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ラガー箚記(30)リーグワンD1 第5節レビュー

今節で第1クールが終了。カンファレンスが一巡しました。埼玉の躍動と、充実が著しいことと、東芝の華麗な復活が印象的な前半戦です。

観客動員数は、ここにきて少し陰りも見えますが、これから春にかけて、シーズンが深まれば、また別な盛り上がりを見せてくれるのではないでしょうか。


静岡 25ー29 サントリー ヤマハ

今シーズンNO,1ではないかな、というレベルの高い試合。特に、お互いの高いディフェンスへの集中力、そして、それぞれのチームが強みを活かしてそれを突破する双方のアタックのバリエーション。そして、展開の妙。最高に面白い試合でした。

静岡はクワッガが結果的には後半30分から不在となってしまいましたが、その不在を感じさせない試合。最後に堪えきれなかったのは、というより、前半、ほぼずっと攻めていた中で、2トライしかとれなかったことが敗因でしょう。あと1、2本は取らないといけなかった。

サントリーは、相変わらず、昨シーズンまでの、テンション高いアタックによる、爆発的な得点力というのが見られない。これはチームとしてある程度狙って作っていっている途中なのでしょうが、なんとも見ていると物足りない。ただ、ディフェンスのレベルは流石に高く、崩れない試合展開はさすが。

家村と高本。今日は家村のディフェンスが目立っていました。特に、サム・ケインをゲインライン前でガッツリ正面から止めたシーンは、こんなことやられるんじゃ、そこ攻めるのかやめようか、、と思わせるかのようなディフェンス。戦うSO。こういうSOが日本代表には必要だと思います。



神戸 34−38 クボタ

劇的な展開の試合。後半のシーソーは痺れました。内容的には完全に互角。トライ数にもあるとおり、アタックは神戸が上に見えた。けれども、クボタはFW中心にしっかりテリトリーし、モール周りでなんとか食らいついて、最後に女神が微笑んだ感じ。

神戸は逆転した後の最後の3分。前節の東芝が、同じようなシチュエーションで、4分半、ボールを保持し続けたのに対して、あっさりとトライまで行かれてしまったところが、根本的な問題を解決できていないように見える。有体に言えば、甘いというか緩いというか。チームとしての風土を見直すべきでは。

クボタはなんとか勝ちを拾った感じ。最後のプレトリアスのトライは、正直偶然。しっかり取れたトライでは神戸に負けてる。固い試合運びでスコアを重ねるところは流石だし、神戸に対してディフェンスは素晴らしかった。でも、5トライは取られているわけで、まだまだ改善の余地は大きい。

神戸は、バックスの後ろ3人がランナーなのだけど、キッキングゲームでは負けてしまっていて、山中いないところをどう防ぐのか。ガットランド15番、李10番、とかもありでは、と思ったりもする。



東芝 40ー12 ホンダ

ホンダが東芝の強力なポゼッションアタックを、しっかりディフェンスし粘り強く守った試合。ただ、ゴール前まで迫られた後の力勝負では、抵抗しても、ボールを奪うまではいかないので、撮りきれてしまっていて、そこが東芝の底力か。

ホンダはボールを持ってのアタックは、十分に通用していて、前半はゲインメーターでは東芝を上回っていた。ラインブレイク数も。ただ、ブレイクされても、そうそう簡単にはトライまで行かせないところが東芝にはあって、接点での圧力に、カバーディフェンスの速さ、カバーした際のジャッカル。ここは差を感じるところ。

東芝は安定した試合。ホンダのディフェンスに苦しめられたけれど、ゴール前での決める選択肢は多彩。今日は、モールはなかったけれど、FWは当然として、ここというところではモウンガ中心に、華麗にバックスでも決められる。見ていて楽しい。



横浜 24−8 リコー

メンツのおちる横浜に対して、リコーが局面で見ればいい勝負をしながらも、例によってスコアにならず、ここというところで得点を重ねた横浜に惜敗。ラグビーでは決して負けていないと思うのですが、勝負としては完敗に近い。リコーはこういう試合が続いている。

リコーは今日も、モールのトライ1本。いいブレイクやランもあるのだけど、今日は22m内に入ることそのものが少なかった。横浜のディフェンスがラインもカバーもしっかりしているということでもあるけれど、リコーのアタックのデザインが物足りない印象。

横浜は引き続き苦しい戦い。今日は、田村がしっかりチームを勝たせた、という印象。また、22mに入ってから、トライを取るまでのところが、慌てない、チームとして「必ず取れる」という自信を持っている様子が伺える。ただ、試合全体としては、いわゆる下位チーム相手に苦戦、という印象は否めない。



近鉄 14−47 トヨタ

無難にトヨタが勝利をしていますが、去年はトヨタが38点差で勝っていますから、結果としてはほとんど同じ。今日はバレット、スミスがいなくなりましたので、戦力的に去年と大きく変わらないと思うと、なんだかな、、です。

今日は、トヨタは福田でしょう!アーロン・スミスが早くにいなくなりましたが、福田は福田で、福田らしい速さ、ランナーとしての天性の素質。その魅力を十分に見せてくれていました。是非とも、アーロンのいるうちに、是非とも一皮向けてほしいです。

あとは、ファルコンも、今日は十分なプレイを見せてくれいるのでは。つまらないショートキックがほとんど機能していませんが、ロングキック、ゴールキック、そしてキレのあるラン。彼も、バレットのいるうちに、是非ともステップアップしてほしいです。

近鉄は、ディフェンスは最後まで切れていないと思います。クーパーが2試合続けて最後まで出ているのも大きい。今日は、反則の数が多すぎました。決して試合を支配された印象はなく、反則さえイーブンに近ければ、もっともっと違った結果になったのでは。


相模原 21ー81 埼玉

相模原の前半の戦い方の迷いが大差を生んでしまった感じ。埼玉は、風上の前半で上手に相手を崩しきり、圧倒的な点差をつけてしまったので、風下の後半も慌てず盤石の戦い。強かった。余裕を持ってアタックされるととにかく懐深い。

後半は埼玉はしっかり蹴り合っているわけで、それを見ると尚更。相模原だってキッカーはいるわけで。 ただ、いずれにしても、今季の埼玉は、自らしっかり崩して取りに来る。取り切る力が凄まじい。理詰めで1つ1つ、無理せずにアタックしても確実に取る印象。

埼玉を止めるには、セットプレーでボコボコにして、彼らの考えているプレーをさせないようにしないと、、と思う。


今季は、明らかにクボタ側のカンファレンスが激戦になっていますので、これからの交流戦では、僕は横浜の動向に注目します。

昨季3位ですが、今季は明らかに攻撃力が影を潜めており、中堅どころにも苦戦を強いられています。クボタ、東芝、神戸、サントリー、静岡、この5チームに、横浜がどこまで対峙できるか、大いに注目しております。

場合によっては、横浜が4強争いから脱落、、なんていうこともあるかなと見ていますが、いかに。

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