ラガー箚記(34)リーグワン第8節のレビュー
リーグ戦も折り返し地点。今節は、近鉄が、無敗の東芝にあわやアップセット!の激戦を演じ、相模原は、もはや番狂せとは言えない内容でクボタをよ寄り切ったりと、地殻変動の蠢きを感じました。
あとは、怪我人が多くなっていますね。特にワールドカップで頑張った組。サントリーからはサム・ケインもコルビもいなくなりました。東芝、神戸で頑張っているNZの面々が倒れると、この2チームは苦しくなりそうですが・・
クボタ 28ー34 相模原
相模原が自信を持ってクボタを寄り切った試合。ボールを持てば確実にゲインができて、フェイズを重ねてクボタのディフェンスを粘り強く砕いて行った。どちらが強いと言えば、今日は明らかに相模原が強かった。地力が上だったという感じ。
クボタは、スクラムを圧倒し、ラインアウトで凌駕しながら、ほぼ完敗に等しい内容。トライ数では2つ劣っていて、グレイソンがキックを14点分も外したから接戦だけれども、普通に入っていたら、20点近い差がついてたかも。クボタは、今年は少し戦力厳しそう。
相模原は、とにかくアタックの継続の力が素晴らしい。全く慌てなくなった。単発では前に出れなくとも、継続していけば必ず前に出れる。チームの全員がそれを確認してハードワークをしている。そこに、ポルトリッジの決定力が帰ってきて、得点力が増している。次節は神戸戦。トヨタから50点取った神戸に対して、どこまで戦えるか。今度はディフェンスが試される1戦になるのでは。取り合えば、神戸の方が上には見えるので。
クボタは、やっぱり戦力が戻ってこないと色々厳しいですね。。ヘル、フォーリー、ウイリアム、あとハーフの面々。戦力が戻ってくるまでは厳しい戦いが続くのでは。。
神戸 57ー22 トヨタ
点差ほど力の差はないのは間違いない。後半の前半、トヨタが押している時の山下の2本のインターセプト。ここが勝負を分けた。けれども、そこで、最終的のトヨタがチームとして崩れてしまったのは、大きな課題があるように見える。
神戸は、サベアが爆発しているのは、前節もすごかったし、満足満足なのですが、それ以上に、ガットランドの攻守にわたっての活躍、Bバレットを相手に立ち回った今日の試合は、素晴らしかった。李の怪我が心配ですが、ガットランドは、顔が怪我しなさそうだし、今やリーグを代表するSOになりつつあるのでは。
トヨタは、ボールを持ってアタックを継続すれば、しっかりとトライまで行ける雰囲気があった。ただ、山下のインターセプトに対して、2つともトライまで持って行かれてしまったところは、チームとしての危機管理能力に問題があると考えるべきだと思う。逆に神戸は、そこでトライまで行けたのが力。
山下楽平。昨年はいい加減なプレーが目立ったけれど、今年は、前節の神業トライと言い、今日のインターセプトといい、他の人にない感覚、センスが活きている。彼が今日のように目立つと、神戸は止められなくなってくるのでは。
近鉄 32ー50 東芝
近鉄が地力を見せた試合。東芝がペナルティが多くラインアウトも不安定なところを、きちんとスコアを重ね、離されずいついていった。後半はスクラムも押し、70分には一瞬リードまでした。離されずに行けば、こういういいゲームができることを証明した試合。
東芝は、とにかく規律が守れなくなってきている。前節も、その前もそういう傾向があった。15個もペナルティをしていては、普通は勝てない。ここは、次節埼玉とやるにあたり、大きな懸念材料。怪我人も多く、チーム状況はポジティブには見えない。今日は、最後、モウンガに勝たせてもらった、という感じ。
近鉄は、前半の残り10分で2トライ、後半の残り10分で3トライ与えている。D1で勝ち切るには、この時間帯に走り切れる、守り切れる力が、もう1つ必要。今日は、地力を見せてくれたので、ここからは、もう1段上の準備が必要になるのでは。
70分からの東芝の3つのトライは、全部モウンガからのラストパス。長短ともに自由自在。キックも距離を稼いでチームを前進させていた。最後に、千両役者が仁王立ち、という感じ。
静岡 19ー45 埼玉
埼玉が、しっかりと静岡の攻撃を受け止めて、きっちりとアタックのシーンではトライをとり切った。静岡は、いいアタックをするも、攻めきれず、切り返されて、トライを取られる時は、あまり抵抗できていなかった。この2試合の失点の多さは気になります。
ゲインメーターでは五分に近いように見えますが、得点は倍以上の差。今日は、そこはアタックの差というより、ディフェンスの差に見えて、静岡は前節も大量失点になっていて、ディフェンスに何か組織的な問題を抱えているように感じます。
埼玉は、圧倒したという内容ではなくて、うまく試合を捌いたという感じ。先週のサントリー戦と印象はあまり変わらない。次の東芝との試合で、東芝がFW周りのガチガチにこだわってきたら、割と苦戦するのではないかな、と。それでも、強かさで凌ぎそうですが。
ホンダ 21ー50 横浜
横浜が立体的なアタックとセット、モールの強さで効果的に得点。チームとしての成熟の違いを見せた試合。ただ、目立ったのはホンダの果敢なアタックで、後半は互角の勝負。ホンダは1試合3トライは初めて。確実にアタックの力は増している。
ホンダのアタックは確実に底力を増している。今日は、M・ハントから、クワーク、ノックスのバックスのフロントスリーは、横浜のそれよりも目立っていた。そこにバンクスの確からしいアタックもあり、十分に通用していた。なので、課題は、やはりディフェンスでしょうね。。。
ゲインメーターではホンダが横浜を上回っている。これを、いかにスコアに結びつけるか。そこは、今後のチームの進化の楽しみなところでは。
サントリー 62ー0 リコー
サントリーがしっかりとゲームプランを遂行し、リコーを沈没させた試合。強いディフェンスや接点を避けて、立体的なアタック、相手を背走させるアタックをしっかり繰り出し、リコーのディフェンスの強さを出させなかった。非常にクレバーな試合でした。
リコーは、アタックの機会は十分にありましたが、結局は攻めきれずの無得点。要所でラインアウトが取れないのも痛く、最大の得点源であるモールも繰り出せなかった。アタックはいいランナーがいるのに、みんなが頑張りすぎている感があって、余裕がない。マインドの問題が大きいように感じます。リコーはチームとして迷いを感じます。いいランナーが揃い、今季はディフェンスがしっかり強化され、いい試合を繰り広げられているのに、得点がついてこなくて、そこでみんなが頑張りすぎて、結果ミスが生まれる循環になっている。どうしたらいいのだろう・・・
サントリーはケインにコルビというスター不在ですが、かえってそれが、チームの結束力や、個に頼らずに、チームとして勝負する姿勢が見えていいのではないか。サンチェスは、そういうチーム状況に合う方の戦力に見える。斎藤ーサンチェスー松島、というラインは魅力的。
次節は全勝同士の対決があります。正直、どちらのチームも上り調子とは言えない状態ですが、東芝が反則が多くなってしまっているのが気になって、そこをクリアできないと、試合巧者の埼玉には勝てないように見えます。
ということで、埼玉ががっちりと無難に無敗を維持してくるようにみていますが、いかに。
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