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★ラガー箚記(47)★勝手に選ぶ、リーグワン今季のベストゲーム!4位→2位

4位から2位は、そのうち2試合がプレーオフの試合です。3位決定戦と決勝は確かに劇的な展開でした。3位決定戦はスペクタルな展開が、決勝は東芝の魂のディフェンスと、ナイカブラの爆発が見れました。
ただ、その劇的さは、環境がもたらしたものもあります。その点では、同率2位にした、トヨターV Sサントリーは、真の意味で、物語のように劇的な展開でした。。


4位:3位決定戦 サントリー 40ー33 横浜 「サントリーの血とプライド」

前半だけ見れば、横浜のアタックが炸裂し、サントリーを右へ左へ振り回し、小倉のスーパーランなどもあり、サントリーを圧倒していた。後半も先に点を重ね、19点差。勝負はあったかと思ったところから、サントリー息を吹き返した。

その主たる力は、FWの推進力。なんといっても、19点差になった次のターンで、すぐにラックサイドを切り裂いてトライまで持って行った1番の小林。さらに追撃も点は、スクラムトライ。そして、同点のトライもスクラムトライ。後半は、サントリーのF Wが横浜のF Wを粉砕した。

そう、サントリーは、強いアタックのイメージがあるけれども、本来はその力の源泉は、全員がハードワークし、そして強烈なスクラム、そして圧倒的な得点力のあるモール。こここそが彼らの原点。今年はチームづくりに少し苦労をした感があり、アタックは、どうだろう?という場面も多かったけれど、それでも3位にいるのは、やはりこのF Wの力。サントリーというチームの中に流れる「血」と「プライド」を見せてくれた一戦。


2位:決勝 東芝 24ー20 埼玉:「ナイカブラの物語」

あらためて語るまでもない内容。劇的な展開。過去最大の観客の元、東芝の魂のこもったディフェンスが観客を魅了し、ナイカブラがスーパーマンとしての活躍を見せて、東芝を牽引しまくった。

やはり、試合のポイントは、前半の25分までは、東芝のアタックは全く機能せず、防戦一方。しかし、何度もゴールラインを「16人目の壁」として、埼玉の攻撃をギリギリのラインで跳ね返し続けた。
東芝は、このディフェンスで、自分たちの力を確信したはずだ。ただ、それは「勝てる」ではなくて「やれる」までだったはず。

その「やれる」可能性を、「勝てる」試合にしたのは、東芝の3トライ全てを演出し、最後の最後に渾身のジャッカルを決めた、コロインベテをイエローをせずには止められないと観念させた、ナイカブラの劇的なプレー集だった。

力は、埼玉の方が上位のはず。終わってみてもそう思う。しかし、時に、この30人でやるチームプレーを、一人のスーパープレーヤーが決してしまうこともある。ごく稀だけど。まさにこの日のナイカブラがそれだった。1本目のトライも、2本目のトライも、別に崩したわけでもなんでもないところを、一人で切り裂いた。

最後の堀江のスローフォーワードで埼玉は勝利を逃した。今日の物語は、赤の14番が主人公の物語だった。


2位:第10節 トヨタ 38ー39 サントリー 「ラグビーの神様」

豊田スタジアムが、満員とは言わないまでも、見渡す限り上段までいっぱい。素晴らしい雰囲気で、トヨタが十分にあるプレーオフへの可能性を、なんとかこじ開けようとした試合。

前半から多彩な攻撃に、縦に強いところを見せてサントリーをきりサントリーを切り裂いていき、高橋、A・スミスなどがトライを重ね、後半の初めで21点差をつける。

ただ、それで行ける、という雰囲気は全くなかった。今年のリーグワンは、3トライ差くらいは簡単に迫るし、逆転まで行ってしまうことも珍しくない。

案の定、サントリーは50分過ぎから一気に3トライを取り返し、P Gを重ねて逆転まで持っていく。やっぱりサントリーか、、トヨタは、埼玉に28点差をつけながら逆転された試合もあった。

しかし、そのトヨタに、最後にチャンスが巡ってくる。31−32の1点差。後半78分。左サイドから5mあたり。敵陣10m。キッカーはB・バレット。決まれば再逆転。

力みなく、いつものペースで蹴ったバレットのキックは、若干のショート。しかし、そのボールは、まさかのまさかでポールに直撃、そこにトヨタの23番、無一文字にチェイスをしていた23番の元に、跳ね返ったボールが、一直線に、その胸に飛び込んでくる。そのままインゴールへダイブ。

神様のいたずらとしか思えない展開。この強運こそが、バレットの、世界的なプレイヤーの神通力なのか。

しかし、試合はそこで終わらなかった。残り1分で高本の蹴ったドロップキックを、サントリーの5番ホッキングスが全力でチェイスし、そして真正面から飛び込み2m5cmのからだと長い手を伸ばして、ボールを確保する。

最後は、サントリーは、スクラムでトヨタを圧倒し、斎藤のさよならトライをへと繋げた。

バレットのキックと、ホッキングスのチェイス。後半38分を超えたところでの2つのプレーに、3万5千人の観客が、まさに酔いしれた。最高のドラマ。


残すは1位。個人的に今年のベストゲーム!と評価している試合を!


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