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ひしむら(詩/猫/写真)
2016年2月21日 11:39
鞄の内ポケットをまさぐり、鍵を探す。向かいのマンションの屋上を見上げながら。 なぜだかいつも、見上げてしまう。そこにはもちろん、何もない。 正確には、夜空の中に貯水タンクらしき影が見えるのみで、例えば自殺しようとしている人とか、自殺した人の霊だとか、そんな非現実的なものは何もない。 鍵はなかなか掴めない。苛々し出す。舌打ちしてしまう。なんて不細工な女、と自分で思う。 目線を少し落とすと、