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アポロ11号

 今から54年前の1969年7月20日は、米国の宇宙船アポロ11号のニール・アームストロング船長が、人類で初めて月面に降り立った日である。

 当時、私は小学校3年生だった。54年前の夜中、テレビでこの記念すべき瞬間を見ていた記憶がある。また、翌1970年に大阪で開かれた万国博覧会の際には、アメリカ館に展示されている「月の石」を見るために、家族と一緒に2時間ぐらい並んで待っていたものだ。

 ・・・ポルノグラフィティのヒット曲『アポロ』は、

僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう
アポロ11号は月に行ったっていうのに

 という歌詞で始まるが、こっちは君らよりも「ずっとずっと前に」生まれているのである。悪かったな。

 ・・・アポロ11号の月面着陸の後、小学校の担任の先生が、
「君たちが大人になるころには、ふつうに月旅行ができるようになっているかもしれないね」
 と言っていたことを覚えている。
 子ども思いのいい先生だったが、その予想は外れてしまった。

 だが、この先生を責めることはできないだろう。当時の世の中には、
(このまま科学の進歩が続けば、月旅行どころか、戦争のない平和な世界、誰も病気にならない世界、みんなが幸せに暮らせる世界が実現できるのではないか)
 と、明るい未来を期待させるような空気があったように思うのだ。

 ・・・あれから54年が経った。たしかにインターネットやAIの普及など、「あのころの未来」が現実になっているものもある。
 その一方で、進歩していないものも多い。戦争はベトナムからウクライナに場所を移して今も続いているし、差別や貧困もなくなっていない。進歩していないどころか、退化しているのではないかと感じるものさえある。
 だからと言って、諦めてしまってはいけないのだが。

 ポルノグラフィティの『アポロ』の歌詞は、次のように結ばれている。

僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう
アポロ11号は月に行ったっていうのに
僕らはこの街がまだジャングルだった頃から
変わらない愛のかたち探してる

 アポロ11号をリアルタイムで知っている世代ではあるが、この歌詞には共感をするしかない。

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