★ラガー箚記(10)★クーパーが近鉄の自信を甦らせる
浦安と近鉄の入れ替え戦の初戦は、雨の仙台。D2では圧倒的な巨大戦力を誇ってきた浦安と、D1では持ち前のアタック力よりも、ディフェンスの綻びが目立ち低迷した近鉄。しかし、近鉄はここにきて、ワクァ、マシレワ、そしてクーパーが戻り、陣容が整ってくる。ジェド・ブラウンあたりが戻ってくれば完璧というところまで来ており、戦う体制は整ったかのように見える。
試合の立ち上がりは、浦安がテリトリーを支配し、2度ゴールラインを割る。近鉄は1度は反則に救われたものの、そこまでの5分間は、浦安が今季無敗の面影を存分に見せてきた。
しかし、その空気を一気に変えたのが、クーパーだった。
10分には、クーパーからの素早い、強いロングパスから、マシレワがキックパスをしっかりとり、1対1をかわしてトライ。
さらに、14分には、オテレ・ブラックの不用意なパスをマシレワがカットしてから、クーパーが裏に見つけた小さなスペースへ、優しいキックを転がし、乱戦になったところを1番が拾い上げて逆転トライへ。
この2つのトライで、近鉄は息を吹き返した。
特に、雨で浦安がかなりハンドリングに苦しみ、結果として増えたスクラムで、近鉄が圧倒し始める。ここで、浦安は完全にゲームプランを失う。3枚のイエローを受け、都合30分近くを人数不足の状態で戦い、その間に点差をつけられていった。
そして、今日の近鉄において、何よりもリーグ戦の時と違ったのは、ラインディフェンスの精度だった。
もちろん、浦安のパス周しやオフロードが、雨の影響でハンドリングエラーを誘発していたこともあるが、それをさしい引いても、今日の近鉄のラインディフェンスは粘り強かった。
簡単にゲインを切られることも少なく、裏に小さくでられても、粘り強く絡んでいきビッグゲインをさせない。どうしても、シーズン中は、ラインブレイクをされると、あっさりトライまで持っていかれるケースが多く見えたが、今日は大いに違った。
こここそ、今日、クーパーが10番に入った、一番の効用に見えた。
FWーSHーSOあたりの細かいボール回しでゲインされない、そして、彼自身もしっかりカバーディフェンスに回る。その姿に、近鉄の、特にセンター陣あたりが、今日は浦安の攻撃をしっかり食い止めていてた。
ディフェンスが課題と言われ続けてきた近鉄が、この日は、明らかに違った姿を見せてきた。
22点差まで広げた第2戦。浦安も、今日のような試合はしないだろう。しかし、クーパーが戻り、自信を取り戻した近鉄が、このまま残留を決める可能性は、大いに高いと見える。
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