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ニット⑥ニットとカットの見分け方:まとめと補足

3回くらいかけてニットとカットの見分け方について説明してきました。是非、自宅や店頭のニット、カットソーを見比べて見てください。

ニット、カットを見分けるためのニットの特徴

1、リブスタートしてある

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2、成型編みしてある(ファッションマーク:減らし増やし目がある)

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3、リンキング縫製してある

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というものでした。

そこで、『残念なお知らせ』があります。

この3つの特徴はどれも絶対ではありません。

1、実はリブスタートは丸編み機でも可能

実は丸編み機でも機械と設定で可能です。
例えば筒状にリブから編み始めて天竺に移行して一着分の決めた長さで編み終えて、連続でまたリブスタートして天竺へ・・・ということはできます。それを裁断して利用します。
(ダブルニードルの編み機であれば可能、編み目の増減はできない。興味でてきた方は検索してみてください)

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(こういうイメージ:リブなしの流し編み図とリブスタートのガーメントレングス図)

2、横編み機でも成型編みを使わない場合もある(ファッションマークなし)

基本、横編み機は編み目の増減ができるマシンですが、延々と長方形の編み地を編んでいくこともできます。
反物状の編み地の生地をつくってわざと布帛の様に裁断縫製してもいいわけです。
もちろんリブスタートすればリブ目で編みはじめて天竺(またはちがう編み組織)に移行、一着分の長さを長方形で編んでまたリブスタートして・・の連続がやれます。それを一着分ずつ裁断縫製。上の丸編み機が筒状でやるガーメントレングスを横編みの平面でやれます。

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実際の横編みでのガーメントレングス、ゲキ薄の編み地。なんなんでしょう?
白い編み地の部分は捨て編みといって連結部分。その後の加工段階とかでも利用するようですが、最終的にはとってしまいます。
(手元に写真がこれしかなかった)

3、横編みで編んだものでもリンキング縫製しない場合もある

こちらも発想としては2と同じで別にリンキング使わずにロックミシン(ロックミシンはなんでも縫えます)で仕上げてもいいわけです。
ハイゲージで安定した編み地なら基本布帛に使う本縫いミシンを使うこともあります。

というわけで見分け方とかいいながらいずれも
絶対ではありません。
例えばニットソーと呼ばれるものはこの3つのうちの1つとか2つとかがあてはまる場合が多いです。(ニットソーの正確な定義はないみたいです)

ですが、まあ、この3つが揃っていればほぼ100%ニットです。

なぜかというと

“3つの特徴はニットらしさそのものだから”

です。

『ニットは手編みを機械化した』と書きましたがこの3つは手編みの特徴をそのまま反映させてます。毛糸と編み針があれば一着、完全に完成させられるのが手編みニットです。
(ハサミいらない、ミシンいらない、芯地いらない)
逆に言えばこの特徴を使えばよりニットらしい商品ができるということです。ニットらしいものをつくりたい場合、企画デザイン段階でわざとこの特徴を全部入れます。
ハイゲージものでもなんとなくニットだなと思うのは目が細かくてもこの3つの特徴が使われてるからだったりします。

3つの特徴を見分けることは『ニットつくろう』と考えた企画意図を読み取ることといってもいいと思います。

今回難しかったですが<まとめ>てみます

◉ニットとカットの見分け方3つ

1、リブスタート
2、ファッションマーク(減らし目、移し目)
3、リンキング縫製

ですがそれぞれは絶対ではない

◉それでも見分け方に使えるのはこの3つの特徴は“ニットらしさ”だから

ちょっと難しかったので次回に続きます。

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