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すごい斜行

前回のが難しくてちょっと疲れたので、ちょっと私物について書きます。今回は斜行についてです。

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これは2年前?くらいにHで衝動買いしたTEEシャツです。
世代的にアニエスボーダー的なTEEシャツも好きなのでボーダーTEEをみかけるとつい反応してしまいます。
だからといって別になんでも買ってしまう訳ではなくて、素材とか色とかボーダーのピッチとか、それなりに選びます。

ではなぜこのTEEシャツは衝動買いしたかという話です。

このシーズン、確かこういう太ピッチボーダーが流行ってて、キャッチーなブランドとかだと正バイアス(斜め45度)くらいの角度の斜めボーダーTEEなんかが売ってました。
若手富裕層な感じの方が着てるのを街で時々みかけるぐらいの感じで流行ってました。
(バイアスは布帛〔織物〕でやることなので、編み地をバイアスでとる意味はありませんから100%デザインです。布帛でもあんまり意味ないですけど・・・)
個人的にはあんまり好きではなかったです。


この商品はHのオリジナルなんですが、トルネード〜みたいな商品名がつけられてました。
みての通りの斜めボーダーです。が、
まずこの斜めの角度が中途半端なんです。
やるんなら上記のような正バイアス角度(45度)にしてしまった方がキャッチーなわかりやすい商品になります。

で、見た時に「なんだこれ?」となりました。
で、近くで見てみると

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さらに拡大。

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天竺目がえらい斜めになってるのわかりますか?

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めちゃめちゃ斜め、これは斜行ですね。
斜行については下記のリンクを見てください。わかりやすいです。



結論としてはこのTEEシャツは生地の段階で斜行させて、それをわざとデザインにしたTEEシャツです。
(普通につくって製品に強めの洗いをかけて斜行させたんではありません)

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ネック部分。斜めの生地にリブをつけてます。

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裾です。裁断時点で斜めなことがわかります。

Hで見た時に考えたのは

『色んな斜行ドメやカバーする工夫や加工があるのに、そういうこと全部やらないで、ワザと斜行する条件を揃えてつくったってこと?』


綿100%なんですが触るとたしかにザラつき感も強くて、強撚糸だと思われます。

『単糸でS方向のみにがっちりよりかけて、シンカーループ機(丸編み機)で流し編みでボーダー編んでまんま洗いにかけて、さらに斜行させた生地を開反して斜行無視で普通のTEEシャツの型紙をおいて裁断縫製したってこと?』
(あくまで予想です。想像です。妄想です。)

見た時点ではここまで具体的に考えなかったと思うのですが、多分、似たようなことは考えたんだと思います。
でテンションがあがった結果、衝動買いです。


実際にはどういう段取りでつくったのかはわかりませんが斜行する現象を利用したのはまちがいないと思います。

この商品のデメリット>
・斜めボーダーデザインということは見た目でわかりますが、普通のお客様に斜行を利用してるとはまず伝わらない
・ここまで斜めだと流石に着心地に影響するみたいで生地が真っ直ぐに落ちてないのでなんか斜行方向に引っ張られてる感がある


<まとめ>

・糸を紡糸する時には撚りをかけるので必ず斜行という現象おきる

・通常は色んな工夫で斜行を発生させないようにしたり、発生しても服として成立するような工夫や加工をしている

・生地がまっすぐ落ちないと服として歪みがでたり、着心地に影響する

・斜行という知識があったのでこの商品の企画意図が予想できた

まとめ補足:斜行・斜行的な現象がおこる理由
*糸は必ずSかZか方向に撚りをかけることになるのでその反発でねじれ現象がおこる
*丸編み機で編むと下から上へ延々とグルグル螺旋状に編み続けるのでその時点ですでに斜めにゆがんで編み上がる(通常修正するが製品まで影響する)
*製品になってからも洗うと撚りが戻ろうとする力が働くのでそれでまたよじれる
*ちなみに布帛でも同じような現象はおきます。(糸に撚りがかかってる限りおきる現象なので)



最後にサイドシームがどうなってるかです。

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これ普通に平置きした状態のサイドシームの位置なんですが、洗濯後はここまでよじれました。

普通の商品の洗濯後よじれはこんなもんです。

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これはZ撚りなので逆サイドに逆回転のよじれがでてます。

休憩がてら書くつもりでしたが結局、そこそこ大変になりました。また、特徴的な商品があったら書きます。

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