【妄想ライオンズ97】キャプテンがミスをしようと、僕が投げ切る
交流戦最後の試合は、ライオンズにとっては、悪夢で始まった、源田が、まさかのプレーを3つ続け、よもやの3失点。ライオンズファンの最後の拠り所、が決壊した。
この窮地に立ち上がったのは、今年から先発に転向したばかりながら、抜群の安定感を誇る、背番号61だ。
相手はプロ初先発の投手だ。それに対して、打線は3回までノーヒットを続ける。自身は、守備の乱れで3失点。チームは、10試合続けて2点以上取れていない。
気持ちが切れても、彼を責めることはできなかったはずだ。
しかし、彼の見ていた世界は違った。
昨年の9月。優勝争いをするチームは、不祥事などもあり、一気に7連敗を喫し、優勝争いから脱落した。
8連敗を阻止したのは、高橋光だった。8回を130球投げて、1点で抑えた。そのあとを継ぎ、セーブを納めたのが背番号61だった。
彼は、その日の高橋光を見て、「自分も、こういう、チームを救う仕事がしたい」と決意した。
今日、彼は、奇しくも、同じく8連敗を阻止する先発のマウンドに立つ。
この日のために、こういう時にチームを救いたくて、力になりたくて、先発を直訴したんだ。
その強い思いは、キャプテンのエラーで3失点をして、より強くなった。
みんなが辛い時、今こそ、僕がチームを救う、チームにいい風を持ち込む時だ。
2回、3回をいずれも3者凡退に抑える。単に抑えるだけではない。リズム良く、テンポよく、さらに、相手の中軸は空振り三振にねじ伏せる。
次の4回に味方が反撃をして、1点差に迫り、さらにギアを上げる。
4回の裏は、ヒットは1本打たれるも、アウトは全て三振だ。結局、3回二死から5回二死までは6連続三振でアウトを重ねた。
そして、5回の裏に、渡部の一撃で3点差をひっくり返した。
7回の表、100球を超えていた彼は、先頭のバッターに立つ。代打もあるところだが、彼は7回を投げることを直訴する。
そして、7回の裏、4点差に広がったリードの中、四球を1つ挟みながらも、3者三振に切ってとる。
この日は、結果的には、未完成の打線が噴火し、11点をとった。しかし、その導火線となったのが、背番号61、平良海馬の、新エースとしての力投であるのは、間違いない。
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