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『若草を濡らす少女たち』-宮本真佐子/小田里美 第一章 対照的な二人

宮本真佐子
中学二年生・十三歳
身長151センチ・体重39キロ・B73AA・W55・H75

小田里美
中学二年生・十四歳
身長153センチ・体重45キロ・B79B・W60・H83

 午後二時三十分、終業を告げるチャイムが鳴った。
 授業から解放される安堵感に、それまで静かだった教室内に微かなざわめきが起こる。誠に現金なもので、それまで眠気にドップリと浸っていた生徒たちもチャイムの音を聞いた途端、生気を取り戻している。気の早い者は既に教科書やノートを片付け始めている。
 終業の挨拶が終わり先生が教室を出ていくと、それまで静かだった教室が生徒たちの声で一気に騒々しくなる。
 生徒たちが挨拶を交わしながら次々と教室を出ていく。そのまま家路につく者、クラブ活動に向かう者と様々である。
 宮本真佐子はノートを取るのが遅れていたので、ようやく教科書類をカバンに仕舞い始めたところだった。キラキラと濡れ輝く大きな黒い瞳、キュッとすぼまった小さな口元、おかっぱにしたサラサラの黒髪、肌はきめ細かく、透き通るように白い。この春から中学二年に進級した真佐子だが、顔立ちはまだまだ幼く、身体付きも小柄で華奢なため、時々小学生に間違われてしまう事があるくらいだ。
 「真佐子、帰ろう」
 すでに帰り支度を終えたクラスメートの小田里美が声をかけてきた。どことなくエキゾチックな感じのする茶色がかった瞳、ぽってりとした唇に、ツンと突き出した高い鼻、ショートボブの栗色の髪が健康的な小麦色の肌にマッチしている。真佐子とは対照的にポッチャリとした体型で、大人びた雰囲気の女の子だ。
 「うん…。お待たせ」
 間もなく支度を終えた真佐子は、数人の友達と挨拶を交わすと里美と一緒に仲良く教室を出た。

 真佐子と里美の出会いは、中学に入ってからだった。
 偶然席が隣同士になった二人は、不思議なくらいウマが合った。得意な学科から好きなアイドルタレント、趣味など驚くほど互いに共通した点が多く、すぐに打ち解けることができた。だから二年生に進級して、再び同じクラスになった時は二人で抱き合って喜んだものだ。
 しかし二人の外見や、性格は全く対照的だった。背丈こそほぼ同じくらいだが、真佐子は色白で華奢なのに対し、里美は健康的な小麦色の肌で、体型もポッチャリしている。性格も真佐子は大人しくどちらかというと内気だったが、里美は人見知りする事もなく快活なタイプだった。しかし全く違う二人だからこそ仲良く出来るのかも知れない。
 「真佐子、今日これから何か予定ある?」
 帰路を歩きながら里美が尋ねてきた。
 「ううん、別にないけど」
 「うちパパが名古屋の方に単身赴任してるでしょ?でね、今日ママが届け物とかあって向こうに行っちゃうから、今日の夜誰もいないの。良かったら泊まりに来ない?」
 真佐子に里美は優しくそう言った。
 「えっ…」
 里美の家には何度も遊びに行っている。泊まるとなると初めてだが、イヤというわけではなく、むしろ里美の誘いは嬉しいくらいだった。しかし何故か真佐子は一瞬困惑したような表情を浮かべると俯いてしまった
 「忙しいの?だったら仕方ないけれど…」
 必要以上に戸惑う真佐子を見、里美は残念そうに言った。
 「い、行く。絶対に行く!」
 真佐子は慌てて上を向き、思わず里美の腕にすがりついていた。

 里美の住まいは、閑静な住宅街の一軒家である。普通の4LDKだが、両親の趣味か、洋風でシックな雰囲気に統一されている。真佐子の家は公団のアパートなので、ここに来る度にこんな家に住めたらなぁと思ってしまう。
 真佐子は電話を借り、母親のパート先へ連絡を取った。真佐子と里美は母親同士もつき合いがあり、里美も何回か真佐子の家には遊びに来ていたため、真佐子の母も里美の事はよく知っている。そのため信頼は絶大であり、里美の家に泊まる事を話したらあっさりと許可してくれた。
 「お母さん、大丈夫だった」
 里美の問いかけにこっくりとうなずく真佐子。
 「じゃ、行きましょ」
 里美は階段をちらりと見上げ、自分の部屋に行く事を促した。
 「里美ちゃん、その前にちょっとトイレ貸してくれる?」
 「どうぞ、それじゃ私飲み物用意しておくわね」
 そう言うと里美は奥の台所の方へ消えていった。
 何度も来ているのでトイレの場所は知っている。個室に入った真佐子はドアを閉めるとそのまま便座に座った。
 「フゥーッ」
 大きなため息が口をついて出た。心臓がどきどきして、顔が火照っているのが自分でも分かる。
 何を期待しているの、まさか里美ちゃんとそんな…。
 真佐子は落ち着こうと、ひっきりなしにため息を吐いた。
 中学に入学したばかりの頃、人見知りしてなかなかクラスメートとうち解けられなかった真佐子に里美は積極的に話しかけ、遊びに誘ってくれた。男子生徒にいじめられそうになった時には、止めに入ってくれた事もあった。
 そんな里美に対し真佐子が好意を持つようになったのは当然の事だった。登下校、給食の時間、昼休みと真佐子はいつも里美と一緒だった。そして真佐子はいつしか里美に友達以上の感情を抱くようになっていた。
 容姿も性格もまだまだ幼い真佐子だが、性に関する事についてはそれなりの知識は持っていた。勿論まだバージンだが、オナニーも小学校五年生の時からしている。誰にも言えないが、正直里美を思い浮かべてした事も一度や二度ではない。
 しかし真佐子は里美に自分の気持ちをうち明けられずにいた。元々引っ込み思案な上、同性を好きになると言う事がどういう事かも分かっていた。告白して今までの関係が壊れる事が何よりも怖かった。だから今日泊まりに誘われた時、必要以上に戸惑ったのだ。押し殺していた気持ちが口をついて出てしまったらと思うと怖かったのだ。
 少し落ち着きを取り戻した真佐子はようやくトイレから出ると、二階にある里美の部屋へ向かった。何度も来ているので場所は知っている。
 「真佐子、大丈夫?」
 部屋に入るやいなや里美が心配そうな顔で真佐子に訊いて来た。
 「えっ…。な、何が?」
 「トイレ、ちょっと長かったから、お腹でも痛いのかなって」
 「う、ううん、そんな事ないよ、大丈夫」
 「そう、ならいいんだけど」
 優しく微笑む里美に、思わずドキリとしてしまう真佐子。
 「そこのクッションに座ってね。はいこれ」
 里美は真佐子にコーラの入ったグラスを差し出した。
 「ありがとう」
 真佐子は受け取ると、ベッドに座り改めて里美の部屋の中を見渡した。八畳程度の広さだろうか。きちんと整頓された室内には目立つものといったらベッドと小さなガラスのテーブル、そして本棚と勉強机ぐらいのもので、ぴかぴかに光っているフローリングの部屋は明るくとても居心地がよかった。
 「いいなぁ、里美ちゃんの部屋。あたしもこういうのがいいなぁ」
 真佐子にも一応自分の部屋はあった。しかしこんなに広くないし、下は畳である。おまけにふすま一枚隔てて隣は両親の寝室である。プライバシーも何もあったものではない。
 「そう?フフ、そんな事もないと思うけど」
 里美はクスリと笑い、真佐子の向かいに腰をおろした。
 真佐子は殆ど返事をすることしか出来なかったが、里美との会話は楽しかった。里美と会話をしているとなぜか自分までいろんな豊富な話題があるように錯覚した。
 「ねえ、今まで訊いた事なかったけど、真佐子は彼氏とかいるの?」
 「ううん、だって、まだ十三歳だもの」
 「十三歳だっている人はいるわよ」
 優子は笑ってそう言った。
 「里美ちゃんはいるの?」
 反射的に真佐子は尋ねた。もっとも気になるところだ。
 「それがいないのよ」
 里美は少しして言った。
 二人は顔を見合わせて笑った。
 「里美ちゃん、大人っぽいし、素敵なのに、信じられないな。わたしなんかまだ子供だからいなくて当然だけど」
 「子供? 真佐子が?」
 いかにも不思議というふうに彼女は言った。
 「そんな事ないと思うよ。すごくかわいいと思うし」
 「そんな…」
 里美は静かに立ち上がり、真佐子の隣に座りながら微笑んだ。
 里美の体温を感じた真佐子は再び心臓が波打った。彼女を思って自慰に耽った事を不意に鮮明なほどに思い出し、恥ずかしさに顔が熱いほどに赤くなる。
 いけない、里美ちゃんに変に思われる…
 真佐子は懸命に平静を装おうとした。しかし里美の体温、甘い匂いがいやが上にも意識され、どっと汗が噴き出すのが自分でも分かった。
 「ねえ、真佐子。今日どうして誘ったか分かる?」
 「えっ…」
 ドキリとして顔を上げる真佐子。と、優しく微笑む里美の顔がすぐそこにあった。そしてえっ、と思った時にはもう唇が重ねられていた。
 不意に唇を奪われ、呆然とする真佐子。
 「分かってたのよ。真佐子の気持ち…」
 里美は唇を離し、真佐子に告げるとその華奢な身体に腕を回し、抱き寄せてきた。
 「あっ、だ、ダメッ…」
 里美の手がスカートの中へ滑り込んできた。それはアッという間の素早さでパンティのゴムをかいくぐり真佐子の恥ずかしい部分に触れてきた。
 「嬉しい、もうこんなになってるのね」
 真佐子のそこは既に熱く火照り、ヌルヌルした温かい粘液を溢れさせていた。
 「や、やめて…。里美ちゃん、恥ずかしいよ…」
 頬を真っ赤に染め、身体を固くして俯く真佐子。正直言うとトイレに入った時から少し兆候はあった。処理しておけば良かったのだろうが、まさかこんな事になるとは夢にも思わなかったし、取りあえず落ち着こうとするだけで精一杯だった。
 「恥ずかしがらなくていいのよ。あたしだって同じだもん」
 里美は真佐子の手を取るとその指先を自分の陰部へそっと導いた。指先にさらさらとした茂みの感触を感じるのとほとんど同時に、柔らかな肉の感触を直に感じ、驚いて里美を見る真佐子。
 「あんっ…」
 里美が吐息を漏らした。肉の触感が不意に消え、指はぬるりとした温かな粘液に包まれる。
 「里美ちゃん…」
 「真佐子…。あっ…」
 真佐子の指先はひとりでに前後に動いていた。吸い付いてくるような媚肉の感触を指先に感じながら、自分とは違う女の匂いを感じていた。
 クチュッ、クチュッとスカートの奥の小さな裂け目から妖精の囁きのような微かな音が聞こえてくる
 「あっ…」
 里美の指先が真佐子の可憐な花びらを押し開いた途端、真佐子は消え入るような声で呻きを漏らした。クリトリスもとても小さいのに、それでも鞘の中で徐々に固さを増し、指で軽くつまむと、意外なほどしっかりとした感触で弾けるように押し返す。
 「ね、ねえっ、里美ちゃん。お願い…」
 真佐子は切羽詰まった声を上げると、里美に身体を預けてきた。夢にまで見た里美との愛の交換、その里美が与えてくれる痺れるような快美感に、身体を支えきれなくなっていた。
 「ベッドへ…連れてって」
 里美はそんな真佐子の頭を抱き、髪の毛を優しく撫でてやる。
 「うん」
 里美は微笑みコックリと頷くと、崩れ落ちそうになる真佐子の身体を支えベッドへ導いていった。

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