SASUKE2023の感想、他

 遠くて近いつかめない、どんな色かわからない。ゆっくり消える虹みてて、トリコじかけになる。



信じてない言葉

・乳酸 筋肉に溜まるらしい、意味が分からない。乳酸菌が最初に頭に浮かんで、筋肉と繋がらない。

・ガクチカ うるせえ。チカラを入れたことなんて無ぇよ。大学なんて通ってるだけで偉いんだよ。バカヤロウ。

・HSP なんだそれ。

・ナスカの地上絵発見 新しく発見される意味が分からない。何で見つからないんだよ、どんだけ地球上には未開の地があるんだ。

・パスタの茹で時間 嘘つけ、何分でも美味いぞ。

・フレンチキス フランス人に失礼だろ。

・納豆の賞味期限 納豆に賞味期限があるって、意味が分からない。ほとんど腐ってんじゃん、あの豆っころども。煮て殺すぞ。



R-1グランプリ敗退

 お笑いの賞レースに出るのは、人生で初めてだった。ここで出ないとダメだと思った、ダメになると思った。

 エントリー費の二千円を払って、会場入り。控室は緊張感があった。みんなネタを暗唱したり、黙って一点を見つめていたりした。有名な芸人さんも何人かいて、お互いに久しぶりの再会を喜んでいた。

 学生お笑いらしき人たちが、男女睦まじく「ああ、◯◯大学の△△さん」とか話していて、俺もあっち側だった可能性があるんだろうな、と思った。コロナ禍がなければと思うことはいくらでもあるけど、今の大学生の人たちもコロナ禍の影響を受けてるだろうから、言い訳と運の良し悪しに過ぎないと思った。

 出場するブロックの、二番目の出番だったけど、一番目の人がドタキャンをしたので、いきなり「じゃあ小林ジェーンさんお願いしまーす」と言われて、舞台に勢いよく飛び出した。漫談をやろうと思っていた。自分でサンパチマイクを持って舞台に出ないといけないと思っていたけど、スタッフさんが出してくれた。

 出番終了、ゼロ笑いじゃないのが救いだった。クスクスが二回くらい聞こえて、そのまま直ぐに帰った。結果発表を見て、少しでも期待した自分を阿呆らしく思った。これなら同じ二千円払ってお米を五キロ買った方がよかったかもしれないな。いや、そんなことはない。



Twitterで呟くほどでもないこと

・将来老人ホームとかに入ったら、「アイドル」とか踊らされるんだろうな、いやだな。

・実家って何でもあってすごい。私のアパートは何もないから悲しい。

・大晦日にゴミ出しをして思った、年末年始とか関係なくごみ収集の人って働いてるんだな。私も今年は大晦日まで働いていたし、飲食店でバイトしてた時は年末年始ずっと働いていた。色々な人によって社会が成り立っている。

・老人の「もう年寄りだからね…」という自虐、何で返したらいいのか分からない。特に接客中は、苦笑いしかできない。「そんなことないですよ〜」と返す時もあるけど、それが正解なのかは分からない。

・お年玉をもらって嬉しかったけど、色々な支払いをしたら手元にちょっとしか残らなかった。生きてるだけでお金がかかる。



「小林、カメラをやれ」

 周りの友人たち(それぞれ別のコミュニティ)から、「小林、カメラをやれ」ということを言われる。

 地元の友だちは、お前の撮る写真はバランスがよくて素晴らしい、などと言ってくれていた。実際、SNSのアイコンや壁紙に、私がスマホで撮った彼の写真を選んでくれている。

 別の友人には、絶対にやったほうがいい、と言われた。むしろお前みたいなのがやってないのがおかしい、とも。私は確かに、カメラをやってそうな衒学的な見た目をしている。

 ただ、取っ掛かりがないので、カメラの世界に飛び込めない。お金もないので、しっかりとしたカメラも買えない。それでも近いうちに、カメラを始めてみたい。



SASUKE2023(第41回)の感想

 あまり話したことはないけど、私はSASUKEが大好きである。何というか、他のテレビやエンタメでは得られない、心にくるものがある。

 SASUKEって、(少なくとも私が追いかけ始めた近年は)本当に嫌な人が出てこない。いわゆるヒールキャラもいない、出場者がお互いに励まし合って、教え合って、心からクリアを目指している。そう、陰鬱な私なんかが目を背けたくなるほど、真っ直ぐに。

 私はその熱い人たちの熱い気持ちに、惹かれてしまった。争いごとに嫌な人がいても面白いけど、全くいないのも面白い。そして、そんな彼らのほとんどが一般人なところも好きである。街の電気屋さんや市役所の人、消防士や漁師が、ただSASUKEをクリアしたいという気持ちで、心身を鍛えて、あの鋼鉄の魔城に挑む。

 SASUKEには芸能人も参加してるけど、芸能人が挑戦してることを腐さないのも素敵だ。完全制覇を目指す気持ちがあるなら、芸能人だろうと一般人だろうと関係ない。むしろ出ている彼らの本職こそが「SASUKEのプレイヤー」で、裏の顔が普段の仕事なんだろうな、とさえ思ってしまう。

 挑戦者に並走して声をかけて、難しいエリアをクリアしたら褒め称える。惜しくも泥水に落ちてしまったら拍手を送る、自分のことのように悔しがる。そこに邪な思いが入り込んでいない、まるで団体戦のようだ。SASUKEという強大な敵に挑むために、全員で支え合っているように思える。

 SASUKE2023を観ていて、一番嬉しかったのは又地諒さんのファーストステージクリアである。又地さんは過去にファイナリストにもなったことのある実力者で、その後は成績不振や病気、ケガなどに苦しんで成績が伸び悩んでいた。

 近年は復調の兆しを見せていたけど、2022でファーストステージ敗退に終わってしまって、今年こそはクリアしてほしい、なんならファイナルまで行って完全制覇してほしい、と、とても応援していた。そりたつ壁を登ってボタンを押したときは、本当に嬉しかった。

 中学卒業から塗装業をしていたことや、住んでいた四畳半の部屋にSASUKEのセットを組んで練習していたこと、クリフハンガーという指先の握力を必要とする難関ステージにとにかく強いこと、茶髪のどこにでもいそうな兄ちゃんなのに、ファイナルステージまで行くところ、あと2メートルで完全制覇だったのに惜しくも届かなかったところ、何を取っても生き様がかっこいいと思う。とにかくSASUKEが似合う“人間”だと思う。

 他にも、長野誠さんの早すぎる敗退は驚いた。それでもお子さんの長野塊王さんがセカンドステージに進出していて、本当にこの人たちにとってのSASUKEって、文字通り“人生”なんだな、と思った。

 今回は、サードステージにあるバーティカルリミットというエリアが複雑化していて、全ての挑戦者がここで敗退することになった。観ている私も、かなり難しそうだと思った。

 SASUKEって、機会があればいつか出てみたいけど、冷やかしになっちゃうのが目に見えてるし、出ている人たちの複雑な気持ちを知っているつもりだから、軽々しく出たいなんて言えない。

 ただ、素晴らしい競技である。間違いない。

 




小林優希

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