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ベンチレーションについて(ダウンウェア周辺の話❹)


「ベンチレーション」という単語たまにきいたり、みかけたりすると思います。フワッとしてる方はこの機会におぼえときましょう。

○ベンチレーションとは


アウトドアウェアの脇部に開閉可能な結構長めのジッパーがよくついてますが、あれです。

とりあえず、

ベンチレーション・・・(直訳で)風通し、通気、通風 換気。

また、湿度・温度調節するための通気孔(機能)それ自体もベンチレーションと呼ばれてます。

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昔、ちょっと走っていた頃の話です。

冬の夜中に走ろうとしていたんですが、その日は相当寒く、もともとマムートの防寒中綿とソフトシェル素材(割と防寒仕様)の組合せのパーカ型のジャケット(アウター兼ミドルレイヤー的なモノ)を着てました。

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(これ実物です)


1月末くらいで本当に寒かったので(たぶん気温2℃くらい)着たまま走ればいいかと仕事帰りに走り始めてしまったのですが、

当時、そのジャケットの正しい位置付けがわかってませんでした。

アウトドアの世界だと防寒ソフトシェル素材と防寒中綿の組合せというのはかなりの装備です。

寒冷地で活動する時の仕様(めちゃくちゃ寒いんだけどまあまあ動かなきゃいけない)です。

街中の多少の寒さ程度で運動着として使うようなアイテムではありません。
(タウンユースのファッションアイテムとして使ってただけだったので普段は防寒具合もちょうどよかった)

案の定、10〜15分くらい走っただけで激アツになってきました。

よく考えればマラソン中継とかって冬なのに、ノースリーブでランニングショーツみたいな格好でみんな走ってます。

素人の私でもペラペラのウィンブレぐらいで走り始めるべきでした。

どうしようと思ったのですが、脱いで手に持つのは非常に邪魔ですし、首とか腰とかに巻くと一瞬でほどけて落ちるくらいかさばる厚みがありました。

まだ、2、3キロしか走ってないのに本当に無理だなというくらいアツくて
やめようかと思った時に、

“脇にベンチレーションがついてる“のを思いだしました。

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これです。

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(水沢ダウン、マウンテニア)

これです。

それまで、ベンチレーションなんて使ったことなかったのですが、とりあえず気休めでもいいと思って全開にしてみました。

するとなんとウェアの中を一気に風が抜けて体感温度グッと下がりました!

「こんなに違うの!」と思うくらい全然変わります。

冬、換気のために暖房中の部屋の窓を全開にするようなイメージです。

「この脇のジッパーって必要?」ぐらいに思ってたのでかなりびっくりでした。

でも、さすがに中綿入りのソフトシェルは防寒能力高すぎたので、確か7、8キロくらい走って結局やめることになったと思います。

この体験で学んだ事はいくつかあって、

1、走ると体温めちゃめちゃ上がって、冬でも厚着はありえない(やめると一気に体が冷えて、対策ないとやばい)

2、防寒中綿(ダウンの代替品)、防寒ソフトシェルの能力、かなり高い。

3、ベンチレーションの威力すごい(完全に舐めてましたが、登山やバックカントリーなんかだとかなり必須)

4、アウトドアウェアの「色んな種類の色んな仕様とレベルわけ」ってダテじゃない


補足】ベンチレーションの役割と効果の説明のため、これまで全く無視してたのに話の流れ上、突然登場させてしまった「ソフトシェル」についてはこちらどうぞ。


「ソフトシェルは“ある程度の防寒・通気性・撥水・活動しやすさ“を実現するミドルレイヤーとアウターの中間のような存在」(雨風対応少し弱い)


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○身近にあるベンチレーション


アウターの役割として重要なのはこれまでの説明のとおり、

『密封性の高い素材と仕様で外部環境(雨、風、雪含め)を遮断する』(壁の役割、デッドエア空間を保持)

です。

ということは普通に考えれば確実に蒸れやすいということになります。

それはタウンユースなアウターでも同様です。

例えば

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マッキントッシュ、ダンケルド

雨風避けを重視した超定番ゴムびき素材の超定番アイテムです。

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その分ちょっと蒸れがちなので、脇には五つ穴のベンチレーション。

もともとこの手のトレンチ関係の素材はギャバジンから、ゴムびきやオイルドクロス、ベンタイルと各素材雨風避けを重視してきたので、どうしても透湿性が悪くなりがちです。

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バブアー(ミラレーン社のオイルドコットン)


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金属ハトメ、三つ穴ベンチレーション。

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定番ステンカラー。

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やはり金属のハトメで三つ穴。

意外とベンチレーションつけてるケースはあるあるなので自分の持ってるものも確認してみてください。

ちょっと珍しい事例では

先ほど脇のベンチレーションの画像で登場したデサントオルテライン 水沢ダウンですが、

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なんと

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フロントジップが二列なのも実はベンチレーションです。

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画像のように二列ジップの外側で締めるとメッシュの生地が露出して通気性がだいぶ上がります。(このやり方は珍しいです)

街着としては脇のジッパーよりこっちが使えそうです。
(本来はどういう想定なんでしょう?脇ジッパーとの併用はかなり効果ありそう)

しかも止水ジッパーです。ギミックいっぱいで楽しいです。
(が、街着としてはそこまで必要なさそう、、、。)

でも、デザイン的には大きめポケットと共にかなりアクセントとして効いてます。

この問題をベンチレーションじゃない手段で対応してるのが実は『ゴアテックス』系のフィルムシートですが、その辺は別の機会にします。

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