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ラガー箚記(26)リーグワンD1 第1節レビュー

結構、待ちに待った、という感じのリーグワンの開幕。各所で1万人をこえる観客が集まり、大いに盛り上がったように見えます。この集客が、この先どこまで続くのか、いや、もっと盛り上がっていくのか、まずはそこが、リーグワン3年目の、大きなポイントではないでしょうか。

開幕節は意図してビックマッチが組まれていることもありますが、好カード目白押しでしたが、昨年上位層でも、少し仕上がりの差があるように感じました。

まずは各試合の総評から。


東芝 43ー30 静岡

第1節のベストバウトはこちらでしょう。

静岡が、最高のスコアマネジメントを見せる中、それをアタック力でねじ伏せた展開。新しい東芝の、恐るべき破壊力を見せつけた試合。点差以上に東芝の完勝。静岡は、この試合展開で勝てないのでは、どうしても勝てなかった試合、という感じ。モウンガの加入で、東芝はチームが一気に生まれ変わるかも。

東芝は、とにかくランナーも多いし、クラッシャーも多いし、ナイカブラ、タマニバルはいうまでもなしとして、今日は改めて、真野の強さ、そして15番松永のランナーとしての素質、そしてFWの強烈なランナーたち。これをモウンガが操っていく。恐ろしい。
セットの強さもあるし、あとは、ディフェンスや規律の部分をどう強化していけるか。また、選手層は、上位チームと比べると、少し物足りないところがあるので、この陣容に、若いニュースターも欲しいところ。

静岡は、本来なら勝てた試合。家村の足で十分稼いで、十分にディフェンスも粘った。ただ、結果として、役者が不足しているということか。リーグワンの選手レベルがどんどんと切り上がっているとすれば、クワッガ以外にも、ワールドクラスの選手が欲しいか・・・


トヨタ 15−8 リコー

トヨタは辛勝。リコーの執拗なディフェンスに苦しめられ、スコアメイクできなかった。リコーがちゃんとPG狙っていたら、勝負も分からなかった。まだまだトヨタは、戦力が噛み合っていない印象。それに比べて、リコーはしぶとい。ただ、リコーも、アタックは機能していなかった。

トヨタは、こうしてみると、意外と、ランナーが多くはない。デュトイやバレットはそういうタイプではなくて、そうなると、フィフィタがキーになるけれど、今日は消えていた。ならば、ファルコンの方がずっと期待できるような。。。 出だしとしては、神戸、東芝の出来には劣るかな、という印象。

リコーは、いいゲームをしているけれど、今日は勝たないといけない試合を、安易に落とした印象。しっかりスコアすべきところはすべき。得点力が高いチームではないのだから。トヨタから、そうそう何度もモールで得点できると思うのは、まだ思い上がりかな、と。結果論としては、しっかり各所でPG狙ってたら、勝ってたんだろうな。。。

後半は、トヨタは、どうしても、攻め手が、力技、というところがあって、バレットも下がってしまって、直線的な圧力アタック以外ない、という感じで、それにはリコーも十分対応している。その辺りが、うまく噛み合ってしまった後半。


相模原 30ー29 近鉄

近鉄がとてもいい試合をしたと思う。オフェンスはしっかし準備したものが使え、ディフェンスも破綻しなかった。しっかりと攻め切って相模原を崩して得点している。そこまで派手なラインではないけれど、よくトレーニングされているな、という印象。相模原からの4トライはいずれも、しっかり崩し切った。
勝てなかったのは、正直、最初のトライのコンバージョンの差。近鉄は、勝たないといけない試合だった。相模原は、いいとこなし、の試合。勝てたことだけが薬。

相模原は、いわゆるポゼッションをしても、あまり得点の可能性を感じない。相手にボールを持たせた方が、いいアタックの機会を得れそうな感じ。ただ、それだけだと、上位に対しては、どこかで破られてしまいそうで、少し物足りない。磨いてきたというアタックが、今後花開くのか。
また、相模原は去年もスクラムで苦しんでいましたが、この日も近鉄にしっかりやられてしまっていますね。。いいチームなんですが、自ら勝ちに行く、というためのストロングポイントがイマイチ見えにくい。。

比べる対象ではないけれども、東芝や、神戸のアタックを見ると、相模原、近鉄のそれは、少しレベルの差があるな、という印象。


クボタ 26−52 サントリー

点差ほどの力の差はない試合。とにかく、最初の20分で勝負は決してしまった。クボタにミスが多い、クボタのディフェンスがあっさり過ぎるところが気になりますが、最低でももう1戦ありますから、決してこの点差が力の差とは思えないです。

サントリーはコルビやトライをとった尾崎兄弟が目立つけど、デビューの高本がしっかり試合をコントロールできたことが最大の収穫でしょう。緊張していたはず。動きは固かった。けれど、昨年の王者を撃破する試合をフル出場でタクト仕切った存在感。静岡の家村、サントリーの高本頑張って欲しいです。コルビは、長くサントリーにいるのでは。。このチームのアイデンティティと、彼のそれがマッチしているように見える。

サントリーの今日の10−12−13は、昨年の準決勝にいないメンバー。これでクボタに圧勝は大きい。ここにまだ、もう1セット、アンスコムー中村亮土ー中野、というセットもいるわけで。一気に層が厚くなっている。

クボタは少しチームのまとまりが遅いように見える。監督問題の影響がないとは思えない。でも、トライを見れば、地力があるのは間違いなく、序盤は苦しんでも、終盤にかけて存在感を発揮してくるのでは。ただ、バックスのフロントスリーがちょっと物足りないのは否めない。

サントリーは、次は東芝とのマッチアップ。これは、激しい展開になりそうです。


埼玉 53−12 横浜

今年の埼玉は、去年とは違う、受けて受け止めて、じっくり反撃していく、そういう試合ではなくて、出だしからがっつりとりにいく、ゲームを積極的に支配する、そんな意志を感じる試合でした。それを完璧に遂行し、横浜を完膚なきまでに叩きのめした感じ。

特に、後半が30分近くまで、横浜は得点できず。埼玉が支配的な試合展開。トライをとりにいくところに、このチームは力みがない。トライをとりにいくときに、心の乱れがないので、ゴールに近づくが故のミス、みたいなのが、極度に少ない。

選手層も厚く、連携も熟している。そこに、自分たちはチャレンジャーだというテンションが加わり、今年の埼玉は、全試合を圧倒するのでは?くらいの出だしでした。怪我人がない限り、埼玉がプレーオフまで行くのは間違いなさそうに見えます。

横浜は、出だしの20分、そして後半の出だしに失ったトライ。このあたり、前後半のゲームの入りがダメダメ。どうしたの?と言うくらい、その時間帯の粘りがなくて、埼玉相手に離されての試合展開は、流石に厳しかった。。 横浜は、次がトヨタ。ここを凌がないと、一気に上位の目が萎んでしまう。。


神戸 80ー15 ホンダ

神戸のアタックは、強いし、速いのもいるし、高いし、そしてつなぎがうまい。これを4トライ以内に止めるのは難しく、神戸とやる時は点の取り合いマスト、という感じ。 印象に残ったは、前後半最初のトライがレタリックだったこと。火をつけました。 今年は、4強に食い込むか。

ラインアウトやスクラムは、まだ形成途上、という感じ。ガットランドー李のダブルSO的なラインは、なかなか魅力的。今日は李のランがキレキレだった。そして、復活したラウマペ。強さだけでなく、CTBとしてのうまさも存分に見せていて、これに、リトルが健在で、ティモシーも復調気味。 バックスのフロント3枚のところが、一気に充実している。

ただ、ディフェンスは、相変わらずの、のんびりしたラインの上がりに、外もしっかりスペースがあって、ホンダにしっかりと食い込まれていて、どうなの??という印象。上位相手ならば、バンバン切り裂かれそうに見えます。この辺りは、次節の静岡との試合でより進化と真価が問われそう。

静岡を粉砕するようだと、いよいよ神戸が、今年は台風の目、という感じになりそうですが。。。

ホンダは今年はちょっと苦労しそう。D1のアタック力に対して、組織としてのディフェンス力がまだ備わっていない感じ。去年の近鉄のような印象。なんとか、入れ替え戦を凌げるように、今年1年はD1に揉まれながら、チーム力、特にディフェンスを鍛えたい。


第1節だけ見れば、埼玉・サントリーの充実ぶりが目立ち、選手層などを鑑みても、この2チームがリーグを引っ張っていきそうに見えます。そこに、クボタ、横浜、神戸、東芝が絡むのは間違いなくて、トヨタがこれからどうチームが作られてくるのか、という展開に。

リコー、静岡はどこまで上位から白星を拾えるか。相模原、近鉄、ホンダは上位とは少し差がありそうに見えました。


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