Appleを倒すメーカーを作ってみよう

さまざまなアイデアを練る場合には「思考実験」から発見を得ることがあります。そのため、荒唐無稽な与太話も無駄にならないはずです、きっと。

WWDCも終わって「予想屋ごっこ」の季節も終わったところで、Appleを倒すメーカーを作ってみようという思考実験を行ってみることにします。

■Appleを単騎で打倒?

さて、Appleといえば、いまや押しも押されもせぬハードウェアメーカーでありサービス提供者です。

1990年代後半に倒産寸前まで追い込まれたAppleと現在のAppleが同一の会社であることを意識している方は少ないことでしょう。

自前の文化圏でハードウェア、OS、ソフトウェア、サービスをひととおり提供できる、パーソナルコンピュータ界における「プラットフォーマー」として、Microsoft帝国、Google人民共和国と向こうを張れる数少ない存在です。国でたとえるとApple教国ないしクパティーノ市国といったところ。

これを「倒す」というのはよほどのおおごとでしょうか? 

■「倒す」とはどのような状態?

まず、「倒す」「倒した」とはどのような状況かを考えてみましょう。

いまや年間売り上げ1兆ドルともいわれるAppleを店じまいに追い込むのは無理な話です。1990年代後半には可能だったかもしれませんが、いまはムリです。

なので、

 「現行のAppleの製品のうち、最低でも1つ」

を超えることを目標とします。

そして、全世界に販売網を持つAppleに対して売上額を超えることは1製品といえどもムリな話なので、製品コンセプトや製品の使い勝手、もたらす世界観の素晴らしさによって既存のApple製品を超越することを「倒す」こととします。

一番いいのは、Apple製品とウチの製品を見くらべて、Apple製品を見ると誰でも大笑いする状況を作り出すことです。Apple Storeの店頭で来店した人々がApple製品を指差して涙を流しながら笑い転げる姿を想像するとゾクゾクします。

比較的どうでもいいことですが、Piyomaru Softwareをメーカー化するということで、Piyomaru Computer。長いので「140 Computer」と名乗ってみましょう。

■どの製品を打倒しよう?

Appleのハードウェア製品カテゴリのうち、売り上げが一番小さいのは「Other Products」と呼ばれる「その他」製品群。ここには、Apple Watch、iPod、Apple TVなどがふくまれます。

さて、140 Computerはどの製品を打倒すべきでしょうか?

Apple Watch:飛行機に乗らなければ日常生活では不要。目下、日本ではぜんぜん流行っていません。

iPod:いわずとしれた大容量音楽デバイスの草分けの「なれの果て」。すでに音楽再生専用デバイスの市場をAppleが重視していないため、「ハイレゾ」を合言葉に打倒デバイスを多数の日本メーカーが発売中。マーケットシェアの「草狩り場」と化しています。

Apple TV:テレビでコンピュータ系のオンライン・エンターティンメント視聴を行うデバイス。ゲーム機としては完全に不発(Pippin二世?)。将来のAppleのホームオートメーション戦略のキーデバイスとしてお茶の間に潜伏中と噂されるも、先行き不透明。

この中で一番世界観が矮小なのは、Apple Watch。製造しやすいのはバッテリを含まないApple TVでしょう。

■時計とテレビのどちらを打倒しよう?

Apple WatchとApple TVのうち、どちらが打倒しやすそうでしょう?

まずはApple Watch。そもそもこれは時計ではありません。腕時計という製品カテゴリ自体がPCやスマートフォンに追われてほぼ社会的な生命を終えたもの(個人の見解です)なので、同じ「腕時計」製品を出すのは得策ではありません。

次にApple TVですが、これはゲームコントローラーをオプションに用意して、据え置き型ゲーム機の座を狙えるかも? と期待されました。

スマホのゲームはスマホの画面で、通勤電車の中で、ほかにやることがない時間に仕方なくやるものです。家に帰ってまでiOS用の作業ゲーに没頭したいとは思えません。

また、Apple TVの市場は競合製品がドえらいことになっています。AmazonやGoogleなど、そうそうたる競合メーカーが同様の「テレビにストリーミング配信を映すデバイス」を発売しているため、ここにApple TV打倒製品を、競争力のある価格帯で投入して市場制圧するのはたいへんです。

そこで、架空の「140 Computer」の取締役会において打倒対象を「Apple Watch」に設定しました。

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