メンバーシップ型業務委託で組織を作るプロ契約組織とは何か
こんにちは。Algomatic Global カンパニーCEOの原田(@1230yuji)です。
Algomatic Globalは現在DMM 動画翻訳を運営していまして、ちょうど今日DMM GAME翻訳をリリースしました。
Algomatic Globalで働くメンバーは全員業務委託契約としております。
代表の僕も含め、雇用しているメンバーは一人もいません。
業務委託を2つに分類してまして、いわゆる正社員のような扱いのメンバーシップ型業務委託の方をプロ契約、メンバーシップとは異なるジョブを切り出して外部発注する業務委託をアウトソースと呼んでます。
この記事ではメンバーシップ型業務委託で組織を作るプロ契約組織とは何かについて書いていきます。
前提としてAlgomatic GlobalのCEOの視点から見たときのプロ契約組織の考え方を書いているので一般論の業務委託組織の話をしていないことは前提とします。
プロ契約組織とは
まずプロ契約とは上でも記載した通り、要するに業務委託契約のことを指します。
プロ契約組織とは、一言でいうと働く仲間を子供扱いしない大人の組織です。
プロ契約組織とはプロ野球チームのようなものであり、世界トップクラスの戦いに挑むようなビジネスをやるときにはメリットが上回りますが、ドメスティックに小さめの規模で戦う際にはデメリットのほうが大きくなる組織づくりだと思います。
良いも悪いも自分たちがどの領域で戦っているのか次第で変わります。
なぜプロ契約組織を作るのか
変化スピードを最大化するためです。
Algomatic Globalは生成AIを使って世界で勝てる事業を作ることを目指しています。
生成AIの技術トレンドは激しく変化します。
いま自分たちが取り組んでいる課題をいとも簡単に中国・アメリカの巨大企業が解決してきたりします。
また、世界で勝負すると決めた時点で「経費精算の問題を解決する」というようなビジネスをしないと決めることになります。
日本の経費精算の問題を解決してもインドの経費精算の問題を解決することにはほぼ繋がりません。
世界で戦うと決めた時点で世界共通の課題を解決する必要が出てきます。
僕らは「動画翻訳コスト、編集コストがバカ高い問題を解決する」という課題設定をしました。
世界中の人たちがYouTubeなどの統一プラットフォームで勝負をしているのが動画領域であり、日本の課題を解決することはほぼインドの課題を解決することに繋がります。
話は戻って世界で勝負すると決めた時点で敵は世界中の企業ということになり、激しいビジネス戦争に巻き込まれます。
ビジネストレンドの移り変わりの速さ、敵は世界中の企業、という厳しい環境下での強さとは何かというと変化スピードの速さだと考えています。
1.ポジションの流動性を最大化する
いま野球チームで戦っていて今日大谷翔平が入団してきたと仮定します。
通常これまでピッチャーをしてくれていた人がいたとするとその人の気持ちを考慮してすぐにピッチャー交代をしづらくなるのが普通の人間です。
しかし、最強のピッチャーが入ってきたのにすぐに交代しないなんて勝つことを目指しているチームとは言えません。
「問答無用でピッチャー交代」できるかどうかが組織としての強さです。
この判断ができない状態でどうやってこの世界中の敵に勝つことができるでしょうか。
僕らはいま動画翻訳をサービスとして出していますが、いつこの領域がディスラプトされるかもわかりません。
もうこれは無理だなと思えばすぐにでもサービスを捨てて次のチャンスを探す必要があります。
サービスを捨てて全く新しいサービスを立ち上げたら、その都度ジャストインタイムに人材を調達する必要がありますが、雇用組織は組織の最適化を最速化することは不可能です。
しかし、プロ契約組織は3ヶ月ごとの契約期間で戦っている組織(僕らは契約期間を3ヶ月と設定しています)なので、いつでもメンバー交代が可能です。
2.予算権限、裁量権限を全員に渡す
生成AIの領域はたった1日ですべての前提が覆ることがあります。
普通たった1日で原価が半減するはありえないと思いますが、生成AIの領域においてはありえます。
例えば、APIのコストが突然十分の一になったりします。
すると突然ゲームのルールが変わるわけですからビジネスモデルも考え方も変化させる必要があります。
他にも、昨日までできてなかったことが突然できるようになったりします。
APIのスピードが遅すぎて要件を満たさなかった事業が突然倍速になって実現可能になったりします。
このように1日単位で常に変化し続けるビジネス環境においてトップダウン型組織はこの変化スピードについていくことができません。
この環境下では、現場で動くメンバー全員が予算権限、裁量権限を持って誰に許可をとることもなく意思決定して変化できるようにすることが大事です。
しかし、ここで問題になるのが予算権限、裁量権限を全員に持たせ、自由な環境を与えすぎると「自由を悪用する人が出てきたらどうするのか」という問いです。
犯罪レベルの自由の悪用なら雇用でも終了できますが、ちょっとした無駄なお金を使うなど、犯罪にはならないレベルの悪意を働くときがあります。
自由にすると人は悪さをするからと性悪説に倒した経営に向かっていきますが、それで首を閉められるのは悪さをしない人たちです。
一部の悪意を持った人によって優秀な方にまでルールを課すのは馬鹿なので、僕らは業務委託契約とし、微妙な方は終了できる体制を作っています。
いつでも契約終了できるなら自由の悪用を恐れる必要はないので究極的な性善説経営をすることが可能になります。
以上の観点からプロ契約組織を作っています。
雇用契約と業務委託契約の違い
厳密な話は調べれば出てくるので調べてください。
ここでは経営者や働く人にとって気になるポイントだけ記載します。
論点は労働者性があるかどうかであり、具体的には下記の内容次第で決まっています。
労働者性があればたとえ契約が業務委託契約でもそれは雇用契約とみなされます。
労働者性が出てくる論点
業務を拒否できる
業務の細かい指揮命令ができない
どこで働くか、何時から何時まで働くかを指定できない
1.業務を拒否できる
業務委託の場合は業務を拒否できます。
もし拒否できないようなやり方をしているならばそれは業務委託ではなく雇用関係にあるとみなされます。
これは僕にとってはどうでもいい問題です。
そもそもやりたくないような業務をやってもらおうなんて思っていません。
雇用であろうかプロ契約であろうが、嫌な業務は拒否すべきです。
やりたくない仕事をして良い仕事ができるはずがありません。
2.業務の細かい指揮命令ができない
業務委託の場合は細かい指示出しはできません。
やる人に任せるのが原則です。
ただ、プロ契約組織にはいちいち細かい指示出ししないと仕事できない人なんて組織にはいません。
こちらも細かい指示出しはしたくもないので問題ないどころかそうでないと困るという感じです。
3.どこで働くか、何時から何時まで働くかを指定できない
業務委託の場合は働く場所の自由、働く時間の自由があります。
ただ、これに関してもプロ契約組織の考え方としては論点になりません。
結果さえ出していければどこで働くか、いつ働くかは自分で考えてくださいという感じです。
もちろんチーム競技なのである程度ミーティングがあったりするわけですが、それは業務遂行のために必要ならやればいいし不要ならやる必要がないです。
それぞれ個人が結果を出すために自分で考えて動いているわけです。
プロ契約組織は結果さえ出せば基本的にはOKという組織です。
プロ契約組織のメリットとデメリット
会社と個人に分類して説明します。
会社側のメリット
ここまでに書いてきましたが、変化スピードを最速化できます。
あらゆる変化に対してジャストインタイムに人材調達ができるようになります。
働く人達も結果を出さないと残れないので良い意味でプレッシャーの大きい組織になり、良い意味で成長環境を作り出すことができます。
会社側のデメリット
雇用関係にある場合は比較的メンバーをコントロールしやすくなります。
何時から何時まで働く、会社に出社させる、〇〇をしてもらう、〇〇の方法で業務を進めてもらう、などすべて指示できます。
プロ契約組織はこれらのコントロール権をすべて手放す必要があります。
つまり、一人ひとりのメンバーを信頼し、大人扱いする必要があります。
個人側のメリット
仕事のコントロール権が強くあります。
何時から何時まで働く、会社に出社するしない、業務を拒否する、やり方は自分で決める、などすべてのコントロール権を握れます。
また、節税できます。
社会保険料および税金はどんどん高くなっていますし、これからも上がっていきます。
プロ契約組織で働くような人たちは年収1000万円超えるような人たちばかりです。
年収が低い人にとってはメリットが薄いですが、1000万円を超え始める人にとってはかなり大きなインパクトを出せます。
基本的には個人会社を作って個人会社で契約する形を取る人が大半で、そのスキームで節税効果を最大化するのが良いでしょう。
個人側のデメリット
業務委託契約には労働基準法・労働契約法のルールは適用されませんが、これ自体はそこまで大きなデメリットでもないような気がしていて、大きいのはこの2点ではないかと思います。
雇用保険に入れない
信用がない
1.雇用保険に入れない
雇用保険に入れないことは大きい問題の一つです。
雇用保険のメリットはいろいろありますが、例えば産休育休の手当です。
休んでいる時間も給料が支払われ続けるこの仕組みは男性も女性も休む世の中にある昨今では問題です。
個人的には、プロ契約組織においてはこの問題も問題とはいえないと思っています。
産休育休で入るお金と比較して上にも書いた節税効果が大きすぎるからです。
産休育休は一時的なものですが、節税効果は一生ものです。
2.信用がない
家や車のローンが組みにくくなります。
そもそも僕は家も車も買うつもりがないので本当にそうなのかよく知らないのですが、一般論としてはそのように言われるので本当なのでしょう。
プロ契約組織の報酬
これは経営者によって考え方を変える部分だと思いますが、一般論としてプロ契約組織の報酬は高く設定されます。
どこの世界でもリスクが高ければリターンも大きくなるし、リスクが低ければリターンも小さくなります。
僕の進めるプロ契約の契約期間はQuarter(3ヶ月)ごとになっています。
つまり、自分たちの仕事が保証される期間はたった3ヶ月しかありません。
みんな突然無職になる可能性を抱えて仕事をしています。
例えば、受託開発ビジネスをしているときに、開発エンジニアメンバーを雇用する場合と業務委託で依頼する場合があります。
当たり前ですが、会社はリスクが低いので案件があるごとに業務委託の方に発注できるようにしたいです。
雇用すれば案件がないときにも固定費として給料を払いつづけないといけないのでその分リスクを負っているわけです。
言い方を変えると、業務委託で発注する企業は仕事がないときのコストリスクを個人に負わせるのが業務委託型組織なのです。
個人側にリスクを負わせる分、会社は雇用する場合より高い報酬を払うというのは当然のことです。
ですので、Algomatic Globalは平均年収日本一クラスに個人にお支払いできる状態を作ることを経営の最重要ゴールに置いています。
具体的にはなるべく早く平均値として2500万円あたりにできるように目指しています。
まとめ
メリットもデメリットもいろいろあるプロ契約組織ですが、特にこれからのAI時代はプロ契約組織が大事になると思っています。
何度も書きますが、変化スピードが早すぎるからです。
プロ契約組織は会社にとってのメリットが大きく見えてしまうと思いますが、働く人にとっても大きなメリットがあります。
プロ契約組織で働く人はトップクラスの人材ばかりなので究極的に言うと食いっぱぐれるような人はいません。
正直どこでも働けるような人がわざわざ僕らの会社で働いてくれているような状態です。
ですので、デメリットがほとんどなく、下記2点のメリットが大き過ぎる組織です。
ドリームチームで働ける
最高水準の報酬がもらえる
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本日新サービスのDMM GAME翻訳をリリースしましたが、僕のカンパニーではこれからDMM動画編集、DMM通訳、等、大量にサービスリリースを予定しています。
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