家の権威を販売に生かすため、天皇御用酒の栄誉を得ることに力を入れるなど、時代に即した取り組みをしてきた。
戦後はいち早く、東京市場の強化を進めたり、灘の大手酒蔵として初めて昭和30年(1950)に2級酒(当時)を発売、昭和36(1961)年には「ニホンサカリはよいお酒」が流れるテレビCMを流すなど、進取の気性に富んだ企業だった。
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