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ラガー箚記(35)リーグワン第9節のレビュー

今節は、埼玉ー東芝の全勝対決がありました。頂上決戦に相応しい熱い展開でしたが、最後に埼玉が突き放しました。これはいい試合でした。
ただ、その他の試合は、少し間延びした展開の試合も多かったです。観客の入りも微妙で、終盤に向けて、リーグ全体で何やら盛り上げ施策が欲しいところ・・・


埼玉 36ー24 東芝

埼玉が強かに得点を重ね、東芝の圧力をいなし切った感じ。東芝は、風下も風上も関係ない、自分たちの攻撃を出し切るんだという気概を感じる戦いで、ただ、そこは埼玉のディフェンスがなんとか凌ぎった。ただ、メンツも含めて、東芝は、負けても強し、の印象を強めた。

ゲインメーターが、埼玉261mに対して東芝が421m。だけれど、テリトリーは埼玉60%の東芝40%。埼玉がいかにしたたかで、東芝がいかに愚直だったか、と言う試合。東芝に、リーチ、ピアス、佐々木、ナイカブラなどが戻ってきての再戦があれば、非常に楽しみ。

今日はお互い、ペルティが15と18。正直、レフリングに問題があると感じてしまう。。それにしても、東芝の18は、これだけペナルティしてしまえば、得点もモメンタムも失うってしまう。東芝は、引き続きここが最大の課題では。

見どころは、後半の20分過ぎ、東芝が突き放され14人になり、万事休すか、というところからの10分間。ラグビーは、改めて「気持ちが攻める」と言うことがなんといっても大事なんだということを見せられた。一人少なくなった東芝は、完全に「攻めてやる」と言う気持ちを全員が完全に持っていた。そこから一気に2トライを詰めた。最後の10分は、逆に力尽きた感じだけれど、ラグビーの醍醐味を見た感じ。


相模原 14ー43 神戸

神戸が風上のリードをしっかり守って圧倒。特に後半の最初20分間、相模原に攻められ、自陣に釘付けの中、シンビンもあり、反則も19個もしながらも、とにかく辛抱し、辛抱しながら1トライに防ぎ切ったところが勝負のポイント。

神戸は、ディフェンスが脆い印象がありましたが、攻撃力を増している相模原を、風下の後半に1トライに防げたところは、チームとしての大きな成長を感じます。アタックは、ガットランドですね。。ラン、キック、プレー選択、どれも素晴らしい。

相模原は、前半、やはりもう少し粘りたかった。。24点差は大きかった。。アタックは、モールも強いし、慌てずにシンプルな攻撃を繰り出し続けたけれど、先週のクボタは破れたけれど、今日の神戸のディフェンスは崩しきれなかった印象。

今日は神戸がペナルティ19で相模原が3。正直これが適切な状態なのか?すごく疑問。神戸は密集で何をしても反則、くらいに見えて、こんなにペナルティが偏るのは公正さを疑われてもしょうがないのでは。。

神戸は来週が埼玉とホームでぶつかります。反則の面を修正していけば、今の埼玉ならば神戸が駆逐してもおかしくないと思います。


クボタ 27ー31 トヨタ

波に乗れないチームらしく、どうもボールが手につかないシーンの多い試合。アタックに迷うところがあるのだろうと思う。華麗なラン、見事なトライ、力強いプレー、多いのだけど、もう一つ閉まらない印象の試合。

トヨタはあと15分、ハーフがいなくなるという中ではよく粘った感じ。後半、そういうシチュエーションになってから、バレットは丁寧にキックを蹴り続けて、チームを前に出し続けていた。それで得た最後の3点が勝負を決めた。今日はトライ数は同じで、試合を分けたのは、バレットのゴールキックの精度。

クボタは、トライを取られる時があっさり取られてしまうところがあって、もう少しゴール前で粘れないものだろうか、と思う試合が多い。メンバーも正直手薄な感じもあり、正念場が続く感じ。江良のデビュー、ヘルの復帰などもあるけれど、バックスも戻ってきて欲しいところ。


横浜 34ー17 静岡

前半も後半も、延々と横浜がテリトリーとボールを支配した印象。その中で、静岡もよく粘り、接点でプレッシャーかけてきたけれど、後半に力尽きた感じ。ラインアウトが半分とれず、テリトリーを65%取られては、この点差は致し方なしか。

横浜は、勝つには勝ってますが、去年なら60点は取れたような試合。後半はしっかり崩してトライもできましたが、前半は偶発的なトライだけ。静岡が、もっとテリトリーが取れて、強いセンター陣がガンガンきてたら、もっともつれたように見えます。

静岡は、SOの家村のコンディションがどうなんだろう。後半の後半に彼が出てからのアタックは悪くなかった。ただ、キックは本調子には程遠いように見えたし、ディフェンスも頑張っていたけれど、もう一つ踏ん張れていないようにも。彼が今の静岡の、大黒柱だと思っています。僕は。彼と日野。

横浜は次節のクボタ戦が勝負所。その次のサントリーには、今はちょっと敵わない気がする。クボタに勝っておけば、サントリーに負けても、神戸は、交流戦終われば、サントリー、東芝と当たるので勝ち点を失う可能性も大いにあり、ベスト4も見える。


近鉄 14ー34 サントリー

近鉄が、前節の東芝戦がフロックではないことを示した試合。サントリーに対して、速さとワイドの展開ではやられたけれど、スクラム含め、F W、接点では圧力負けしていなかった。そのためか、サントリーもミスが多く、風上の前半で思ったよりの点差にならなかった。

サントリーは、トライシーンは流石の華麗さという感じだったけれども、キックゲームはさほど有効ではなく、ポゼッションアタックも近鉄にしっかり跳ね返された印象。ワイドでトライを重ねることができたのは、これは、スカウティングではないかな?と思うところ。

近鉄は、東芝戦同様、近いところのディフェンスは十分に戦えている。今日はサントリーも近鉄をしっかり警戒していたようにも見え、ディフェンスは集中力を欠かさな買ったので、裏に出られてから、ラインブレイクされてからもきちんと粘れていた。

近鉄は次節はホンダとの裏天王山。ただ、この試合の内容を続けるならば、近鉄がそこそこ点差をつけて勝つのではないかな、と。(ただ、3つ続けていい試合ができるとは限らないけれど。。)


ホンダ 14ー24 リコー

風上の前半のリードをリコーがしっかりキープして逃げ切った試合。ただ、リコーは相変わらず、攻めてもいいところでミスが出てしまい、もっと得点していいところが、接戦になってしまっている。この辺りのアタックの課題は相変わらずに見える。

ホンダは前半、トライを取った後の5分間で2つのトライを献上してしまったところが痛い。明らかに、「ここで締めればいける」と言うポイントで、気持ちが緩んでしまっている印象がある。緩めていないのだろうけれども、そう見えてしまうし、そう言う結果になっている。

さらに、後半は、ボールを保持する場面は多かったけれど、リコーの1番強い、ラインディフェンスに正面から向かっていくのだけれど、1つブレイクはできても、それをビッグゲインやトライまで持っていくことはできなかった。ここは、今シーズン通じてリコーが上位にも対抗しているところ。

せっかくの風上。前節のサントリーを見ても、リコーの強いディフェンスを背走させた方が良かったんじゃないかな、、そこを徹すれば、勝てなくとも、もう1スコアはできて、勝ち点までは行けたのではないかな、、と感じます。

リコーは今日はディフェンスでホンダを上回りましたが、得点力不足、いいアタックを繰り出しても、自分たちでミスや反則でボールを渡してしまうことが多すぎる問題を解決できていないし、その兆しもあまり見れないです。次節の静岡戦に向けて、もう1つ改革したいところ。


次節はチーム状態が上り調子の神戸が埼玉に挑みます。アタック力だけ見れば、神戸のそれは、埼玉よりも上かもしれない、と思う時もあり、楽しみな試合です。
一方で、裏天王山の、近鉄ー三重、も激戦でしょう。こちらも双方とも、決してチーム状態は悪くなさそうなので、プライドを賭けた激しい戦いになりそうです!

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