ある日のデート in ロサンゼルス(1)

ある土曜日は、ヨガのクラスから始まった。その日のクラスはアイアンガーという、ロープやベルトやらを使う中級クラス。彼は膝の調子が良くないようで、少し調整しながらポーズをとっている。エクササイズを一緒にする彼はいつもながらセクシーで、ソワソワしてしまう。私はそのいたずらそうな目に弱い。なんで私の人生にこんな人が飛び込んできたんだろう?と考える。

それから、ビーチ沿いをドライブして、Big Duma Beachへ向かう。Point Dumaは大好きな場所のひとつなのだけれど、下のビーチには行ったことがなくて、行ってみたいなと思っていた。有料駐車場を越えてズンズン進み、車を止め、ビーチを歩く。ふもとの小さなレストランを指して彼は、リズのお姉さんの結婚式がこの建物であったんだ、それ以来だ、とさりげなく言った。彼にとっての幸せな思い出の場所みたいだ。

ビーチでは、丸く配置されたラグの上でメディテーションクラスが開かれていたり、崖を使ったロッククライミングクラスが開かれていたり、思ったより賑わっていた。靴を持って、裸足になり、ビーチを歩く。気持ちの良い青空の下、同じく真っ青な海が奥まですっかり広がっている。この幸せな空気をたくさん吸い込みたくて、知らぬ間に吸う息がすーっと、長くなる。

砂を踏みしめる音と、ゆったりした波の音を耳に、サングラスの中から彼を盗み見る。日に焼けた肌、整えられたあごひげと、鍛え抜かれた肩、腕、胸板、太もも・・・。視線を少しずつ下に動かしていたら、彼との情熱的なセックスを思い出してしまい、そっと目を閉じる。

岩にしがみつく女の子たちを観察したあと、ビーチの先にあるトレイルを登ることにした。緩やかな階段と坂を登り、崖の上の岩を進むと、目の前にパーっと海が広がった。周りにいる人々も晴れやかないい顔をしてる。岩に座って真っ青な海を眺めていたら、幸せがじんわり心を満たした。

ふと彼が海の奥の方を指差した。“Can you see?”
目を凝らすと、なんと、クジラがいた。つがいのクジラだった。遠く、とは言っても形や動きが見える距離を、クジラがのんびり泳いでいた。たまに水しぶきをあげたりしながら、しばらくの間、クジラは近くで、私たちを楽しませてくれた。

普段写真を撮ることがない私たちだけど、この日は初めて彼が私の写真を撮ってくれた。なんとも言えないさっぱりしたいい笑顔の私が写っていた。

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