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近況報告



私に何かあったんだろうな、
ということは
フォロワーの皆さんご存知だと思います。
そしてそれで悟が四苦八苦していたことも。



一体何があったかというと
一言で言うと
私の幼なじみが逮捕されてしまいました。

本当に個人情報に関わることなので、
罪状やその幼なじみについてのことなど
詳しいことはこれ以上話せません。

ただ私はそれを聞いた時、
頭が真っ白になりました。
晴天の霹靂って
こういうことを言うんだと思いました。

悲しいとか怒りとか裏切られたような気持ちとかぐっちゃぐちゃになって
心臓が抉られて穴が空いたみたいで

『なんで』

って言葉で頭がいっぱいになりました。



私たち幼なじみはみんな家庭に
何かしら問題を抱えていました。

「私たちは絶対に家庭環境なんかに左右されない。絶対もう惨めな想いはしない。こんな私たちでも幸せになれるって証明しよう。」

そう私たちは
幼い頃から誓いを立てていました。



昔から特に問題児だったのは私と優でした。

でも私たち幼なじみは優を除いて
やってきたことの割に
運良くそういう所に入らずに済みました。
前科がないことだけが
私たちの誇りだったのです。

その子は私や優みたいなクズじゃなくて、
たまたま家庭環境が悪いだけで、
本当に本当に根が優しい子で、
誰よりも簡単に、そして1番早く、
幸せになれるだろうと思われていました。

それなのにどうして
こんなことになってしまったのでしょうか。

私がもっと頻繁に連絡を取っていれば
私がもっと会いに行っていれば
私がもっと気を配っていれば
こんなことには
ならなかったかもしれないのに。

私も幼なじみも私の兄と姉も
みんなみんなそういう風に
自分を責めました。

私みたいなクズが
のうのうと塀の外で暮らしているのに、
どうしてその子は塀の中なのかと
何度も思いました。
私なんかがこんなところで
普通に暮らしていていい訳がない。
代われるなら代わってあげたかった。
でももうどうにもならないのです。
絶対にひっくり返らない事なのです。


「私どうしたらよかったの?
どうして何もしてあげられなかったの?」

悟に言っても仕方ないと分かっていても
私は何回も何回も悟に聞きました。

「そんなん自業自得や。仕方ないやろ。
日和が自分を責めることじゃない。」

悟はそう言うけど、

私がもっと何かをしていたら
こんなことにならなかったかもしれないのに
どこかで手は打てたかもしれないのに
可能性はあったのに
私が全部自分で潰した。
きっと何か出来たはずなのに
私は何もしなかった。

それは
自業自得とも仕方ないとも言わないのです。
それは怠慢や過失と呼ぶのだと思うのです。


泣いて泣いて泣いてやっと泣き疲れた頃
私は自分のやってきたこと、
頑張ってきたこと、
全部アホらしいと思いました。

やっぱり私たちみたいな人間は
物凄く頑張らなきゃ普通でいられない。
生まれ落ちた家である程度
人生や考えや価値観が決まる。
「私たちみたいな人間でも幸せになれる」
なんて
絶対に証明出来ない。
逆転なんか絶対出来ない。

だったらもう
普通に仕事しなくていいじゃん
一生懸命頑張らなくてもいいじゃん
なんでもいいじゃんって

仕事をする意味、頑張る意味、
努力する意味、生きる意味、笑う意味、
大切にする意味、愛する意味
全部全部分からなくなりました。


「死んだわけじゃないんやから。
何年かしたらまた戻ってくるやろ?」

「刑務所出ても絶対またやり直せるから!」

と、悟は励ましてくれました。


でもそういうことじゃないのです。
そういう問題じゃないのです。


こんなことを書いたらフォロワーさんに
どう思われるか分かりませんが

悟は昔、少年院に入っていて
保護観察も付いていて
大人になってからは先輩の罪を被って
刑務所にいたことがあります。
私と出会う前の話です。

でも物凄くヤンチャだった悟の周りでは
それは珍しい話ではなく
みんなもそんな感じの経歴で
そんな感じの先輩たちにお世話になって
今の仕事をしているので
悟は一応前科のある人間ではあるけど
白い目で見られることも惨めな思いも
あんまりしてきたことがないのです。

おまけに悟は
悟がどうなろうと絶対に見捨てずに
愛し続けてくれる
血の繋がった両親や兄弟がいます。

もし社会が悟を見捨てても
悟の家族は悟を決して見捨てない。

だから悟は本気で思うのです。
「またやり直せる」「大丈夫だ」って。

だから悟は分からないのです。
私たちみたいな
社会からも親からも見捨てられたような
元々後がない人間が刑務所に入る怖さや
前科が付く怖さ

そして世の中は
刑務所に入ったことのない側の人の方が
圧倒的に多くて
私の幼なじみがこれからどんな目で見られて
どんなに惨めな人生を歩むのか。

親なんて居ないも同然の私たちは
幼なじみだけが家族でした。

それなのにそんな私たちとの誓いを破って
これからお前はどんな顔で
私たちと会うんだろう?
お前の人生は本当にそれでよかったの?
約束したことすら忘れちゃった?
ねぇ、ちゃんと考えたの?
ねぇ、他にやり方はなかったの?
ねぇ、どんな気持ちだった?
ねぇ、本当に犯罪者になっちゃったら
私たちは昔みたいに
何にもなかったみたいに
もう笑えないんだよ

分かってるの?
自分が何をしたか
私たちは分かんないよ
お前がなんでそんなことをしたのか

そういう結果にしたお前が許せない
そういう結果にさせた私たちが許せない


親も社会も誰も
お前の面倒は見てくれない。
お前が好きで好きで堪らなかった
心から愛してた恋人は
誰よりも早く1番に飛んだよ。
よかったね、
浮気の心配なんかしなくていいんだよ。


だから
幼なじみの私たちで
その子の家や家具や車をどうするかとか
出所後は誰が面倒見るかとか
そんな話をした。
そしたら混乱してた頭が
段々と現実味が帯びてきた。


私は悟に秘密で
その子の住んでた部屋を見に行った。
仕事を休んで優と一緒にバスで帰った。
優の車で帰ってもよかった。
だけど
私たちが上京した日はバスだったから
その子が泣きながらがんばれよって
見送ってくれたのを
私も優もすごく覚えているから
なんとなくバスがよかった。

バスの降り場で幼なじみ全員集合して
その子の家に向かった。
迷惑かけたその子の家なんて
土足で上がってやろうとか
映画みたいにバールでテレビの画面や鏡を
勢いよく割ってやろうとか
金目のものは全部質屋で売ってやろうとか
笑い合って言い合ってたのに
いざその子の家に着くと
懐かしいその部屋に
誰も土足では入れなかった。

ねぇ、
お前の家のアイスはさやかが食べたよ。
コンドームは全部優が持ってった。
マブができてから
ゴムつけるのハマってるんだって、
マジでキモいよな。
私は大吟醸もらった。
ゆうじがプレステ借りとくって言ってたよ。
たくやはHUNTER×HUNTER
ゆかはワンオクのCD

あとはもう書くのめんどくせぇわ

私のお兄ちゃんとお姉ちゃんは
その他の残った荷物は全部預かっとくって

それから
出てきたら優が仕事の面倒みてくれるって

浦島太郎みたいになっちゃったお前を
こき使ってくれるんだって

それからさ
私たちみんな仕事辞めるんだ。
あ、優以外な。

お前みたいなのと友達だなんて
こんなことがあっても
お前と友達やめられないなんて
職場に迷惑がかかるだろ

だからさ
みんな仕事辞めるんだ。

でも一から頑張るよ。

全部失っても
頑張ればまたなんとかなるんだって
いつかは苦労話も笑い話に出来るって
証明したいんだ。

だからさぁ
安心して出てこいよ。

こっちはお前をサポートする気満々だぞ。
みんな仕事も辞めたんだぞ。
もうあとに引けないんだよ。
それにさ
友達なんかやめようと思えばやめられる。
けど幼なじみはやめようと思っても
やめられないもんなんだよ。
腐れ縁なんだから。



私は今回のことが心の底からショックで
生きるのもつらかった。
でも生きなきゃいけない。
だってもしその子が刑務所から出てきたら
私たちしかいないんだから。



私は自分のことでいっぱいいっぱいで
何回も悟にキツく当たった。
こんなに取り乱してる自分と比べて
悟の冷静な態度や言葉が
他人事みたいに聞こえて辛かった。

でも悟は毎日毎日私に向き合ってくれた。

悟は私の1番好きな食べ物であるおにぎりを
毎日握ってくれた。
こんなにつらいのにお腹が空く自分が愚かで
なんとも言えない気持ちで
泣きながらそれを食べた。


「日和はおにぎりさえ与えてたら機嫌がええけんな」

って私をからかっては
遠足の日は私の分のおにぎりも
持ってきてくれた優しいあの子を思い出した。


悟が気を遣って
私の好きな千鳥を流してくれた時は
本当につらくてキツく当たってしまった。
千鳥の話す方言は
地元の方言によく似てるから
私に幼なじみのことを思い出させて
耳を塞ぎたくなるくらいつらかった。

落ち着いてきて
やっとフォロワーさんのメッセージ読めた時

ああ、私にはこんなに
支えてくれている人がいる
って思った。

私もその子を
そういう風に支えてあげたい
って思った。


苦しみは始まったばかりで
この苦しみから解放されるのは
その子が出所できて
自分の力で生計を立てられて
平凡な幸せを感じられるようになる
ずっと先のいつか

先は長いけど
苦しくてもしんどくてもそれを支えるのが
私たち幼なじみの責任だと思うのです。


私は悟を巻き込んで傷付けて
悟に秘密で地元に勝手に帰ったり
仕事を辞めたり
散々迷惑をかけてしまいました。
そして今後も迷惑をかけ続けるクソ女です。

そして私も悟も、きっとこれからも
たくさんの「一悶着」が起って
決して平凡ではいられないのです。

そしてそれを私たちはこれからも
ありのまま発信し続けると思います。

そんな私たちを
フォローするのも
フォローを外すのも
フォロワーさんにしか選べないことです。

だからこそ
ここまで読んでくださった
フォロワーさん方には
心から感謝致します。

本当にありがとうございました。




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