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ラガー箚記(29)リーグワンD1 第4節レビュー

お正月を挟んだ第4節。3連休中ということもあってか、秩父宮、等々力、熊谷あたりの好カードには多くの観客が集まりました。

去年のリーグワンは、シーズン通しての「観客の入り」の評価が3.44だったのですが、今年は4節までで4.31で、感覚での評価ではありますが、間違いなく増加しています。

今節も、上位の試合は、集まった観客が息を呑む好ゲームが続きました!


サントリー 44ー36 神戸 秩父宮

トライ数では神戸が上回っているように、アタック内容では神戸が完全に優っているのに、いらないトライを2つも献上して、またしても勝ち損ない。サントリーは、高基のキックとFWの圧力でなんとか試合を拾った感じ。神戸は極めて残念な試合。

神戸のアタックは、どんどんと完成に向かっているようには見える。アタックをすれば、相手がサントリーでも、いつでもトライまでいきそうな雰囲気を感じる。そして6トライに2つの幻のトライまでしている。ディフェンスもけっして破綻していない。それでも勝てないというのは、より根深い問題を感じる…

サントリーはアタックが、FWによる圧力以外ではあまり見どころがない状態が続いている。コルビの個人技ぐらいしか盛り上がらない。FW周りでの圧力でしっかり得点を重ねているけれど、ガチガチの強いFWとぶつかるとどうか。センター陣が少し寂しいかな。。

全体としては、南アとNZのスペシャルメンバーたちの凄さが目立った。ほぼみんな最後までていて、その最後の最後に、とにかく目立った。本当にスペシャルは、70分すぎてから、本当の力を出すのだ、と。物の違いを感じる。

秩父宮に2万に弱。早慶戦より入っているのでは。こちらの方が、見て面白いのは間違いない!


埼玉 43−27 トヨタ

トヨタがしっかり準備されたプレーで埼玉を攻略した前半。しかし、後半最初から野口を投入したことが、大きく流れを変えたように見え、キックゲームで競り負けなくなり、確実にテリトリーもポゼッションをできるようになった。

トヨタはスクラムが有利なのだけど、セットプレでー圧倒しているとはいえず、その点で、埼玉を「ぶつ切り」にして、リズムを作らせないようなところまではできていなかった。そうなると、80分の中で、必ず活路を見出してくるのが埼玉ですね。。

後半は、バレットのPGのミスト、ハンドリングのミスで、さらに、アーロン・スミスのインターセプトで勝機を失った。後半は、フィフィタなどは明らかに足が止まってしまっていたり、流れを持ち直すような場面がなくて、その辺りに、厳しく見ると、姫野には物足りなさを感じます。…

今日は、長田ーツイドラキのマッチアップが面白かった。初めに2つツイドラキが長田を外してから、長田が吹っ切れたように躍動し出したように見えて、絶対に「やり返してやる」という強い気持ちを見たように感じました。そこのやり合いは、見どころ満載でした。


東芝 24ー20 クボタ

熱い、痛そうな試合でした。クボタがしっかり修正しており、自分たちの強みをしっかりと活かした試合をして好ゲームに。ただ、トライを取る力は、東芝が一枚上。3本のうち2本は、崩しきった美しいトライだった。そして、最後の逃げ切りの場面の、チームとしての統一感も素晴らしい。

接点周りの勝負は互角に見えました。これは、クボタがさすがというより、去年までの数年間はクボタが凌駕していたところでしたので、東芝がしっかりクボタに追いついてきた、というところ。テリトリーではクボタが勝りながらスコアで勝れなかったのは、トライをとり切る力のところか。

東芝は4連勝で、勝ってきた相手が、静岡ーサントリー神戸ークボタ。次はホンダなので、5連勝はかなり固い。一気に、今季の主役に躍り出た感じ。メンバーが若いのも魅力だし、モウンガ、フリゼルがとても「献身的」で、チームとしっかりフィットしている。選手層がまだ不安だけど、さあ、次のターゲットは埼玉、というところまで来ている感じ。

クボタは今日はいい試合をしているんですけどね。。トライを取りきれないというか、ゴール前5mくらいまで行けることが少なかった。ちょっとメンバーも手薄な感もあり、苦労をしている前半。僕は、センター陣が少し物足りないなあ、という印象。

等々力にラグビーで1万人超えたのは初めてでは。会場で見ていたら、熱い、興奮する試合だったのでは。


相模原 35−40 横浜

相模原がそのアタック力を増している様子が伝わる試合。しっかり横浜を崩してトライを重ねた。ただ、その分、この2試合、簡単にトライを与えるシーンが目立ち、失点が多くなっている。今日も、調子の良くない横浜に、簡単にトライを失ってしまい、試合を失った

目立ったのは、相模原の、トゥームア、ホネティ、ポルトリッジのアタックでの絡み。前半は彼らが躍動して、去年はトライの取れなかった相模原が、横浜をしっかり崩してトライを重ねていった。ここは去年から明らかに進化している。

横浜は、どうしたの?という試合。簡単にトライを与えてしまい、なんとか切り返したけれど、そこから突き放せず、最後はなんとかゴニョゴニョして凌ぎ切った感じ。デ・クラークも、田村も精彩を欠いていて、この状態では、反対側のディビジョンの5チームにはかなり苦戦を強いられそう。


ホンダ 13−62 静岡

静岡がFW周りの圧力でホンダを粉砕。スクラムで優位に立ち、モールでトライをとり、執拗にFW周りを攻め続けペナルティをもらい続け、延々と攻め続けた。ホンダもラインディフェンスでは抵抗しているけれど、ノーペナルティで守り切ることができなかった。

静岡は得点は重ねたけれども、強みを活かしてのトライがほとんどで、崩して取ったというよりは、文字通り粉砕してきた、という感じ。でも、これだけでは、上位のチームからはトライはそうはとれないわけで、アタックについては、さらに工夫と進化が求められるところ。

ホンダは1つ1つの接点を見れば十分にやれていても、10フェーズ以上続く中では、必ずミスや反則が出てしまう。また、ゴールラインを背にしたディフェンスでは、なんとしてもFWは守り切りたい。そこで簡単にやられてしまっているうちは、D1では勝ちは見えない。


リコー 41ー14 近鉄

圧倒的にリコーが攻めながら、攻めあぐみつづけた試合。近鉄は前半の前半で失った3トライが痛すぎる。ポゼッションディフェンスではそんなにやられていないのに、とにかくペナルティがもったいない。お互いハンドリングミスが多い、ちょっと締まらない試合だった。

近鉄はクーパーが最後までプレーできたことが収穫では。リコーはあまり進化の見られない内容。どういうシナリオでトライまで持って行こうとしているのか、モール以外はよくわからない。いいランナーがFWにいるのだけど活かせていないし、かといってバックスで積極的に展開するでもなし。

反則とハンドリングエラーが多くて、試合がぶつ切れであまり盛り上がるところのない試合。レフリングも問題があるように見えました。スクラムでは笛を吹き過ぎに見える。観衆も少なくD2かD3か、という感じ。


東芝が接戦をものにし続けて、埼玉とともに全勝。若手がガンガン出てきているのと、モウンガ、フリゼルがしっかりフィットしていることで、チームが大きく飛躍している。

星勘定的には低迷しているクボタは、決して今節の試合内容は悪くなく、怪我人の復帰が進めば、中盤にかけては盛り返してくるのでは、と見ています。

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