日本酒取材ノート 第3回価値観変化の時代に伸びた白鶴

阪神電鉄神戸線、御影駅から徒歩5分ほどの位置にある白鶴酒造本社。同一敷地内には大正時代の酒蔵を利用した資料館も佇んでいる。中国からのインバウンド団体客が多かったころは、大型観光バスがひっきりなしに着き、売店では白鶴製品が飛ぶように売れていた。大手日本酒メーカーの多くは、レストランなどを併設した資料館を作っているが、インバウンド団体客の来場は、白鶴が最多だった。これは旅行代理店がコースを組む時、まずトップメーカーから対象としていくためだ。
しかし、日本酒のトップメーカーが白鶴であることを知る人は、よほどの日本酒好きでなければ、それほどいない。それというのも日本酒市場はビールなどに比べると規模が小さく、それほど話題に上ることがないからだ。また、白鶴自体もタレントが漁師たちと大漁を祝う、パック日本酒の「まる」のテレビCMを時々放映するぐらいで、それほどイメージが高くないこともある。

ここから先は

749字
この記事のみ ¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?