見出し画像

the 1-Taylor Swift 【歌詞和訳】

Tayちゃんが8thアルバムであるfolkloreを電撃リリースして早二日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。私はというと、歌詞の深さにハマり切ってしまって生還不能状態に陥っております。

ここ数年はもっぱら元の歌詞、もしくは人の和訳歌詞で楽しんでいた私ですが、今回のアルバムは是非とも自分の言葉で訳したい!!ということで、中学ぶりに歌詞の和訳に挑戦してみました。

今回訳したのはトラック1のthe 1 です。

尚、アルバムのコンセプトであり、魅力である曲全体の物語性を大切にしたいので、歌詞は一行ずつではなくセクションごとに、原文に忠実な直訳というよりは日本語にフィットするような訳を心がけました。
そのため、私が洋楽の歌詞を和訳して英語を勉強したこともありますが、意訳になっている部分含め、元の歌詞を理解するうえで助けになるような注釈を随時記しますので、和訳でニュアンスを楽しみつつ、Tayちゃんの綴った歌詞も存分に味わっていただければと思います。


#1    the 1

[Verse 1]
I'm doing good, I'm on some new shit
Been saying "yes" instead of "no"
I thought I saw you at the bus stop, I didn't though
I hit the ground running each night
I hit the Sunday matinée
You know the greatest films of all time were never made

調子はいい方   全てを受け入れて、また新しいたわごとに手を出してる
こないだバス停であなたを見かけた気がしたんだ   気のせいだったけれど
毎晩新たな課題に必死に取り組んで   日曜がくれば気まぐれにマチネを訪れる
どんな名作も時代の流れには逆らえないみたい

・shit : スラングだと「たわごと」「つまらないこと」という意味を持ちます。
・hit the ground running : (新しいことに)全力で取り掛かる
・matinée : フランス語です。マチネは太陽の出る時間帯を指しますが、この場合は演劇用語で「昼公演」を意味します。ちなみに夜公演を指す語はソワレ(soirée)です。これ、ソワレならレイトショーとかにも訳せたんだろうけど、綴りがフランス語表記なので、わざとフランス語のまま入れたんだと思うんです。フランス語のままの方が日曜の昼間の雰囲気を出せたのかな・・・音は英語でも同じなんですけれど。なので訳でもフランス語のまま感を出すことにしました。
また、hitの意味の取り方で語り手が昼公演を行なったようにも訳すことができますが、その前の目まぐるしく働く日々から、日曜=休日と連想したためこのような訳にしてみました。

[Pre-Chorus]
I guess you never know, never know
And if you wanted me, you really should've showed
And if you never bleed, you're never gonna grow
And it's alright now

あなたにはわかりっこないだろうけど
私を手中におさめておきたいなら   絶対に行動で示すべきだった
血の滲むような思いをしない限り  人は成長できないんだよ
もうどうでもいいことなんだけどね

・should have showed : いわゆる完了形に、助動詞のshouldがくっついた形ですね。助動詞には原型(=現在形)しかくっつかないので、過去に「〜するべきだった」という時はこの表現を使います。
・bleed : 「血を流す」という意味で使われる動詞の過去形ですが、実際に血を流す事は考えにくいし、イギリス英語では形容詞形のbleedyを「最悪な」という意味で使うこともあるそうなので、少し遠回しな訳にしました。

[Chorus]
But we were something, don't you think so?
Roaring twenties, tossing pennies in the pool
And if my wishes came true
It would've been you
In my defense, I have none
For never leaving well enough alone
But it would've been fun
If you would've been the one

でもやっぱり私たちは何か違ったよね?
目まぐるしい20代を駆け抜けて
願い事の数だけプールにコインを投げ入れた
もしあの時の願いが叶っていれば   隣にいるのはあなたのはずだったのに
言い訳じゃないけれど   
現状に満足したくない性分だから   何かを抱えることなんて私にはできない
だけどもしあなたが運命の人だったら、きっと楽しかっただろうな

・roaring : 「燃えさかる」「活気のある」過ぎ去った20代の勢いや、輝かしさを強調しているのかなと思います。過ぎた恋の歌なので、少し懐古する感じ?
・tossing pennies in the pool : penniesはpennyと呼ばれる硬貨の複数形です。その前の流れを受けて、「浪費する」という訳も考えたのですが、この硬貨はイギリスでは1ポンドの100分の1、アメリカやカナダでは1セント硬貨の別称なので、浪費するには額が小さ過ぎ・・・?と思い直し、penniesとwishesが同じ複数形なのを受けてこんな訳になりました。イタリアでは願い事をしながらコインを投げ入れる噴水があった気がするのですが、アメリカでも同じような文化があるのでしょうか?(調べても子供向けのプールレクリエーションしか出てきませんでした笑)
・would’ve been : 先ほど出てきた助動詞+完了形のwouldバージョンですね。(would’ve= would have) 
・in my defense, : 言い訳になるかもしれないけど〜と前置きする時に使うフレーズです。
・leaving well enough alone : “leave well enough alone”で「現状でよしとして、余計な手を加えない」ということを意味します。蛇足は回避したいという事ですね。歌詞ではneverで否定のニュアンスが加わって、「どこまでも満足しない」貪欲な姿勢が表現されてます。

[Verse 2]
I have this dream you're doing cool shit
Having adventures on your own
You meet some woman on the internet and take her home
We never painted by the numbers, baby
But we were making it count
You know the greatest loves of all time are over now

あなたがスカしたことをしてる夢を見ることがある
誰の手も借りずに冒険したり  
興味本位で会ってみたネットの女の子を連れて帰ってる
私とはそんな型にハマってなかったじゃない
価値ある時を過ごしていたからこそだとも思うけれどね  そうでしょう?
でも結局時の流れには逆らえなかったみたい

・cool shit : 最初に出てきたshitと同じ意味で取りましたが、coolの肯定的なニュアンスを持たせて「かっこいいこと(皮肉)」になるかな、と思います。
・on your own : 「一人きりで」みたいな意味です。物理的に一人の場合は”by oneself” と言う方が多いようで、この場合は自分の意思で一人を選んでいるような感じですね。ちなみに、パートナーがいないことを”I’m on my own”と言うこともあるそうです。
・paint by numbers : 番号に合わせて色塗りをして絵を完成させるゲームが由来ですが、ただ番号通りに作業するだけで作品が完成することから、「型にはまった“」「独創性のない」という比喩表現にも使われます。
・making it count : make it countで「〜を価値あるものにする」という意味があります。
・最後の一行は序盤の映画に自分たちの恋愛を重ねた表現ですね。

[Pre-Chorus]
I guess you never know, never know
And it's another day waking up alone

あなたにはわかるはずないだろうけどね
そしてまた一人で朝を迎えるようになった

・another day : tomorrow is another day(=また明日がやってくる)のように、againに近い意味で使われてます

[Chorus]
But we were something, don't you think so?
Roaring twenties, tossing pennies in the pool
And if my wishes came true
It would've been you
In my defense, I have none
For never leaving well enough alone
But it would've been fun
If you would've been the one

でもやっぱり私たちは何かが違った
20代は燃え盛るようで
途方もない夢をただ信じていたかった
もしもあの夢が実現すれば   あなたが運命の相手になっていたはずなのに
言い訳になるかもしれないけれど
満足するつもりはないし   私は私一人で手一杯   
だけどもしあなたと一緒になれたなら   きっと楽しかったんだろうね

追記 29.7.2020

先日友人にこの和訳を見せたところ、A,Bと並列する時、詩の構造的にはAが事実か比喩かに付随して、Bも事実を指したり比喩になるということを推しせてもらったんですね。そして実は、”Roaring twenties”はいわゆるアメリカにおける「狂騒の20年代」と、語り手の20代を重ねているそうなのですが、
(参考: https://genius.com/20415576 )
私の中ではいまいち全体として繋がらなくて訳にはあえて出していなかったんです。ただ、この友人との話を通してやっと合点がいきまして。というのも、“Tossing pennies in the pool” も比喩だと捉えれば、効力もなさそうなおまじないを信じること=叶うはずのない永遠の恋を信じること と捉えられるんですね。ああ、あっぱれ。
というわけで、このお話で私の翻訳の世界がまた一つ開けたような気分になったので、皆さんにも一つ、頭の隅に置いておいていただけたらなと思い追記という形で記させていただきました。

[Bridge]
I, I, I persist and resist the temptation to ask you
If one thing had been different
Would everything be different today?

しつこく付き纏う衝動
何がいけなかったんだろう?
何か一つでも違っていたら   今をまるっきり変えることもできた?
そうあなたに聞きたい気持ちがおさまるのをずっと待ってる

Tayちゃんの書くBridgeへの愛が溢れてしまいました
・persist and resist : persistは「固執する」というしつこさ、resistは「抵抗する」「(何度も)我慢する」といった意味があります。この二つがandで結ばれているということは、未練がましい質問をあなたに投げかけたい!!というtemptation(誘惑)に苛まれては堪え・・・を繰り返しているんだと思います。そういう経験、ありますよね〜〜〜〜^^

気丈に振る舞って過去の恋愛を達観しているようだけれど、心の中では葛藤してるんですね。

これはTayちゃんが天才、ということで訳を少し膨らませてしまいました。


[Chorus]
We were something, don't you think so?
Rosé flowing with your chosen family
And it would've been sweet
If it could've been me
In my defense, I have none
For digging up the grave another time
But it would've been fun
If you would've been the one

私たちはやっぱり何か特別だった   そう思わない?
心に決めた人とロゼワインを片手にするあなたを思い浮かべて
その相手が私だったなら   どんなに素敵だっただろうって考えてる

弁明したいわけじゃないけれど
過ぎた恋を蒸し返すような未練なんてない
ただ   あなたが運命の人だったならどんなだったんだろうって思うだけ

・chosen family : 相手に選ばれた家族になる(なった)人ってことだと思うのですが、この「選ぶ」という言葉があまりしっくりこなかったので、「相手が家族にしたいと心の中で決めた人」と解釈しました。
・digging up the grave : 直訳すれば「お墓を掘り起こす」なんですけれど、きっとこのお墓は、過去の恋の思い出であったり、後悔であったりだと思います。なので、過去の恋愛をまた引き合いに出す、蒸し返す、という訳にしてます。

楽しんでいただけたでしょうか?folkloreはこれから全曲訳していきますので、ぜひまた覗きにきてくださいね。


26.7.2020 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?