セーター(ニット)の名前(商品名)について
通常、洋服は多種多様でサイクルも早いので商品に音楽とか本みたいなタイトル名はもちろん、シューズやスニーカーみたいにモデル名さえつけたりしないことがほとんどです。
お店に並ぶニットにも特別に意味のある名前はありません。
が、便宜上でそのニットの特徴「編み地・柄・糸・ディティール」などで商品名(呼称)が設定されてます。(業務的に設定されてるって感じです)
ちなみにバトナーのこのニットには名前ついてます。
こちらはバトナーの「シグニチャー クルーネック(コットン)」 です。
バトナーさんのこの畦編みのニットは設計が独特で、ブランドを象徴する定番モデルです。(糸の選択、編み地とともに袖と身頃の“ヘラシ“の入れ方が独特)
見れば“バトナーだ“とわかる、まさに「シグニチャー」=「特徴的な、代表的な」商品です。
このくらいブランドの定番になると名前がついてます。
が、それでも「シグニチャークルーネック(代表的なクルーネック)」というだけなのでかなりシンプルな名前です。
(「畦編み」というこのニットの特徴的な編み地を商品名には使ってません。)
それでは通常、ニットにはどんな感じで、「何をもとに商品名がついてるか、名称設定されてるか」あげてみます。
【メジャークラフトニットの名称から】
前回までやってたようなメジャーなクラフトニットの模倣・アレンジ企画だと、わかりやすいので、そのクラフトニットの名前を商品名として使ってることが多いです。
アラン・フェアアイル・シェットランド・ロピー・ノルディック・ガンジー・カウチン・ペルー、、、、
これまで説明してきたジャンルです。
ちなみにアランセーターの模倣デザインのこのニット
実際の商品名、正確には忘れてしまいましたが、
「カシミア アラン クルーネック」とかだったと思います。
シンプルです。
参考までに上記の『カウチンセーター』というのは
こういうやつです。クラフトニット紹介では割愛してしまいまいました。
カナダ、ネイティブアメリカンの『カウチン族』のクラフトニット。(ちなみに画像はホントのカウチンです)
詳しく知りたい方はこちら
http://knittingbird.com/2019/01/08/6838/
【制服、作業着、スポーツウェアなど、特定の目的のニットの名称から】
特定の仕事の作業着や軍の制服、学校の制服、スポーツウェア(今はほぼないですが)としてデザイン、使用されたニット(セーター)があります。それが世界中に広まって真似されてクラフトニットのパターン同様に一般化(一般名称化)しました。
フィッシャーマンズセーター・スクールセーター・マリンセーター・コマンドセーター、スキーセーター・チルデン(テニス)セーター・クロケットセーター・サイクリングシャツ(サイクルジャージ)、、、
・ハリーポッターのホグワーツの生徒が着てるニットが「スクールセーター」です。「ロックエーベン」というスコットランドのニットメーカーが生産してます。(ギャルソンが定期的に何かしら頼んでるニットメーカーでもあります)
装飾がほぼないライン入りの被りのVネックのものが多いです。
余裕ある方は下記どうぞ
http://simejiworld.com/archives/2425.html
・「チルデンセーター」はお馴染みのディティールです。
でかい2〜3本ライン入りのVネックのケーブル編みのセーターです。
下サイトではチルデンセーターとクリケットセーターの違いが説明されてます。
オーバーサイズのチルデンベストみたいなの、この冬、扱ってました。
「スクール」と「チルデン」は今でもトレンドになるとそこら中でつくられたり、古着屋に並ぶはずです。
【編み地、編み柄の名称から】
編み地・柄だしの名称、方法。
普通にやっぱりこれが一番商品名に使われます。
リブ、片畦、両畦、ケーブル、ガーター、パール、タック、鹿子、ワッフル、ミラノリブ、ポンチ、ジャカード、インターシャ、、、
ニットは基本が平編みの表目(天竺表目:一番普通のV字目連続に見えるやつ)なのでそれ以外の編み地だとその編み地の名前でよばれるケースが多いです。
天竺表目のすごくスタンダードな仕様のクルーネックニット(9か10ゲージくらい?)。こういうものにあえて 「天竺 クルーネック」という名前はなぜかあんまり付けません。
裾リブと身頃の切り替え部分。リブから編み進めて天竺に。ニットの特徴の一つ。スタンダードな仕様です。(2x1リブか?)
下画像はお馴染みのシルクリブ。
この画像ではわかり辛いですが全体がリブ組織のニット。
シルク リブ ラウンドネック 7分袖スリーブ という商品名です。
(シルク100% 二目リブ編みの身頃。確か16ゲージ。)
こんな感じで編み地の名前とともにネックとか袖のデザインのディティール、糸の種類が名称にはよく使われてます。
【その他、商品名(呼称)に使われるニットの特徴、形状】
[ネックの形状]クルー、Vネック、Uネック、ハイネック、タートル、オフタートル、ラウンド、ボトル、ボート、モック、ポロえり、、
[スリーブの形状]セットイン、ラグラン、セミラグラン、ドルマン、サドル、ドロップ、パフ、丸ヨーク、、
[糸の種類]ウール、カシミア、アルパカ、キャメル、コットン、シルク、アサ、アクリル、ナイロン、、、
[糸の細さ、形状]ハイゲージ、ミドルゲージ、ローゲージ、バルキー(甘より太い糸)、ハイツイスト(強撚糸)、ファンシーヤーン(意匠糸)、スラブ糸、ネップ、メランジ、、、、
[ニット自体の形状]プルオーバー、カーディガン、ベスト、、
ちなみに下の画像のアラン編みのニットは
『アラン、フィッシャーマン、カシミア、ケーブル編み、プルオーバー、クルーネック、ローゲージ、バルキー』セーターです。
全て当てハマります。別の言い方をするとこれだけ特徴があるニットということです。
もう一例くらいあげてみます。
こちらの商品名はどうなってるでしょうか?
「コットン アゼ ハイネック ドルマンスリーブ」です。
綿100% 畦編み ハイネック ドルマン型のスリーブ
(ドルマン型ですが、袖パーツ別で編んで切り替えです)
商品名についてる名称はもともと服飾専門用語です。それぞれ名前のついた経緯や歴史があるでしょうが、ザクっといえば「業界用語」みたいなものです。
女子用ですがすっごい種類のディティール網羅してるものがあったので載せておきます。
基本的なものは丸暗記案件ですが、少しだけでも詳しく理解してると色々便利です。(比較対象できる基準ができます。)
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