苦手なもの
・チョコレート。歯につく。手が汚れる。甘すぎる。
・高いところ。怖い。落ちたら死ぬ、ということしか考えられない。
・しりとりで「ルビー」の後に、「イ」から始める人。ひとつ前が「ルビー」なら、「ビ」から始めなさい。失敬な。
・朝。起きられない。午前中に起きるのすらつらい。
・タメ口。敬意が無さすぎる。特に使うのが苦手。年齢が下だから、という理由でタメ口が使えるほど、私は器用じゃない。
・バス。前のドアから乗ったらいいか、後ろのドアから乗ったらいいか、分からない。運賃の払い方も分からない。上級者向け公共交通機関。
・24時間営業の店。夜中に訪れるのが申し訳ない。店員さんに申し訳ないので、結局、店が活動的な時間にしか行けない。
・満員電車。酔う。人間が乗っていいものではない。法治国家でこれが許されている意味が分からない。人間の営みの理(ことわり)から外れている。
・電車。そもそも知らない人とあんなに近づく空間って、怖い。その全員が、さも人生なんてつらくないですよ、という顔をして澄ましているのが、より怖い。一車両に一人くらい、泣き喚き出す人がいてもいいのに。
・「死ね」とか普通に言うよね〜、と共感を求めてくる人。普通は言わないだろ。どんなアウトローな街で生まれ育ったんだ。
・ジャム。いつも使い切れない。毎回、腐らせる。ビンの捨て方が難しい。
・電池。捨て方が難しい。毎回、押し入れやタンスに投げ入れて、捨てたことにする。
・高校生がたくさん踊ってる、ポカリスエットのキラキラしたコマーシャル。ごめんなさい。許してください、という気持ちになる。
・陽気なユーチューバーがチェックシャツを着てバンダナを巻いてやっている、古(いにしえ)のオタクの格好。ごめんなさい。許してください、という気持ちになる。高校生の時に、同じクラスの明るい人たちが「第一回、陰キャ選手権!w」と言って、長袖の制服シャツをまくらないで着て、普段はかけていないメガネをかけて、挙動不審な言動をしていた催しを思い出す。あれから第二回は開かれたのだろうか。八年越しに再開してほしい。また観てみたいので。
・家の近くのコンビニの店員に顔を覚えられること。嫌すぎる。もう行けない。
・流行りのアニメについていけていない自分。私も、「何とかの悪魔、上陸」とか「何とかの呼吸」とか、面白いツイートがしたい。いつまでも、トチーノのイレブンブラックチルドレンとか、匍匐前進で宮殿に侵入するノヴ、とか言っていられない。
・夜の信号。車が来てないと思って無視すると、心が妙にチクっとするので。
・部屋に湧き出る虫。意味が分からない、出てくるな。家賃を払え。
・おでん。美味しくない。せめて、おかずのツラをするな。酒にだけ合うのも意味が分からない。
・街中で見かけるナンパ。交尾ファーストすぎる。見ているこっちが恥ずかしくなる。無視された後にちゃんと落ち込めよ。
・ロックみたいなツラしてる音楽。素直にポップと名乗れ。
・晴れ。人々が活発的すぎるので。毎日、雨よりのくもりでいい。
・東京。くだらないので。街全体が。
・ラーメンのもやし。ラーメンが水っぽくなるので好きじゃない。
・本屋で見かける「ティックトックで話題!」とか、「ラスト5行であなたは驚く!」みたいなポップ。本屋の店員として恥ずかしくないのかな。本が好きで働いているはずなのに、こんなに下劣なポップを平然と付けられる、その神経を疑う。
・猫。可愛すぎるので。
・ユニバーサルスタジオジャパン。雑多すぎるので。“テーマパーク界のティックトック”みたいだから。行ったことがないけど。
・光熱費。高い。生活に欠かせないのに金を取られるなんて、道理が通らない。一万円で抑えられるわけがない。
・ホームパイ。小さい頃におばあちゃんに沢山食べさせられて、それ以来、苦手になってしまった。
・雪の宿。同上。
・夕方。太陽が傾くに連れて、精神的にすり減ってゆく感覚がある。焦燥感に駆られて、何もしてないのに微熱が出る。何もしていないからか。
・子ども。元気すぎる。そして全てが剥き出しすぎる。発言を精査するフィルターがまだ備わっていない。でも、この世の全ての子供たちが、誰からも虐げられることなく幸せに育ってほしいと心から思っている。
・先端の尖ったもの。先端恐怖症なので。
・私が先端恐怖症と聞いて、「これは大丈夫?これは?」と、微妙に尖ったものを次々に見せてくる人。言葉を選んで言わせてもらうと、死ねばいいのに。
・人間の赤ちゃん。生き物として脆すぎる。壊しちゃいそうなので。
・怪談。怖い。スプラッター映画は好きなのに。
・チェーンの牛丼屋。どれだけ店が広くても、狭く感じる。謎の圧迫感がある。全ての椅子が不安定で、食べていると落ちちゃいそうな感じがする。店全体から、何者かに急かされている気がする。食べた気がしない。“伽藍堂”を、どんぶりに入れて売っている。悪徳商法。
・サッカー部。髪が尖っている。先端恐怖症なので。
・歯磨き。面倒臭いので。フロスは大好きです。
・キスマーク。エッチすぎる。
・インターネットの「※」というノリ。 ちゃんと「ただしイケメンに限る」まで書いてほしい。
・骨川スネ夫。普通に性格が悪いと思う。このビデオは三人用なんだ、とか言い出す始末。この歳にして更生の余地が無い。
・腰痛。つらいので。
・時代。私を置いてゆくな。
・ホワイトチョコレート。歯につく。手が汚れる。甘すぎる。
小林優希
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