★ラガー箚記(46)★勝手に選ぶ、リーグワン今季のベストゲーム!7位→5位
7位から5位は、東芝が2試合登場しますが、今季の彼らを表すような、強い!という試合と、こんな試合してしまうんだ、という試合が並びました。。。
7位:第6節 横浜 27ー31 神戸 「ガットランドが横浜の呪縛を振り払う」
神戸の転落は、2022年の開幕、横浜戦から始まったと思っている。まさかの敗戦。さらに、2023年も横浜にまるで勝てなかった。
メンバーが変わり、状況も変わった中での第6節。神戸はいい試合を続けていたが、勝ちきれないところもあり、ここで横浜とどういう試合をするかが、今後への試金石に見えた。
しかし、前半は横浜の固いディフェンスと堅実な試合展開に完全に神戸はアタックを封じられており、糸口がないように見えた。
その状態を打破したのが、今年の神戸のアタックの象徴、10番ガットランドだった。
1つ目のトライは22mあたりから、特に崩れてもいないラインから何人も弾き飛ばしトライまで。6点差からの2本目も、接点とSOの間をついて個人技でトライ。
しかし、そのあと、自力の差か、後半70分手前に13点様で突き放される。
今年はここから強かった。ここから、横浜のお株を奪うモールで2トライ。日和佐が入ったことで、明らかに流れが変わった。そして、2つのモールからの難しいコンバージョンをガットランドが完璧に決め、1点差の逆転。
最後は、アーディ・サベアがスーパープレイを見せて、逃げ切り。
この2年、横浜に苦渋をなめさせ続けられてきた神戸が、「今年は違うのだ」という姿を見せた一戦。最後の最後まで熱かった。
5位:準決勝 東芝 28ー20 サントリー:「がっぷりくんで、引き寄せて、上手投げ」
前半の最初のプレーから、サントリーのアタックはキレキレだった。外に振れば尾崎が走り、F Wが縦をつけばブレイクを必ずする。だけれど、トライだけが取れなかった。どうしても、こじ開けられなかった。ようやく取ったトライは20分過ぎにモールで1本。
この流れならば、サントリーは、前半で3トライくらいは取らないといけなかった。それくらい、完璧な前半だった。
しかし、終わってみれば、前半の35分、ワンチャンスを活かした東芝が3点差まで追い上げて前半を終える。
後半の展開を予感させたのは、前半の最後のプレー。ホーンがなった後に獲得した、敵陣22m少し外でのペナルティ。3点差。当然に狙うべきところを、東芝は、躊躇いもなくタッチに蹴り出しアタックをした。しかも、モールでゴリゴリやるのではなく、すぐにポゼッションアタックを始めた。いつもと同じように。こうして勝つのだ、取るのだ、と。
そのアタックはターンオーバーされるも、東芝の恐ろしさを感じる一幕だった。
後半は、東芝の3つのトライの鮮やかさに目が奪われた。モウンガからナイカブラへの鮮やかなパス、急遽メンバーに入り、すぐに出番となりながらも、出色の活躍をした真野の踏ん張り。最後は、復活した11番桑山の強烈なサイドアタックからのナイカブラ。
それでもこの試合のハイライトは、後半30分頃。点差を詰めたいサントリーが仕掛けたゴール前の攻撃を、繰り返し繰り返し繰り返し跳ね返し続けた東芝のディフェンスに、今年の2チームの力の差を感じました。
立ち会いから、一気に土俵際まで持って行かれながら、ガッチリとまわしを握り、着実に土俵中央に戻し、そして、豪快な上手投げで相手を投げ飛ばす。東芝の横綱相撲、という試合でした。
5位:第11節 東芝 40ー33 リコー 「アイザック・ルーカス劇場」
リコーは10位で入れ替え戦に行きましたが、この試合を見れば、このチームがそんなポテンシャルでないことは一目瞭然。
今季のリコーは、アタックが燻っていた。強いランナーを多数持ちながらも、ポゼッションアタックでトライをとりきれず、せっかく改善されたディフェンスで接戦に持ち込むも、勝ちきれない試合が続き、下位に低迷していた。
この試合は、10番中楠、12番マッガーン、15番ルーカスという新布陣でのぞみ、これが大爆発した。
東芝に前半で5トライを許し最大21点差をつけられながら、F Wではヒューズが奮闘し、シンビンなどでスペースができてからは、ルーカスが、ボールを持つたびに大幅ゲインを次々と演出し、東芝のディフェンスは彼によって崩壊状態。
33−33という状態になってからも、均衡していたものの、東芝が70分過ぎに自力の違いを見せる形で6本目のトライを取り7点差。
しかし、本当の見せ場はここからだった。
75分。東芝陣22mのポイントから、ボールを受けたモウンガがまさかのチャージ。ボールはインゴールに転々とし、それをリコーのアマト・ファカタヴァが追いかける。チャージをされたモウンガも慌てて追い縋るも、すでに一完歩遅れている。
が。
インゴール手前で、前のめりになりすぎたファカタヴァがバランスを崩しつんのめる。その横をモウンガが猛然と走りこみ九死に一生を得る。
さらに、後半ラストプレー。インゴールからルーカスが仕掛けブレイクし、最後はS Hの南がキックされたボールをキャッチすればトライかというところを、追いすがり捕まえ、絡もうとしたのはモウンガだった。
なんとかかんとか逃げ切った東芝。土俵際まで追い込み、さらに押し込んだリコー。2位と10位の試合ではなかった。
東芝と神戸。この2チームは今季躍進を遂げたわけですが、それぞれ象徴的な試合でした!