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条件に合わせて選択する

 毎朝、通勤電車が終点に近づくあたりで、車窓からは総合住宅展示場が見える。これは国内でも最大規模の展示場で、敷地内には約30社・60棟のモデルハウスが建っているそうだ。
 新築をするにしても増改築にしても、家族構成、土地の広さや形状、希望する間取り、素材、予算など、その条件は各家庭によって様々である。けれども、これだけの数のモデルハウスが集まっていれば、「これだ!」と思うものが見つかる可能性は高い。無論、いろいろ見て回った結果、当面は保留にすることもできる。


 私が勤務している自治体の教育委員会では、「質の高い学び」と「持続可能な学校」の両立を目指すための「公募型モデル事業」を実施しており、今年度は市内で20校がモデル校となっている。
 モデル校の中には、授業時間を1コマ40分間として、午前中に5コマを実施し、下校を14時30分に早めるという先進的な取組をしている小学校がある。また、ICTの活用、会議の精選、小学校での教科分担制などによって、「質の高い学び」と「持続可能な学校」の両立を図ろうとする取組も見られる。
 昨年の10月と11月に合わせて4回実施されたオンラインによる情報交換会には、モデル校も含めて約100校から参加者があったという。この情報交換会は、モデル校の関係者が自校の実践をプレゼンし、他の参加者がそれを視聴して意見交換をするというスタイルで行われた。
 参加者たちは、それぞれの提案を自校の実態などと照らし合わせながら、実施可能だと思えば取り入れればよい。もちろん、情報交換会に参加したからと言って、必ず何か実践しなければならないという義務はない。すぐに実行に移すことが難しければ、当面は保留でもかまわないのである。


 家を建てる際の条件が様々であるように、同じ市内の学校であっても状況は千差万別だ。A校で成功した取組が、B校でも上手くいくという保証はどこにもない。トップダウンで一つの方法を展開しようとすれば、必ず無理が生じる。住宅でいえば、「同じ外観、同じ間取り」の住宅を全ての家庭に売りつけようとするようなものだ。

 まずは、冒頭で紹介した総合住宅展示場のように、関係者が具体的なイメージを浮かべられるように例示をして、そこから選択できるようにすることが大切だろう。

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