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妄想の果て14 年下の少年(SF小説)

小学生の頃、生徒会長を決める選挙があった。

高学年の生徒がみんな候補になる。私はまったくなりたくなかった。責任というものが嫌いだし、かつ私は人前に出るのが苦手だった。元々頻脈持ちで疲れやすかったのだ。

常にダッシュしてる程度の脈拍である、人前に出て緊張状態が続くと身体がもたない。生徒会長などなりたい訳がない。今では創作をして発表していたりするが、やはり苦手意識はある。人前に出るのが好きではない。身体的理由だ。

下級生から信任を得て選ばれる。目立ちたがり屋の同級生が「俺を選んでくれよ!」とかみんなに言っていた。どうぞ、なりたい奴がなればいい。私は端の方で気配を消していた。

下級生の挙手で選ばれることになっていた。

次々に名前が呼ばれる、私の番になった。疲れる。

すると1人だけ手を上げた。近所の子だった。彼は何かの障害なのか、上手く言葉が話せなかった。

1人だけ手を上げ、そして上手く喋れない子だから、みんなが笑った。つられて私も笑ってしまった。

結局、目立ちたがり屋の同級生が生徒会長になり、私は家に帰った。


私は身体が震えていた。涙が流れていた

「僕は、僕が大嫌いだ。」

握りしめた拳の震えがずっと止まらなかった



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