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【妄想ライオンズ 36】渡辺GM VS 外崎修汰

10月某日。所沢の中でも山の奥。ベルーナスタジアムの横にある株式会社セイブライオンズのオフィスの一角で、渡辺G Mと今年FAの資格を獲得した外崎選手が対峙する。

彼の今年の成績は惨憺たるものだった。守備と走力では安定したものを見せ、随所でチームを救ったが、肝心の打撃ではチームの足を引っ張る主因となった。その証拠に、彼が1番に座り、打撃が好調だったと、具体的にオールスター後は、それに応じるようにチームは好調で、首位を走った。9月に入り彼が怪我をして以降、チームは悪夢の7連敗を喫した。

大手を振ってFA、という数字ではない。しかし、8年間かけて体を張ってきた権利でもある。来季について話したいとGMに言われても、彼の気持ちはまだ何も固まっていなかったし、どちらかというとライオンズからの今年の評価は厳しいだろうと、ある程度身構えていた。

「トノ、1年間お疲れ様。数字や金額について、今日は話すつもりがない。代わりにこれをみてほしい」

そう言ってGMが取り出したのは、3つのペーパーだった。そこにはプランA、プランB、プランCとあり、来季の想定されるスターティングオーダーが書かれていた。そのプランAには、1番セカンド外崎があり、プランBにも、一番セカンド外崎があり、プランCには5番セカンド外崎があった。プランAとBには記載されているのは、2番源田と3番森、4番の山川だけだった。プランCには4番山川と1番の源田だけが書かれていた。

「GM、これは。。」

「松井監督とも話した。ウチのリードオフマンはお前しかいない。スピード、守備、バッティング、どれをとっても球界1のリードオフマンになれる。そして、1番がお前で固まれば、ウチの打線は一気に固まる」

「でも今年の成績では・・・」

「お前、来年もこの成績で終わるつもりなのか?」

「・・・・」

「そんなことはないだろう。そんなことは自分が許さないだろう。俺は信じているよ、来年以降のお前を。今年が悪かったから、今年が悔しかったら、だからこそ来年以降、チームを引っ張るお前がいることを。ライオンズを引っ張ってほしい。金額はこれからだけど、FAしたら4年契約をしてほしい。」

彼は目を丸くする。そして鼓動が速くなる。ぐっと下を見る。

「いいんですか?」

そういう彼に、GMは紙の束を取り出す

「読んでおいてくれ。チームに送られてきたお前へのメッセージだよ。手紙できたもの、メールで送られてきたも、1000通近くある。俺はこれをみて、何があってもお前に残ってもらおうと改めて思ったよ」

「考えさせてもらっていいですか」

なんとか言葉を絞り出す。

「もちろんだよ。」

そう言ってGMは彼に手紙の束を渡す。

「ありがとうございます」

GMは彼の肩をポンポンと叩く。彼はようやく笑顔になる。一緒にミーティグルームを出る。

「蛭間は上がってきますかね」

「愛斗とか川越とか次第だな。でも可能性はあるよ、開幕」

「マジっすか。やばいっすね」

「楽しみだよ。来期は取れるよ、本気で」


その1週間後、彼からGMにメールがあった。

「4年、やらせてください。ライオンズで日本一になりたいです」

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