【養成所】 七月十二日の養成所

 朝、起きると熱中症のような状態になっていたので、昼過ぎから養成所に参加した。その頃にはすっかり体調も良くなっていたので、自分では大ごとだと思っていなかった。


 昼休憩中の養成所にモソモソと闖入すると、コントトリオ・グッドタイム喫茶の岡本くんが一番に声をかけてくれて、私の体調を心配してくれた。正直、彼とは今までそこまで深く話したことがなかったけれど、開口一番に体調を気遣ってくれてとても嬉しかった。明日のキングオブコント一回戦、是非とも彼らに良い結果が出てほしい。


 実は今日が、養成所に入ってから初めての遅刻だった。高校、大学と、超が付くほどの遅刻魔だった私が、二ヶ月以上も遅刻・欠席をしないで学校に通えた、という事実は、私にとって非常に衝撃的だった。


 今日は、ライブの幕間で行うショートネタを指導してもらう授業があった。生徒たちが特技や趣味、ショートコントやモノマネなどを披露して、それを講師の方々に確認してもらっていた。


 私は、毎年、梅雨の時期に、自分で梅酒を作るのが恒例となっているので、今日はその自家製梅酒を持っていって、講師の方々の前で梅酒のソーダ割りを作った。同時進行で、相方がギターを奏でて盛り上げていたけれど、第三者から見たら私たち二人って、「混沌」の一言だったのではないだろうか。


 披露することが無さすぎて、苦肉の策として持っていった自家製梅酒だったけれど、そのお陰で講師の方々に褒めてもらえたり、あまり話したことがないクラスメイトに話しかけてもらえて、嬉しかった。


 また、何人かに、梅酒を作るのって違法じゃないの?と突っ込まれたが、調べてみると、自分で飲んで楽しむ分には違法ではないらしい。(他人にお金と交換して売るのは、違法のようである。みんなも、梅酒を作って売り捌くのは止めよう!)


 先述の通り、明日はキングオブコントにクラスメイトたちが出場する。私の知ってる限りで、四組は出るらしい。他クラスも合わせれば、知り合いが十組くらいは出ているんだろうな。自分がそこに入っていないことが、とても悔しい。ただ、みんなに良い結果が出ますように。


 私は新しく組んだ相方と、数回ほどネタ合わせをして帰った。相方があまりネタ合わせをしないタイプだったので、私としても好都合だった。次のネタ見せまでにセリフを覚えられるように、頑張る。


 とりあえず、ネタを覚えて頑張るしかない。昔、どこかのお笑い芸人が、ネタを飛ばしたことを客に悟らせなければ、即ちネタは飛んでいない、というようなことを言っていたような気がする。その言葉を胸に、それなりに頑張ろう、と思っている。


 





小林優希

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