水町勇一郎「労働法入門 新版」(岩波書店、2019)読了

noteを作ってから初めての読了です。

読了者の予備知識と書籍選定理由

・労働法に関しては、学部生の頃に1つ授業を取ったきりです。一応講義には出席し教科書にも目を通していたのですが、定期試験の終了と共に頭から抜けていきました… ロースクールに入ってから労働法に触れることもなかったため、およそ3~4年ぶりの学修となります。

・上記の通り完全に労働法の知識が抜けていたこと、及び授業の際も「労働法」というよりは労働基準法・労働契約法といった雇用関係法に絞って説明がされていた(講義名が『雇用関係法』だったので当然の帰結ではあります)ので労働法分野の全体像を把握したいと思っていたところ、知人のブログで「労働法の全体像を掴むのに向いている」と紹介されていたことから、この本を選びました。

レビュー

・6~7時間ほどで読み終えました。文庫本の体裁で約250頁というページ数の割には時間がかかっていますが、情報量が多いためこれでも飛ばし飛ばし読んだという印象です。

・一般向けを強く意識した構成で、第3章からの具体的な規律の説明に先立って労働法の歴史や労働法の体系・法源について丁寧に説明されています。各論部分も、例えば雇用関係法について労働契約の成立→労働条件の決定・変更→労働契約の終了 といった契約の流れに沿って論じるのではなく、日本の労働法の中で最重要の判例法理とされる「解雇権濫用法理」から筆を進めて海外と比べた日本の雇用関係の特徴を整理していく等、労働法の全体像を分かりやすく説明すると共に、労働法の各種規律に通底する基本原理を解明する試みが伺えます。

・近年の「働き方改革」についても、第1章の後半にその歴史的意義について言及があるほか、具体的内容も各論に盛り込まれています。ただし、働き方改革関連法の詳細や従来の法規制からの変化について一読して理解できるという構成ではないので、その点には注意が必要です。

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