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レザー商品に加工革が多い理由〜シューケア講習まとめ❹〜

❸の続きです。
❸ではレザーというのは食肉用に屠殺した動物の皮(副産物)なので

1、自然のシワ、血筋がある

2、個体ごとの質感のちがいやキズ、 虫刺され跡などがある

しかももともと肉をとるのが目的なので

3、革製品にする時のために綺麗な皮をつくろうと思って飼育されてない

ということを説明しました。

この副産物としてでた動物の皮を利用して色んなものをつくっているのが革製品なので、布製品などに比べてもとの原材料が既製品としての均質性にも均一性にもかけてます。

革製品はそのせいで大きなジレンマをかかえています。

革もなにかしらの商品(特に既製品)になってしまうと見た目はもちろん、製品精度が(特に日本国内は)かなりうるさく求められるのが現実です

○見た目がきれい
(革にはシワやキズがあります)
○均質性・均一性が高い
(革にはまさに個体差があります)
○耐久性がある
(革はこれはすぐれています。布に比べるととても強い)
○洗濯、洗浄、メンテナンスしても形状が保たれる
(革も丸洗いとかできなくないですがハードル高いです、ほっといても経年変化もしていきますし)

のようなことがとっても重要視されがちです。

『見た目が綺麗で丈夫で長持ち、買ってすぐ使えて壊れない、メンテナンスフリーなものか、もしくは楽なものがよい』

というのは残念ながら革製品にはホントはあんまりむかない価値観です。(たぶん車とか家電の影響だと思われます)

一方で、
動物を食用に屠殺する限り見た目の良し悪し問わず必ず皮は発生します。
見た目が比較的綺麗なものはそのまま少ない加工で利用されますが、そんなにいい状態の皮はあんまり期待できません。

“シワやキズが多くて見た目が悪い“からといって、これを利用しなかったらゴミとして捨てるだけになります。

“本来の皮質としては問題ない“にもかかわらずです。でもやっぱり“売り物にするからには綺麗で均一性“がないといけない。

そんなジレンマに対応するために加工技術が発達していったようです。
(のためだけではありませんがタンナーさんのお話きいていると大きな要因のようです)

綺麗で均一性のある革に仕上げるために色んな加工技術を使った工夫がなされています。

それがまとめ❶でも一部具体例を紹介した

・機械でシワをのばす(まんまシワをのばす)
・顔料で塗装(シワ、キズ目立たなくなる)
・型を押す(表面の繊維を平滑にする)
・裏をケバだたせる(表を使わない)
・表面を削る(しわ、キズごとけずる)
・樹脂で覆う(シワ、キズ目立たなくなる)

といった仕上げ加工技術です。
こういった加工技術のおかげで多くの皮が革製品として利用できています。

革製品に関して
・表面加工なし(スムースレザー)
・表面加工あり(その他のレザー)
という区別の仕方はこれまであまり意識してこなかったと思います。

お店で商品を見る際に新しくこの視点をいれて
見ていただくとレザー商品の理解の新しい手助けになると思います。

<シューケア講習全体のまとめ>

・革(レザー)製品は食肉用に屠殺した動物の皮を利用して生産している
・動物の皮だからシワ、血筋などある
・動物の皮だからキズ、虫さされ跡、質感などの個体差がある
・食肉目的だから皮の状態を気にして育てられてない、状態のいいものは多くない
・本来の皮質が悪いわけじゃない
・そのためシワキズなどを隠す、目立たなくする加工技術が進化して広く利用されている
・加工技術が革製品のファッション性やバリエーションを豊かにしている
・メンテナンスは革の加工、仕上げ方によってちがってくる(アイテム別というより加工別)
・加工具合が強いほど、通常のメンテナンスは難しい

長くなりましたが一旦終了します。
まとめ❹は適当な画像などがなく文字だけになってしまいました。すいません。

レザーはまだまだ奥が深いのでまたお伝えしていきます。
ありがとうございました。

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