Apple Watchの打倒のしかた(下)

思考実験シリーズの最終回。前回までのあらすじ:「Google Glassへの反省から生まれたウェアラブル・コンピュータがApple Watchなので、Apple Watchを倒すのに腕時計を作るのはナンセンス」。

「じゃあ、何を作るんだよ?」という疑問はごもっともですが、無料記事でそこまで詳細に書くのはどうかと思います。やりすぎです。ここでは、そのヒントの一端をご披露いたしましょう。

Apple Watchとは結局何なのか?

まずは、ソフトウェアについてApple Watchの概略をおさらいしておきましょう。

(1)Apple Watchは、腕に「画面」をつけることが目的のウェアラブルコンピュータ。タッチ操作は必要かと言われると正直微妙。Apple Watchを「スマートウォッチ」だと言っているのは部外者だけ。スマートウォッチという言葉に振り回されてはいけない。あれは、腕につけるコンピュータ端末であって、賢い腕時計ではない。ハードウェア自体はサービスの料金を正当化するための言い訳で、本質はソフトウェアであり、各種サービス。

(2)Apple Watchは、タッチ操作が可能な腕時計バンドつきの小型iPod。Appleのサービス生態系を利用できない時点で、その製品はApple Watch以下の製品。Appleの各種サービスを利用できつつ、Apple製品よりも便利という方向性が正しい。

(3)Apple Watchの操作系は、製品化の半年前まで白紙の状態だったという「やっつけ状態」で出荷された代物。操作系はぜんぜんこなれていない印象がある。とくに、さまざまな操作を行うのに時間と手間がかかるという点に未完成さを感じる。

これらをふまえたハードウェア案

では、これに対抗するハードウェア案をいくつか出してみましょう。具体的なデバイスの姿が140 Computerの役員会(架空)の間では描けているのですが、それにこだわらずにある程度視野を広げて考えてみましょう。

・物理的な画面を持たない方法
デバイスの大きさを決めるのは、画面の大きさです。固定の画面を持つことは、いいことかもしれませんが、デメリットもあります。いっそ、プロジェクターのように画面を光で投影することを検討してもよいかもしれません(プロジェクターだとバッテリ消費が著しいので、別の方法でも可)。

・布コンピューター(本当にウェアラブル)
Tシャツの表面に回路を印刷したTシャツデバイス(洗える)
肘サポーターに組み込んだ肘コンピューター(バイブレーターで起こしてもらえる)。腕サポーターもOK

・布以下の薄いコンピュータ
爪にマニュキュア的なものを塗って、そのマニュキュア的なものを電気信号で発光させられたら、3種類ぐらいの情報を送ることができるでしょう。つけ爪でもOKです。つけ爪の中に太陽電池とプロセッサを組み込んで、相互に無線通信するぐらいでもかなり「使える」感じがします。握手をすると名刺交換できるとか、指と指を付き合わせると意思伝達ができるとか。

・他のデバイスの画面に寄生するデバイス
製品自体にディスプレイを搭載しないという解決策もあります。耳にかける方向センサー製品で、WiFi通信ができるものです。そして、オフィスや家庭の各種デバイス(据え置き時計、パソコンの画面、テレビ、スマートフォンなど)の各種画面の方を向いたことを検知して、そこに必要な情報を表示するのです。

・視覚以外の感覚に訴えるデバイス
視覚以外の、味覚、聴覚、触覚、嗅覚などを用いて人間に情報を送るデバイスというのはアリかもしれません。低周波マッサージ機器をインタフェースに用いて、肩たたきをして方向を人間に知らせる人間カーナビ的なものはアリでしょう。背中に文字を書くような触覚を再現して、短いメッセージを送る方式も、人によってはアリかもしれません。

こんなところでしょうか。とにかく言えることは、「実際に作って試してみないと、いいとも悪いともいいようがない」ということです。

とりあえず、架空の団体「140 Computer」は、さまざまなアイデアと議論するための頭脳を用意しています。一緒に試行錯誤したいという国内外のメーカー様は、maro@piyocast.comまでご一報を!

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